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Aランクの依頼への挑戦

## 王城への出発


王城への訪問予定日の朝、花子はいつもより早起きして身支度を整えていた。


「うわぁ、王様に会うなんて...緊張するわぁ」


プルちゃんも花子の肩の上で、いつもより小さくなっている。


『プルプル...』


「プルちゃんも緊張してるん?大丈夫やで、みんな一緒やから」


花子が着ているのは、ギルドで用意してもらった冒険者らしからぬ上品な服装だった。深い緑色のドレスに、軽い外套。それでも腰には愛用の和包丁を携えている。


「お〜、花子さん、似合ってますね!」


宿屋の階下で待っていたライトが声をかけた。彼も普段の軽装ではなく、きちんとした式服を着ている。


「ありがとう、ライトさんも立派やね」


「僕たちも準備できました」


ミラとケンも現れた。ミラは上品な青いローブ、ケンは茶色の正装用レザーアーマー。


「みんな、なんかいつもと雰囲気違うなぁ」


「そりゃそうですよ。王様に会うんですから」


ケンが苦笑いしている。


「でも、なんで私たちみんなが呼ばれたんやろ?」


「『風味良好』として実績を積んでいるパーティだからじゃないでしょうか」


ミラが推測した。


「最近の依頼の成功率、100%ですからね」


「そうなん?」


「はい。特に先日の護衛依頼での『元盗賊更生』は、王宮でも話題になってるそうです」


## 王城への道のり


ギルドの前では、宮廷料理長のジャン・ピエールが立派な馬車で待っていてくれた。


「おはようございます、皆さん」


「おはようございます」


4人が揃って挨拶する。


「本日はお忙しい中、ありがとうございます」


「こちらこそ、ありがとうございます」


ライトが代表して答えた。


「それでは参りましょう。王城までは約1時間の道のりです」


立派な馬車に乗り込む一行。馬車の内装は花子が見たこともないほど豪華だった。


「すごいなぁ...まるで映画の世界みたい」


「映画?」


「あ、えっと...遠い国の娯楽です」


花子は慌てて誤魔化した。


馬車が動き出すと、町の景色がゆっくりと流れていく。


「王様って、どんな方なんですか?」


花子がジャン・ピエールに尋ねた。


「アルフレッド陛下は、とても聡明で心優しい王様です」


「特に、国民の生活向上に関心が高く、新しい技術や才能を見つけると、必ず会ってくださいます」


「そうなんですか」


「ただし、非常に料理にうるさい方でもあります」


ジャン・ピエールが苦笑いした。


「宮廷料理長の私も、時々お叱りを受けるほどです」


(うわぁ、プレッシャーが...)


## 王城の威容


1時間後、一行の前に巨大な建造物が現れた。


「うわああ...でっかい」


花子が思わず声を上げる。


白い石造りの王城は、まさに童話の世界から抜け出したような美しさだった。幾つもの尖塔が空に向かって伸び、色とりどりの旗がはためいている。


「すげぇな...」


ケンも感嘆している。


「私たちみたいな冒険者が入っていいところなんですか?」


ミラが不安そうに聞いた。


「もちろんです。陛下が直々にお招きになったのですから」


馬車は王城の正門を通り抜け、広大な中庭に停車した。


「さあ、参りましょう」


## 王宮での出迎え


王城の中は外観以上に豪華絢爛だった。大理石の柱、美しいタペストリー、シャンデリア...


