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魔王復活の知らせと世界各地の被害状況

## 平和な日常の終わり


国際食の祭典から半年が経った春の朝、花子は料理学院で第3期生たちの指導をしていた。


「今日は『希望の光パン』の応用編を学びましょう」


「はい、先生!」


50人の学生たちが元気よく返事をする。


花子料理学院は今や世界最高峰の料理教育機関として認知されており、各国から優秀な学生が集まっていた。


「エリカちゃん、今日の調子はどう?」


「絶好調です!新しい技術も習得できそうです」


最初の弟子だったエリカは、今や立派な上級講師になっていた。


「プルちゃんも元気やね」


『プルプル♪』


プルちゃんは以前より一回り大きくなり、炎の制御技術も格段に向上していた。


「先生、質問があります」


一人の学生が手を上げた。


「神饌調理術の最上級技術って、どこまで可能なんですか?」


「うーん、まだ私も全部は分からないんよ」


花子が神饌調理術大全を開く。


「この本にも、まだ解読できていない部分がたくさんあるし」


実際、古代遺跡で発見した神饌調理術大全には、花子でも理解できない高度な技術が多数記載されていた。


「でも、料理の可能性は無限大やから、みんなで一緒に新しい境地を目指しましょう」


平和で充実した日々。


しかし、その平穏は突然破られることになる。


## 緊急事態の知らせ


午後の実習中、突然学院の扉が勢いよく開かれた。


「花子さん!大変です!」


駆け込んできたのは、息を切らせたアルバート教授だった。


「アルバートさん?どうしたんですか?」


「緊急事態です。すぐに王城へ」


「緊急事態?」


花子は嫌な予感がした。


「各国の大使からも緊急召集がかかっています」


「魔王が...魔王が復活したのです」


その瞬間、学院内が静寂に包まれた。


「魔王って...まさか」


「はい。千年前に封印された大魔王ザフィールが復活しました」


学生たちがざわめき始める。


「千年前の魔王...」


花子は神饌調理術大全の記述を思い出していた。確かに、千年前の大戦についての記述があった。


「被害状況は?」


「それが...想像を絶する規模です」


アルバートの表情が暗くなる。


「エリカちゃん、みんなをお願いします」


「分かりました。気をつけて行ってきてください」


『プルプル...』


プルちゃんも心配そうに鳴いている。


「プルちゃん、一緒に来てくれる?」


『プルプル!』


## 王城での緊急会議


王城の大会議室には、各国の要人が集まっていた。


国王アルフレッドを始め、ベルモンド王国、フォレストランド王国、デザート王国などの代表者たち。


「花子さん、お疲れさまです」


国王が深刻な表情で迎えてくれた。


「魔王復活の件、本当なんですか?」


「残念ながら事実です」


王国魔法師団長が説明を始める。


「3日前、北の大陸で巨大な魔力反応が観測されました」


「その直後から、世界各地で異常事態が発生しています」


大きな魔法マップが会議室の中央に浮かび上がった。


世界地図の各所に赤い警告マークが点滅している。


「これが現在の被害状況です」


## 世界各地の惨状


「まず、魔王復活の震源地となった北の大陸では...」


マップが拡大表示される。


「大地が裂け、空が血のように赤く染まっています」


「住民は全員避難しましたが、農地は完全に破壊されました」


花子は胸が痛んだ。せっかく復興した農地が。


「東の海域では、海が黒く変色」


「魚が大量死し、沿岸部の街では飢饉が始まっています」


ベルモンド王国の代表が報告する。


「我が国の海産物も、ほぼ全滅状態です」


「南の砂漠地帯では、オアシスが全て干上がりました」


デザート王国の大使が続ける。


「水不足で、多くの民が苦しんでいます」


「西の森林地帯も深刻です」


フォレストランド王国から。


「古い木々が一夜にして枯れ果て、森の精霊たちが姿を消しました」


