裏社会の女
お待たせしました。
前回から登場しているクールビューティーウーマンの風魔さんの回です、どうぞ!!
「殺影」烏丸 風魔
防衛では無く、侵攻してきた敵部隊の隊長の暗殺を主任務としていた特殊な本土防衛兵。
その能力は高く、並の人間では奴が動く気配すら感じない。
鋭い目つきをした二枚目である。
と、いうのが世間一般に知られている「殺影」の情報である。
「え、あの女性が烏丸 風魔!!? 嘘でしょう!?」
普段から想像も出来ない程に混乱している御前の発言もある意味正しいのだろう。「二枚目」とは基本、男性に用いられる言葉だ。
そんな慌てふためく教え子に苦笑しながら、雷光は種明かしを始める。
「いやいや、確かに世間じゃあアイツが男みたいに言われてるけど、そりゃアイツが任務中は髪を後ろで一括りにして、口まで布で覆ってるからだ。さっきの人、目つき鋭かっただろ?」
と言うと同時に腰から鞘ごと刀を抜いて、柄を後ろに突きだす雷光。
刹那
《ギャンッ!!》
そんな金属音と共に柄に当たった鎖鎌が地面に落ち、鎖に引っ張られて持ち主の元へ戻る。
「女性に対して『目つきが鋭い』とは、相変わらずの毒舌だな雷光。」
呆れ顔でそんな事を言いながら鎖鎌を巻き上げるのはスーツを着た鋭い目の麗人、もとい先程の受付の女性だった。
「お前こそ、相も変わらずの男口調だな。そんなんだからお前は三十路前でも結婚出来ないんだよ。」
笑いながら刀を戻し、そう言った雷光は教え子の方を見て「な?」と肩を竦める。
そんな雷光を睨みつつも2人の傍まで歩いて来た女性は、驚きに身を強張らせている御前に微笑みこう言った。
「雷光が平然と刀を出すと言う事は、正体は知ってるんだな。なら私も普通に明かそう。初めまして、私が世間で『殺影』とか呼ばれてる烏丸 風魔だ。」
完全に驚きで頭がショートした御前を家まで送った後、雷光と風魔の2人は町はずれの居酒屋にいた。
仕事帰りのヤクザや、絶賛お仕事中の麻薬業者等、あらゆる人が酒を飲む中で、向かい合ったテーブル席で酒を飲む2人。
そんな2人の周りには、絡みに行ったのであろう10数名の男の亡骸があった。
「や~、ビックリした。まさかお前が役所に勤めてるとはな~・・・。」
そう言って雷光が日本酒を呷れば、
「私こそ、お前がうら若き乙女を連れて訪れた時は警察に連絡しようかと思ったよ。」
と、風魔がウィスキーのグラスを傾ける。
静かに酒を酌み交わす2人の空気は、そんな風に和やかだった。
「で、そろそろ要件に入りたいんだけどよ、風魔。」
そう言って話し始めようとする雷光を手で制し、グラスを置く風魔。
「分かっている。教員免許発行の手続きだろう?遅れた期間も短いし、大した手間にはならないが、正規の報酬は貰うからな?」
そう、割と正論だと思うことを言って、グラスに口をつける。そこで渋ったのは雷光だ。
「えぇ~・・・、遅れが短いんだから割引してくれても良くない~? ここの飲み代俺が払うからさ~、それでチャラにしてよ~。」
「馬鹿か、それでは1万もないじゃないか。ちゃんと正規報酬の15万円、支払ってもらうぞ。」
取りつくしまもない風魔の返答(まぁ、15万円を1万円未満で何とかしようとした雷光に無茶があったのは明白だが・・・)。それでもめげない雷光は鞄から1冊の本を取り出す。
「じゃあ、それに合わせてこのBL同人誌も付けるからさ、駄目か? 内容が過激すぎて発禁になった幻の名作らしい奴なんだけど・・・。」
そこでピクッと反応する風魔。
彼女、腐女子である。
「し、しかし無理だ。私は仕事には忠実なんでな。どんな条件を付けようと15万円の報酬は払ってもらう。」
チラチラと同人誌を見ながらそう言う風魔。まだまだめげない雷光は次の手を出す。
「じゃあさ、セットでこの『共産高校美女図鑑・写真とスリーサイズ、電話番号付』も渡すけd「よし分かった。それで手を打とうじゃないか。」・・・だよな。」
一瞬で持論を変えて承諾した風魔。
彼女、レズである。
腐女子でレズというのは不自然かも知れないが、彼女は男子は男子同士で愛し合うものだと思っているので、レズなのである。
しかし、完全に職権乱用している男を目の前に完全黙認する公務員とは・・・・・・。
何はともあれ、こうして雷光は無事に(?)教員免許の更新を終え、数日の休暇(発行待ちだったのだが、学校には有給で通した)の後に再び教壇に返り咲いたのであった・・・・・。
どこがクールビューティーじゃというツッコミは心の中でお願いします。