「まるで美術館みたい」


花子が呟く。


「皆様、こちらです」


案内してくれた侍従に従って、長い廊下を歩いていく。


廊下の両側には、歴代の王や王妃の肖像画が飾られている。どれも威厳に満ちた表情だ。


「あの、王様って怖い人やないですよね?」


花子が小声でジャン・ピエールに聞いた。


「ご安心ください。とても気さくな方です」


「でも、礼儀は大切ですので、お気をつけて」


「は、はい」


やがて、大きな扉の前に到着した。


「陛下の執務室です」


侍従が扉をノックする。


「陛下、『風味良好』の皆様がお見えになりました」


「入ってもらいなさい」


中から、思ったより優しい声が聞こえてきた。


## 国王との対面


扉が開かれると、そこには想像していたよりもずっと親しみやすい雰囲気の男性が座っていた。


40代半ばくらいで、髭を生やした品のある顔立ち。王冠ではなく、簡素な金の輪を頭に乗せている。


「ようこそ、『風味良好』の皆さん」


国王アルフレッドが立ち上がって迎えてくれた。


「き、緊張します...」


花子が震え声で言うと、国王は大らかに笑った。


「堅苦しい挨拶は抜きにしましょう。楽にしてください」


「ありがとうございます」


ライトが深々と頭を下げる。


「まず、先日の護衛依頼での活躍、見事でした」


「特に、盗賊を更生させたという話には感銘を受けました」


「恐縮です」


「座ってください。お茶でも飲みながら話しましょう」


国王の気遣いで、一行はリラックスできた。


「鈴木花子さん、あなたの料理の話は王立魔法学院から詳しく聞いています」


「は、はい」


「千年ぶりの『神饌調理術』の継承者...実に興味深い」


国王の目が輝いている。


「ぜひ、その料理を味わってみたいのですが」


## 王様への料理披露


「もちろんです!喜んで作らせていただきます」


花子は急に元気になった。料理の話になると、緊張も和らぐ。


「ただし、条件があります」


国王が微笑む。


「厨房は使わず、ここで作ってもらえますか?」


「ここで?」


「はい。あなたの調理技術を、この目で見たいのです」


「分かりました」


花子は立ち上がった。


「プルちゃん、お手伝いお願いします」


『プルプル♪』


プルちゃんが元気よく鳴く。


侍従が簡単な調理器具と食材を運んできてくれた。


「何を作りましょうか?」


「そうですね...『心身回復の特製スープ』はいかがでしょう?」


「心身回復?」


「はい。体力だけでなく、精神的な疲労も回復する効果があります」


国王が興味深そうに身を乗り出した。


「王様のお仕事は大変でしょうから、きっとお役に立てると思います」


## 調理の実演


花子は持参した和包丁を取り出した。


「美しい包丁ですね」


国王が感嘆する。


「祖母の形見なんです」


「なるほど...その包丁にも秘密がありそうですね」


花子は手際よく野菜を切り始めた。和包丁の切れ味は相変わらず素晴らしく、野菜が美しく切り分けられていく。


「おお...」


国王だけでなく、居合わせた宮廷料理人たちも感嘆の声を上げている。


「あの包丁さばき、芸術的ですね」


「20年料理をしていますが、あんな美しい切り方は見たことがありません」


次に、花子は特別な食材を加えていく。


森で採取したヒーリングハーブ、心を落ち着かせる効果のある青い花、活力を与える赤い実...