## 魔物の異常発生


「さらに深刻なのは、魔物の異常発生です」


魔法師団長が続ける。


「通常の10倍以上の魔物が各地に出現しています」


「しかも、従来より遥かに凶暴化しています」


「各国の冒険者ギルドからの報告では...」


資料が配られる。


「Sランク相当の魔物が、街の近くにまで出現」


「通常のBランク魔物でさえ、Aランク並みの力を持っています」


花子は愕然とした。


「それじゃあ、普通の冒険者じゃ対処できません」


「その通りです」


「既に複数の街が魔物に襲撃され、甚大な被害が出ています」


## 農業と食糧問題


「最も深刻なのは、食糧問題です」


今度は各国の農業大臣が報告を始める。


「魔王復活の影響で、世界中の農地が汚染されています」


「作物が育たず、家畜も次々と病気になっています」


花子の専門分野だった。


「汚染の原因は分かりますか?」


「魔王の『絶望のオーラ』が大気に混じっているようです」


「絶望のオーラが作物に影響を...」


これは花子にとって聞き捨てならない問題だった。


「このままでは、3ヶ月以内に世界規模の大飢饉が発生します」


「各国の食料備蓄も底をつき始めています」


「何とかしなければ、魔王と戦う前に民が飢え死にしてしまいます」


## 過去の記録


「千年前の記録を調べました」


王立図書館長が古い書物を持参していた。


「前回の魔王戦では、勇者パーティが魔王を封印しました」


「勇者パーティ?」


「はい。勇者、魔法使い、戦士、僧侶、そして...」


図書館長が興味深い記述を読み上げる。


「『神饌の料理人』という記録があります」


花子は身を乗り出した。


「神饌の料理人?」


「詳細は不明ですが、勇者パーティの支援をしていたようです」


「魔王との最終決戦でも、重要な役割を果たしたと記されています」


アルバートが花子を見つめる。


「まさに、花子さんの先祖かもしれませんね」


## 現在の戦力分析


「現在の各国の戦力を分析した結果...」


軍事顧問が厳しい表情で報告する。


「単独では魔王に対抗できません」


「各国の精鋭を集めても、せいぜい四天王と互角程度でしょう」


「四天王?」


「魔王の配下の4人の大魔将です」


「『絶望の騎士』『破滅の魔女』『虚無の賢者』『混沌の巨人』」


「それぞれが国一つを滅ぼせる力を持っています」


花子は戦慄した。


「そんなに強い敵が4人も...」


「そして魔王は、その四天王を遥かに上回る力を持っています」


## 希望の光


「しかし、希望もあります」


国王が立ち上がった。


「花子さん、あなたの神饌調理術は、この危機の解決策になり得ます」


「私の料理が?」


「はい。既に実証されているじゃないですか」


「領地復興、国際平和、文化交流...」


「あなたの料理は、絶望を希望に変える力を持っています」


アルバートも続ける。


「神饌調理術大全にも、『絶望を払う料理』について記載があります」


「まだ解読できていませんが、きっと手がかりがあるはずです」


「でも、私一人では...」


「もちろん、一人ではありません」


## 世界連合の結成


「この危機に対処するため、史上初の世界連合を結成します」


国王が宣言した。


「全ての国が力を合わせ、魔王討伐に取り組みます」


各国代表が立ち上がった。


「ベルモンド王国も全面協力します」


「フォレストランド王国も」


「デザート王国も」


「アイスランド公国も」


次々と協力の声が上がる。


「そして、世界連合の特別顧問として」


国王が花子を見つめる。


「花子さんに就任していただきたいのです」


「特別顧問?」


「はい。食糧問題の解決と、勇者パーティの支援をお願いします」


## 重大な決断


花子は考え込んだ。


これまでの料理で人を助ける活動とは、全く次元の違う話だった。


世界の命運がかかっている。


「私なんかで本当に大丈夫なんでしょうか?」


その時、和包丁が腰で温かく光った。


(おばあちゃん...)


