前編
「―――好きです。」
放課後の教室で少年は、少女に告げた。
だから俺は、黙って自分の机に向かう。
鞄を取って、教室を出る。ちゃんと防音を気遣って扉を閉めてやる。
二人だけの世界に水を差す輩を入れる訳にはいくまい。
「ふぅ・・・。あいつ、千夏にホント、惚れてるなぁ」
でもなんだか、放課後の教室で、想い人に告白するってのはいいなぁ。
とか考えつつ、下校口を出る。
校門を目指していると、横から強い衝撃。
「―――っ!!」
びっくりして横に目をやると、先ほど青春をぶつけられていた少女、千夏が怒っていた。
「なんでおいていくかなっ!!私、待ってたんだよ!?」
たしかに、俺が放課後に昨日やっていなかった宿題を提出するから帰ってろと言ったのに、
待ってると言った。しかし教室に戻ると、青春がお花畑していた。
つまり、俺は悪くない。
「悪いよ!?」
最後のところは口に出したようだった。
「いや、青春のお邪魔虫になれってか。」
「外で待ってくれてもいいじゃん!!」
それも、そうか。
「・・・悪かったな。」
「もう、分かればいいんだよっ」
そう言うと、ころりとしかめ面を綻ばせる。表情豊かな奴だ。
「ねー、帰りにクロワッサン買って帰ろー。」
「昨日はチョココロネ、その前はメロンパン、お前は放課後にパンがないとだめなのか。」
ツッコミをいれておく。
「放課後にパンは絶対だよねー」
「だよねー」
3人目の声、青春をぶつけた張本人、日下部だ。
「今日で何敗目なん?」
「既に負け確定!?」
俺の質問に、本気で疑問がる日下部。お前3桁に届く勢いで、告白してるだろ。
今も忘れはしない。高校に入学して、自分のクラスはどこかと掲示板を見ている千夏にいきなりこいつは、
「好きです!!貴方と結婚したいです!!」
バカかと思った。
当然フられたが、めげずに千夏と仲良くなろうと俺に接近してきて、今日に至る。
回想終わり。
とりあえず、今日はいつものパン屋でクロワッサンを食うか・・・正直クロワッサンはイマイチなんだよなぁ。
あの味って言うか・・・ときどきやたら焦げてるし・・・「好きです!!」「いや、日下部、さっきの今で懲りないなお前」
あれ・・・今の女の声・・・?
ぼけっとしていたが、前に千夏とは別の女の子。
隣の千夏と、日下部も驚いた顔。
「私が好きなのは!!日下部くんじゃなくて、英一郎くんです!!」
少女は真っ赤にして告げる。
「俺ですか・・・」
ていうか。誰ですか。
はじめまして、わんだーふぉれすとです。
こちらの作品は3編構成です。




