表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。

星霜の庭に、君を待つ

作者:百花繚乱
最新エピソード掲載日:2026/03/02
## あらすじ

大学生の天城透は、恋人・白石澪にプロポーズしたその夜、交通事故で澪を失う。自分の決断が遅れたせいで守れなかった――その罪悪感に押し潰されるようにして、透の意識は途切れた。

次に目を覚ました場所は、未来四九八七年のヨルダン、世界遺産ペトラ。岩窟神殿は結晶と植物に侵食され、空には人工の光環が浮かぶ。そこで透は、翡翠色の瞳を持つ少女ナディアに告げられる。「ようこそ、再生実験区へ」。ここは一度滅亡した地球で、人類文明を“選び直す”ための最後の庭――透自身も「過去の人間の意識データ」から復元された存在だという。

ペトラに残る滅亡直前のアーカイブが示すのは、環境崩壊と気候制御装置の暴走。透は、自分の時代にも同じ兆候があったことを思い出し、胸の傷が未来の痛みと重なっていく。さらにナディアの正体は、澪の遺伝子情報を基に設計された存在だった。透は彼女に澪の面影を見ながらも、次第に“ナディア”という一人の人間として愛おしさを抱き始める。

やがて文明再生装置の起動には膨大なエネルギーが必要だと判明し、その供給源がナディアの生命核であることが明かされる。彼女は「私は目的で生まれた」と微笑むが、透は二度と愛する人を見殺しにしないと決める。彼は装置の設計を改変し、自分の意識データを代価にする道を選ぶ――贖罪ではなく、未来を守る“選択”として。

砂嵐の夜、崩れかけた神殿の上で交わされる最後の抱擁。装置は起動し、ペトラは光に包まれ、透の身体は粒子へと分解されていく。「生きてくれ」――それが彼の星霜の告白となる。

一年後、再生された庭園に緑が芽吹き、人類は小さな共同体として再出発する。ナディアの隣には、記憶を失った青年がいた。それでも彼は彼女を見ると微笑み、ナディアもまた笑う。「ええ。ずっと前に」。失った未来を選び直した先で、二人はペトラの夕陽の下、もう一度出会う。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