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蟻が如く  作者: 海星
6/8

お姉様

 「冒険者になりたいの?」と受付嬢。

 「え?

 あー。

 興味はあったけど、なりたいかと聞かれると。

 命がけの仕事はやっぱり怖いし。

 身分証が欲しいだけなんすよねー」僕はコミュ障全開で意味のない愛想笑いをする。

 本当はそれどころじゃない。

 チンポを落としたのだ。

 待てよ?チンポって落とすモノか?

 「チンポは大事なモノだから、ポッケの中に厳重にしまっとこう」

 そんな事気にした事あったっけ?

 「うわーん、チンポどこかに落としちゃったよう!」そんな子供どっかで見た事あったっけ?

 そもそもチンポ、本当にトイレの中に落としたのか?

 トイレに入った時にはもう既についてなかったんじゃない?

 あの時は「オシッコしたい」という事を意図的に意識しないようにしてたから。

 だって異世界でトイレに入るの、嫌だったもん。

 チンポがないのはわかった。

 しょうがない。

 視認したし間違いない。

 でもチンポがなくなって女になったのかな?

 良く見たら玉もない。

 

 「普通『身分証』が欲しいだけで『冒険者ギルド』は選ばないわよ。

 貴女が『冒険者ギルド』に来てくれたからこそ、私達、ギルド職員は助けられたんだけどね!」と受付嬢は笑う。

 僕は気になっていた事を聞く。

 「『冒険者ギルド』って女性職員しかいないの?」

 「ならず者冒険者に占拠される前はそんな事はなかったのよ。

 あのならず者共『男は殺せ、女は犯せ』ってオークみたいなヤツらだったのよ!」

 「え、殺されちゃったの?

 犯されちゃったの?」

 「大丈夫。

 みんな逃げただけだから。

 でも、女の子が逃げる時に捕まっちゃったのよね。

 その娘らを置いて私達は逃げれなかった、という話。

 ならず者達は男には興味ないのよ。

 だから男は敢えて逃がしたの」

 「逃げた男の人達が警察呼んだりしたら?」

 「村の警備(←変換された)よりも、ならず者の冒険者達の方が強いわよ。

 それに村の有事には冒険者達が手を貸す事になってて、冒険者は武器を持ち歩く許可を得ているのよ。

 『冒険者ギルド』の有事に警備が手を出せる訳ないじゃない。

 一瞬でならず者達に斬り伏せられちゃうわ。

 でも、私達、女が犯されるのも時間の問題だったと思うわ。

 そういう意味でも貴女は恩人なのよ!」と受付嬢。

 そう言われても斬馬刀に乗ってギルドの中に入って行っただけだし。

 そしたらモヒカンのいかついオッサンを間違えて轢いちゃっただけだし。

 「そういや、セクシーな魔法使い風のお姉さんいたよね?

 アレ、誰?

 痴女?

 ならず者達の仲間?」と僕が聞く。

 「失礼ね!

 誰が痴女よ!」

 僕の後ろから痴女(おねえさま)が声をかけてくる。

 あ、ダメだ。

 このタイプのお姉さん、大好きだけど面と向かって話せない。

 このニュアンス、コミュ障にしか伝わらないよね。

 『好きなタイプの女の人ほど会話出来ない』ってヤツ。

 「・・・・・」僕は黙り込む。

 「あら?

 警戒されてるのかしら?

 心配しないでも敵じゃないわよ。

 私はこの村の冒険者ギルドの男性職員が助けを求めに来た港街『ドスカラス』の冒険者ギルドの『アンジェ』よ。

 一応『上級冒険者』ね」と痴女(おねえさま)

 「『上級冒険者』って!

 依頼するだけで、高額な依頼料金を払わなきゃいけない、てあの!?」と受付嬢が驚いている。

 「そうよ。

 受付嬢(あなた)の同僚の男達、なかなかの根性ね。

 非戦闘職のクセにこの村から港街(ドスカラス)まで助けを求めに駆け付けるって。

 しかも自分達がボロボロのクセに『依頼料は何をしても必ず支払います。自分達の同僚の女の子達を助けて下さい!』とか。

 『金じゃ動かない』って言われてる私も、心を動かされちゃったわ!」と痴女(おねえさま)

 つまり痴女(おねえさま)港街(ドスカラス)から冒険者ギルドの女性職員達を助けに、遥々この村へ来たのだ。

 斬馬刀で轢かなくて本当に良かった。

 「でも一人で大丈夫だったんですか?」と受付嬢。

 「受付嬢(あなた)、ギルド職員のクセに一級冒険者の実力をなめてるわね」と痴女(おねえさま)


 痴女(おねえさま)がジロジロと僕を見る。

 人の顔を見れない、まして綺麗な女の人ならなお挙動不審となり、場合によっては不審過ぎて『犯罪者予備軍』と呼ばれる僕は得意の愛想笑いで応える。

 「デュフフフフ」

 『100万ドルの笑顔』ならぬ『3ドラクマの笑顔』だ。

 因みに『ドラクマ』とは『ユーロ』が導入される前のギリシャの通貨だ。

 1ユーロは約340ドラクマだったらしい。

 ユーロの価値なんて知らない。

 (何か私、変な事言ったかしら?

 何で笑われてるのかしら?)

 痴女(おねえさま)は考えたが本当のところを理解出来る訳がない。

 「貴女、見てたわよ!

 入り口から入って来るや否や、ならず者を弾き飛ばす手際たるや・・・私も勉強させてもらうわ!

 『ならず者には何も与えるな、言葉も名前もだ』はああやって体現するのね!」痴女(おねえさま)がしきりに感心している。

 「話したい事は沢山あるわ。

 どう?

 この後みんなで公衆浴場に行かない?

 裸のお付き合いをしましょう!」と痴女(おねえさま)

 するとどこに潜んでいたのか、というぐらい沢山のギルド職員の女の子達がキャーキャー言いながら集まって来た。

 そりゃ、ならず者にギルドが占拠されてて、目立たないように潜伏してたら風呂入れてないよな。

 しかし、この集団と一緒に風呂入るのか。

 

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