表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
12の狩人  作者: yasao
一章  雷刃夜叉、殺影、殺戮壊僧
8/14

雷光先生の戦史講座

今回、かなり偏った考えの文章が載ります。

不快になられる方もいるかと思いますので、戦争絶対反対と思う方は極力読むのをお控えください。

「え~、皆さん、授業では初めまして。戦史の担当である源 雷光です。」

そう言って教壇に立つ雷光。今日は彼が初めて行う授業の日である。

ここまで遅くなったのは、彼が免許更新を怠り、数日間休んだせいだったのだが、それに対しての謝罪の念を一切感じさせない態度で授業に入ろうとする雷光。生徒も彼の担任クラスなので、既に慣れておりツッコまない。

「え~、俺が居ない間は教頭先生が授業してくれたと思いますが、ぶっちゃけアレは全部忘れなさい。」

開始数分で言われた訳の分からない発言。動揺に包まれたクラスで立ち上がった者がいた。

「先生、僕たちは先生が休んでおられた間に2回、この授業を行いました。その内容を全て忘れろと言うのは、僕たちや教頭先生にとってあまりにも失礼ではありませんか?」

そんな正論を言っている彼の名前は月詠つくよみ いの。女のような名前と中性的な見た目のせいで周りからオカマ呼ばわりされたりもしていた彼は、そんな逆境にもめげずに真面目な青年になっていた。

だが、憐れなことに彼が今意見を言ったのは、一般常識を己の解釈で曲げたりもし、尚且つソレを止めれる者は殆どいない雷光先生モンスターだ。当然、反論が飛んでくる。

「確かに、お前の言うことも確かかも知れんな月詠。だが、そうやって礼を失しないようにすべきなのは正しい事を教えている場合に限られる。」

「・・・・と、言いますと?」

ごく普通に授業をしていた教頭を思い返し、首を傾げる月詠。そんな彼にまるで『分かってねぇな~www』とでも言いたいかのように首を竦めた雷光は。

「大方、教頭は戦争は悪いことだ、としか言ってないだろ? 世界大戦前後の話だって日本が悪かったしか言ってないだろ? そんな大雑把な授業に礼を失しないように気を付ける意味もねぇってことだ。」

過去の授業を全否定する雷光の発言に唖然とする月詠以下このクラスのメンバー。しかし雷光は止まらない。

「いいか? まず、戦争は必ずしも悪ではない。戦争にはメリットもデカいのさ。」

そこで手を挙げた者がいた。親が平和団体会長と言う白州しらす 次子つぐこだ。

「そうでしょうか? 戦争をすれば国力は疲弊し、戦死者も出るので国民の数は減ります。更には資源も大きく減少する可能性もあるのですよ?」

彼女の言ったことは事実だ。どの国だろうと戦争をすれば国力は疲弊するし、国民の数も資源の数も少なくなる。南アジア等の紛争地域にも顕著に表れてるとも言えるだろう。

しかし、それでも雷光は自論を覆さなかった。

「確かに、デメリットとしてそれはある。だが、それに並ぶとも劣らないメリットも確かに存在するんだ。」

「どんなです?」

「まず1つ、戦争をすれば医療技術は格段に進歩する。大事な兵士を湯水の如く消費は出来ないからな。そしてその医療技術は戦争が終われば国民の生活にもプラスとなって帰ってくる。2つ目は、技術力の進歩だ。より多くの兵士を効率的に殺す為には強い兵器が必要不可欠。だから技術者は精を出して研究して作っていくのさ。それも市民に還元される。良い例が新幹線だ。アレの製作者の1人は特攻機『桜花』を開発した人でもある。」

そこまで言って言葉を切った雷光は、生徒を見回す。皆、雷光の話に呆気にとられたような顔をしていた。

「やっぱり初耳か・・・。まぁ、この国は何でか知らんが昔から戦争のデメリットしか教えてなかったしな・・・。」

そう言って溜息を吐く。そこでやっと気を取り直せたのか、それとも溜息が癪に障ったのか、再び反論する白州。

「で、ですが先生。いくら技術力や医療技術が進歩しても、人々の不満は完全には払拭出来ません。戦争では人も資源も足りないので、生活は困難になり、結果、その原因である戦争への不満が高まるのです。不満は国への不信に繋がりますので、やはりデメリットの方が大きいのでは?」

「いや、違うね。」

白州の意見をアッサリと切り捨てた雷光。そのまま反論を潰しにかかる。

「いいか? 確かに不満は溜まるだろう。だが、その不満が不信に変わるのは捌け口が無い時だけだ。戦争には捌け口がある。」

そこまで言って雷光は生徒たちを見やり。

「誰か、この捌け口ってのが何のことか分かる奴いるか?」

その問いに真っ先に手を挙げたのは、今までずっと沈黙していた御前だった。我らが頼れる生徒会長は、他の生徒が呆気にとられている間、真面目に話を聞いて板書を写し、さらに自分なりに考察もしていたのである。

「お、やっぱり生徒会長は違うな御前。分かったのか?」

「はい先生。それは『敵対国家』ではありませんか?」

その答えに息を呑む生徒たち。雷光は満足気に頷くと。

「そうだ。戦争の不満は他国にぶつけることが出来る。不満を自国への不信じゃなくて他国への敵対心に変え、戦う事で不満は晴れ、敵対心に溢れているから兵は強く、勝率は上がる。つまり、不満すら戦争ではメリットになるんだ。」

ここまで言った所でチャイムが鳴った。


「っと、今日はここまでか。じゃあ次回からは去年までやってた第三次世界大戦について勉強しよう。まず、戦地に行っていた人から話を聞く。次回は校外学習になるから各自校門前に集合すること。」

そう言い残し、雷光は教室を出ていくのだった。

次回も雰囲気は似たような感じです。

自分に合わないと思われた方はご遠慮ください。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