後編
「先輩は、どうして俺のことを知ってるんですか?」
至極当然の疑問。
「俺は、学校ですし、先輩を見覚えはあるかもしれないけれど、何か話したりした覚えは無いです」
あ、この卵焼きすごい美味しい。
「うん・・・そうだろうね。英一郎君が私にしてくれたのは、きっと通りすがりの優しさだけど。私には、とっても大事な優しさだったの。」
何時から俺は、そんな優しさを振りまくような人になったのだろうか。
「いや、本当に分からないんですけど・・・」
「ひみつっ!ですっ!!乙女の秘密は堅いんです!」
「そうですか・・・」
乙女の秘密とか言われると気になるけど、聞きづらい。あ、この唐揚げもおいしいな。
「お弁当ごちそう様でした、ちょっと俺用事があるんで」
「千夏ちゃんのところ?」
乙女の直感なのだろうか。恐怖です。
「千夏ちゃんのこと、好きなのかな・・・やっぱり?」
「・・・いや、別にそんな訳じゃないんですけど、このままだとなんか落ち着かないじゃないですか。ちょっと行ってきます」
英一郎は別れを告げて、駆け出した。
残された少女はつぶやく。
「そういうのが・・・すきって事じゃないのかなぁ・・・。でも・・・、告白した私のほうが一歩も二歩も近づいたから・・・負けないよっ!」
結局、昼休みに千夏は見つからなかった。今流行のトイレでご飯なのだろうか。
休み時間もすべて、回避される始末。
◇
「待てぇえええええ!!」
全力で、下校しようとする、千夏を追いかける。
追いかけるが、千夏早いなぁおい、中学校陸上で入賞は飾りじゃなかったのか。
「くそっ・・・!!追いつけない!!」
「俺に任せろぉおおおお!!」
日下部!!いたのか!!
見る見る距離を縮める日下部、あっという間に千夏の手を掴む。
日下部・・・お前、足めちゃくちゃ速いんだな・・・。
「ふー、ち、ちなつー、どうして、俺をーさけるー」
「べ、別にさけて・・・ないもん」
あれだけ走ったのに、肺活量は全然違うらしい。
「っー、俺はなー、お前と何時もどおりパン屋に行かないとな・・・落ち着かないんだよ。」
「えっ・・・、それって・・・」
「あぁ・・・」
3人の時間が、一瞬止まる。
「俺はな、クロワッサンも案外好きらしい。」
千夏にグーで殴られた。思いっきり。
「もうばかっ!!」
空気と化していた日下部を振りほどいて、歩き出す千夏。
「おい、待てって!!」
「そうです。英一郎君、待ってください。」
立花先輩・・・、俺の回りは皆忍者なのか・・・?
「一緒に・・・帰りましょう?」
「いやです、お断りします」
戻ってきた千夏が俺の手を引きながら、毒を吐く。
「私は・・・、英一郎君に聞いてるんです。」
空いてるもう片方の手を、立花先輩が握りながら歩く。
日下部が少し後ろで、叫んでいる。
「俺の怒りがぁあああ!!有頂天ぅううううう!!」
それ、ぱくり。
夕暮れ、今日も、昨日より一枚の層を重ねた。
明日はきっと、明後日はきっと、一枚、もう一枚と、
積み重ねていく僕らの日々、それはきっと、
こうなるまで気付けなかったけど、まるで・・・ね。
初めましてなぽぽぽぽーん、ワンダーフォレストです。
一部は、このお話でおしまいです。いかがだったでしょうか?
二部は、また別のお話となります。
社会人の二人を巡るお話となります。
ぜひ読んでやってください。




