番外編 ゆきちゃんの恋愛教室3
まなみにとって初めて知る男女の営みは、かなり衝撃的だったよう。
あたしの話が一区切りついた後も、しばらく放心してたし、絶句してた。
真っ青な顔と真っ赤な顔を繰り返している。
ええ! そんなんことするの!? 無理無理無理!と顔に書いてあるよう。
ここは上手くフォローしとかないと、えっちに対して警戒しちゃうかな。
「ねえ、まなみ。愛し合う男と女なら必ず通る道よ。そんなに深く考えることないと思うわ。抱きしめたり、キスすることの延長よ。
ユウ兄に触られることは嫌じゃないでしょ?」
「そ、それは、・・も、もちろん」
こくこくと首を縦に振って肯定するまなみ。
「好きならもっと触れたい、知りたい、感じたいって思うのが普通よ。
男の方が性欲が強いっていうけど、女にだってあるわ。
好きな人と一つになりたいって思う気持ちが」
「・・ひとつに」
「そう。気持ちイイことなのよ。素敵なことなの。
確かに最初の一回だけ女のコはめちゃくちゃ痛いけど、それは最初だけだから、ガマンガマン。
好きな人とのえっちは幸せなこと。すっごくすっごく幸せなことなのよ」
催眠術のように繰り返す。
どうせみんなが通る道なんだから、ちょっとでも前向きに考えてた方がいいって思う。まなみみたいに従順なタイプは、ユウにいが行動を起こせば黙って受け入れるだろうって想像できる。
でもあたしは、えっちは二人のためのものだから、まなみにもちゃんと気持ちイイって感じてもらいたい。女のコは特に精神的なものが大きいって思うし。
まなみは恥ずかしがりながらウンウン頷いて、ずっと真剣に聞いてくれた。
その後もずっとおしゃべりしてて、結局ほとんど眠らずに朝を迎えた。
眠そうに目を擦るあたしたちふたりに、お迎えに来たユウにいは呆れていた。
けど、「マナ、帰ろう」って優しく手を引いて行くのを見てると、きっと初夜でもやさしくやさしくしてあげるんだろうなあなんて想像できた。
ニシシと笑いがこみあげる。
昨晩はずっとそういう話ばっかりして無性に銀太に会いたくなったあたしは、
「突撃じゃあー」
銀太の部屋に押しかけて布団に潜り込んだ。
*****
まだ数ヶ月前のことなのに、すごく懐かしく感じる。
ユウにい、電話の声もご機嫌だったし、本当に嬉しかったんだろうな〜。
なんだかあたしもすごく嬉しい。
雑誌を読む銀太の腕に巻きつくと、ぎゅうっと腰を抱き寄せられる。
「ゆっこ」
あたしを見つめる目が熱い。銀太はホントに分かりやすい。
呆れるくらい単純で、馬鹿が付くくらい正直。
でもそんなところが堪らなく愛おしいって思うんだから、あたしも相当かな。
「ええか?」と聞きながら、もう手はあたしの身体を撫ぜくりまわしてる。
「もちろんよ。ね、まずはキスして」
あたしも両腕を銀太の太い首に巻きつけて、噛み付くような勢いで唇を重ねた。
「よいしょっと」
「おおう、ゆっこ?」
図体のでかい銀太に押し倒されると、押し潰されそうになる。
だから今日はあたしが銀太を押し倒してやった。馬乗りになってふふんと笑ってから、またキスをした。
銀太は目を丸くした後で、豪快に笑う。
「ゆっこ、お前は最高のオンナじゃ。わしの、わしだけのもんじゃ」
「あったりまえじゃん。銀太もあたしだけのものよ」
言い返せば銀太は白い歯を見せて、また楽しそうに笑い、あたしの首に顔をうずめ舌を這わせる。
ちょっとそれ、こそばゆいからやめて! そう思うのに、口から甘い吐息が出ちゃう。気持ちイイことに弱い、正直なあたしの身体。
「ぎんた・・」
・・そして、そのあとはいつも以上に濃厚な時間を過ごした。
銀太はきっと、一生、おじいちゃんになっても死ぬまでずっとあたしだけを愛してくれる。
理屈じゃなくて、そうだろうって思える。
曲がったことが大嫌いな男だから。
あたし達、結婚する前から似た者夫婦って呼ばれてるんだもんね。
まなみとユウにいは、きっと良い夫婦になる。
でも、あたしと銀太も負けないくらいイイ夫婦になるわ。
自信があるのよ、あたし。
子どももいっぱい産むつもりだし、あたし達がいれば村は安泰。間違いなしよ!
おしまいです!
読んでいただき、ありがとうございました(⌒▽⌒)
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