「これらの食材は?」


「全て自分で採取したものです」


「食材の鑑定も、祖母に教わりました」


プルちゃんが火力調整を手伝って、スープがことこと煮えている。


やがて、執務室に素晴らしい香りが漂った。


「いい匂いですね」


国王が深く息を吸う。


「もうすぐできあがります」


花子が味を確認すると、スープが淡い金色に光っていた。


「できました。『心身回復の黄金スープ』です」


## 国王の感動


「光っている...」


国王が驚いている。


「これが神饌調理術の特徴なんです」


花子がスープをお椀に盛って差し出した。


「いただきます」


国王が一口飲んだ瞬間——


「おお!」


国王の体が温かい光に包まれた。


「これは...素晴らしい」


国王の表情が見る見る明るくなっていく。


「体が軽くなって、心も晴れやかになりました」


「国政で溜まっていた疲れが、すっかり取れています」


国王は深く感動していた。


「このような料理は初めてです」


「宮廷料理とは全く別の次元ですね」


宮廷料理人たちも試飲させてもらって、その効果に驚愕していた。


「これは革命的です」


「魔法を使わずに、これほどの効果を...」


## 重大な相談


「実は、皆さんにお願いがあるのです」


国王が改まった表情になった。


「お願い?」


「はい。実は、我が国は今、重大な危機に直面しています」


国王が地図を広げる。


「北の国境近くで、古代の遺跡が発見されました」


「遺跡?」


「ええ。どうやら、千年前の魔法文明の遺跡のようです」


「しかし、その遺跡から魔物が大量に発生し始めているのです」


ライトが身を乗り出した。


「魔物の種類は?」


「古代種と呼ばれる、通常の魔物より遥かに強力な種族です」


「現地に派遣した冒険者パーティも、全て撤退を余儀なくされました」


「それは...大変ですね」


ケンが厳しい表情になった。


「そこで、花子さんの力をお借りしたいのです」


国王が花子を見つめる。


「私の?」


「はい。古代の遺跡であれば、千年前の神饌調理術が何らかの鍵を握っているかもしれません」


「それに、古代種の魔物相手には、通常の戦術では通用しません」


「あなたの料理による能力向上が必要不可欠なのです」


## Aランクの依頼


「つまり、遺跡の調査をしてほしいということですか?」


ライトが確認した。


「そうです。ただし、これはAランクの依頼となります」


「Aランク?」


花子が首を傾げる。


「冒険者ランクの最上位の一つです」


ミラが説明してくれた。


「通常、Dランクから始まって、C、B、A、Sという順序で上がっていきます」


「Aランクは、国家レベルの重要任務です」


「そんな大変な依頼...」


花子が不安になった。


「もちろん、危険は承知しています」


国王が申し訳なさそうに言った。


「ですが、他に頼める人がいないのです」


「報酬は金貨100枚、成功すれば追加で金貨50枚お支払いします」


「きん、金貨100枚?」


花子が目を丸くした。


「それだけ重要で危険な任務ということです」


「皆さんで相談して、お返事をください」


## パーティでの相談


国王から時間をもらって、4人は別室で相談していた。


「どうする?」


ライトが切り出した。


「Aランクの依頼は確かに危険だ」


「でも、断ったら他に解決方法がないみたいですね」


ミラが考え込んでいる。


「僕は、やってみたい気持ちもあります」


ケンが言った。


「今までの依頼より遥かに難しいでしょうけど、やりがいもありそうです」


「花子さんは、どう思いますか?」


みんなが花子を見つめる。


「うーん...」


花子は和包丁を見つめた。包丁が温かく脈打っている。


「おばあちゃんも、きっと同じような状況があったんかな」


「同じような状況?」


「この包丁、千年前のものらしいから...もしかしたら、その遺跡と関係があるかもしれん」


「なるほど」


「それに...」


花子が顔を上げた。


「困ってる人がいるなら、放っておけません」


「私の料理で、少しでもお役に立てるなら」


『プルプル♪』


プルちゃんも賛成するように鳴いた。


「決まりですね」


ライトが微笑む。


「『風味良好』、Aランクの依頼、受けましょう」


## 依頼の受諾


「陛下、私たちの答えは決まりました」


ライトが国王に報告した。


「お聞かせください」


「依頼をお受けします」


「本当ですか?」


国王の顔が明るくなった。


「ありがとうございます」


「ただし、条件があります」


花子が口を開いた。


「条件?」


「現地で料理を作るための設備と食材の支援をお願いします」


「それと、万が一の時の救援部隊の準備も」


「もちろんです」


国王が即答した。


「必要なものは全て用意させます」


「ありがとうございます」


「それから」


国王が真剣な表情になった。


「この依頼の詳細は、極秘扱いとさせていただきます」


「遺跡の存在が広まると、パニックになりかねませんので」


「分かりました」


## 出発の準備


「出発は3日後を予定しています」


国王が説明を続けた。


「それまでに、装備の点検と補強を行ってください」


「Aランクの魔物相手では、現在の装備では不十分かもしれません」


「装備は王室で用意させていただきます」


「恐縮です」


「何を言っているのです。国を救っていただくのですから」


その時、扉がノックされた。


「陛下、王立魔法学院のアルバート教授がお見えです」


「おお、アルバート」


アルバート・マクグリガーが現れた。


「陛下、そして花子さん、お疲れさまです」


「アルバートさん」


花子が嬉しそうに挨拶する。


「遺跡の件で、お話があります」


## 遺跡の詳細情報


「こちらが、遺跡の詳細な調査結果です」


アルバートが資料を広げた。


「この遺跡は、『神域の間』と呼ばれていた古代の聖地のようです」


「神域の間?」


「はい。千年前、神饌調理術の修行場として使われていた場所です」


花子が身を乗り出した。


「私の料理と関係が?」


「大いにあります。恐らく、この遺跡には神饌調理術の秘伝が隠されているでしょう」


「秘伝?」


「そして、その秘伝を守るために、古代種の魔物が配置されているのです」


「つまり、番人みたいなものですか?」


ライトが確認した。


「その通りです。ですから、力ずくで倒すだけでは解決しません」


「何らかの条件を満たす必要があるでしょう」


「その条件を満たせるのが...」


「花子さんの神饌調理術、ということですね」


ミラが推察した。


「可能性は高いです」


## 特別な装備


「それでは、皆さんに特別な装備を用意させていただきます」


国王が侍従に合図した。


運び込まれたのは、今まで見たこともない美しい装備の数々だった。


「うわぁ...」


花子が目を輝かせる。


「これは『精霊銀』で作られた軽鎧です」


侍従が説明してくれた。


「魔法攻撃への抵抗力が高く、動きやすさも兼ね備えています」


ライトには『聖騎士の剣』、ミラには『賢者の杖』、ケンには『精霊の弓』が用意されていた。


「そして、花子さんには...」


国王が特別な箱を取り出した。


「これは?」


「『神饌の調理具セット』です」


箱を開けると、美しい調理器具が収められていた。


「千年前の神饌調理術師が使っていたものを復元したものです」


「すごい...」


花子が一つ一つ手に取ってみる。どれも和包丁と同じような温かみを感じる。


「きっと、あなたの料理の効果を高めてくれるでしょう」


## 最後の準備


「明日と明後日は、装備の調整と最終準備に充ててください」


国王が指示した。


「そして出発前夜には、壮行会を開かせていただきます」


「壮行会?」


「はい。国を代表する重要任務ですから」


「恐縮です」


「それでは、本日はこれで失礼させていただきます」


ライトが丁寧に挨拶した。


「お疲れさまでした」


「こちらこそ、ありがとうございます」


国王が深々と頭を下げた。


「皆さんの無事な帰還を、心よりお祈りしています」


## 帰路の感想


王城からの帰り道、馬車の中で4人は今日の出来事を振り返っていた。


「すごい一日でしたね」


ミラが感慨深そうに言った。


「まさか王様から直接依頼を受けるなんて」


「しかもAランクの依頼だなんて」


ケンも興奮していた。


「僕たち、結成してまだ1ヶ月も経ってないのに」


「本当にできるんかなぁ」


花子が不安そうに呟いた。


「大丈夫ですよ」


ライトが励ましてくれる。


「今まで、花子さんの料理があれば何でも乗り越えてきたじゃないですか」


「今度も、きっと大丈夫です」


『プルプル♪』


プルちゃんも自信満々に鳴いている。


「プルちゃんも頑張る気やね」


## 新たな決意


その夜、宿屋の部屋で花子は一人考え込んでいた。


「Aランクの依頼かぁ...」


和包丁を手に取ると、いつもより強く光っているような気がした。


「おばあちゃん、私にできるかな?」


包丁の光が、まるで「大丈夫」と言っているように感じられた。


「そうか...この包丁が、遺跡と関係があるんやもんね」


もしかすると、祖母もかつて同じような冒険をしたのかもしれない。


「よし、決めた」


花子は立ち上がった。


「今度こそ、この料理の力で、みんなを守り抜く」


「そして、遺跡の謎も解いてみせる」


プルちゃんが『プルプル♪』と力強く鳴いた。


## 翌日からの準備


翌朝から、花子たちは本格的な準備に取りかかった。


「まずは、新しい装備に慣れることですね」


ライトが精霊銀の軽鎧を着込んでいる。


「軽い!そして魔法抵抗力も高い」


「私の杖も、魔力の増幅率が段違いです」


ミラも賢者の杖を振ってみている。


「この弓、射程距離が2倍になってる」


ケンも精霊の弓に感動していた。


花子は神饌の調理具セットを試していた。


「この鍋、普通の鍋と全然違う」


料理を作ってみると、効果が確実に上がっている。


「筋力向上の効果が1.5倍になってる」


「これなら、古代種の魔物相手でも戦えそうですね」


## 特別訓練


王城では、Aランク依頼に向けた特別訓練も実施された。


「古代種の魔物の特徴について説明します」


王室魔法師が講師を務める。


「通常の魔物と比べて、魔法抵抗力、物理抵抗力共に3倍以上です」


「そんなに?」


ケンが驚く。


「さらに、特殊な能力を持つ個体も多数存在します」


「例えば、時間を操る能力、空間を歪める能力など」


「うわぁ...想像を超えてる」


花子が青くなった。


「ですが、弱点もあります」


「弱点?」


「古代種は、神聖な力に弱いのです」


「神聖な力?」


「花子さんの神饌調理術は、まさに神聖な力です」


「あなたの料理を食べた状態なら、通常の3倍の効果が期待できるでしょう」


花子の表情が明るくなった。


「それなら、なんとかなりそうやね」


## 壮行会


出発前夜、王城の大広間で壮行会が開かれた。


「本日は、勇敢なる冒険者『風味良好』の皆さんの壮行会にお集まりいただき、ありがとうございます」


国王の挨拶で会が始まった。


参加者は王族、貴族、高位の騎士、魔法使いなど、錚々たる面々だった。


「緊張するなぁ...」


花子が小声で呟く。


「大丈夫、いつも通りでいいんです」


ライトが励ましてくれた。


「それでは、花子さんに特別料理を作っていただきましょう」


国王のリクエストで、花子は参加者全員に料理を振る舞うことになった。


「よし、腕の見せ所や」


花子は気合いを入れて調理を始めた。


新しい調理具セットを使って、『勇気と絆の特製ディナー』を作る。


「うわぁ、美しい」


「いい匂いだ」


参加者たちが感嘆の声を上げる。


完成した料理は、まばゆいばかりの光を放っていた。


「いただきます」


全員で料理を食べると、会場全体が温かい光に包まれた。


「素晴らしい!」


「こんな料理は初めてだ」


「これなら、きっと成功するぞ」


参加者たちの士気も大いに上がった。


## 出発の朝


ついに出発の朝が来た。


「いよいよですね」


ライトが緊張した面持ちで言った。


「ええ、頑張りましょう」


花子も決意を新たにしている。


王城の正門には、見送りの人々が集まっていた。国王、宮廷料理長、アルバート教授、そして多くの騎士たち。


「皆さんの無事な帰還を祈っています」


国王が最後の激励をしてくれた。


「必ず成功させて帰ります」


ライトが力強く答えた。


「『風味良好』、出発します!」


4人と1匹を乗せた馬車が、王城を後にした。


行き先は北の国境近く、古代の遺跡『神域の間』。


花子の神饌調理術が、千年の時を超えて、再び古代の謎と向き合う時が来た。


「おばあちゃん、見ててね」


花子は和包丁を握りしめながら、未知なる冒険への道のりを見つめていた。


『プルプル〜!』


プルちゃんも元気よく鳴いて、新たなる挑戦への意気込みを表していた。


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