きっと祖母も、千年前に同じような決断をしたのかもしれない。


『プルプル』


プルちゃんが励ますように鳴く。


「分かりました」


花子が立ち上がった。


「やらせていただきます」


会議室に拍手が響いた。


## 緊急対策の開始


「それでは、緊急対策を開始します」


国王が指示を出す。


「まず、花子さんには『絶望汚染』を浄化する料理の開発をお願いします」


「分かりました」


「各国は食糧の融通と、避難民の受け入れを」


「勇者の選定も急ピッチで進めます」


「魔王城の場所は特定できていますか?」


花子が聞く。


「北の大陸の中央に、巨大な暗黒城が出現しています」


「恐らく、そこが魔王城でしょう」


「でも、周囲は強力な結界で守られています」


「正面突破は困難です」


## 時間との勝負


「魔王の力は日に日に強くなっています」


魔法師団長が警告する。


「このままでは、1ヶ月で封印が完全に解けてしまいます」


「そうなれば、魔王は全盛期の力を取り戻します」


「つまり、1ヶ月以内に何とかしなければ...」


「世界は終わります」


重い沈黙が会議室を支配した。


「でも、みんなで力を合わせれば大丈夫」


花子が明るく言った。


「これまでも、料理の力でいろんな問題を解決してきました」


「今度も、きっと大丈夫です」


花子の言葉に、皆の表情が明るくなった。


## 各自の役割分担


「それでは、具体的な役割分担を決めましょう」


「花子さんは、絶望汚染浄化料理の開発」


「同時に、勇者パーティの支援料理も」


「はい」


「各国は、食糧支援と避難民保護」


「魔法学院は、古代文献の解読」


「冒険者ギルドは、魔物対策」


「騎士団は、避難民の護衛」


それぞれの役割が決まっていく。


「定期的に進捗報告をし、情報を共有します」


「連絡は魔法通信で」


## 料理学院での研究開始


会議を終えて料理学院に戻った花子は、緊急研究チームを編成した。


「みなさん、世界の危機です」


学生と講師たちが集まった。


「絶望汚染を浄化する料理を開発しなければなりません」


「先生、私たちにできることがあれば何でも」


エリカが真剣な表情で言った。


「ありがとう。みんなで力を合わせよう」


神饌調理術大全を開いて、関連する記述を探し始める。


「『絶望を払う光の料理』...これかな」


古代文字で書かれた複雑なレシピ。


「解読に時間がかかりそうです」


## 世界各地からの報告


その夜、世界各地から深刻な報告が続々と届いた。


「東の港町で魔物の大群が出現」


「南の農村が全滅」


「西の森で古代種のドラゴンを確認」


「北の山脈に魔王軍の前哨基地建設中」


どの報告も絶望的な内容だった。


「被害がどんどん広がってる...」


花子は焦りを感じていた。


『プルプル...』


プルちゃんも心配そうだ。


「でも、諦めたらあかん」


「絶対に、みんなを守り抜く」


和包丁を握りしめながら、花子は決意を新たにした。


## 新たな敵の出現


翌朝、さらに衝撃的な報告が入った。


「魔王軍の斥候が各地に出現しています」


「人型の魔物で、知能も高い」


「しかも、こちらの情報を探っているようです」


「情報収集?」


「はい。特に、花子さんのことを調べているという報告が」


花子は背筋が寒くなった。


「私のことを?」


「神饌調理術師の存在を警戒しているのでしょう」


「千年前も、神饌の料理人が重要な役割を果たしましたから」


つまり、花子は既に魔王軍の標的になっているということだった。


## 護衛の配置


「花子さんの身辺警護を強化します」


国王から指示が来た。


「王国最強の騎士団を派遣します」


「そんな大げさな...」


「大げさではありません。あなたは世界の希望なのです」


確かに、花子が倒されてしまえば、絶望汚染の浄化も、勇者パーティの支援もできなくなる。


「分かりました」


「それと、料理学院の警備も強化します」


「学生たちの安全も重要ですから」


## 研究の進展


3日間の集中研究で、ようやく手がかりを掴めた。


「『光の種子スープ』...これが基本レシピのようです」


古代文字の解読が進み、絶望汚染浄化料理の概要が分かってきた。


「特殊な光の薬草と、希望の水、それに...」


「先生、これは『魂の結晶』と書いてありますね」


マリアが指摘する。


「魂の結晶?」


「これは貴重な鉱物です」


アルバートが説明してくれた。


「人の強い願いが結晶化したもので、滅多に見つかりません」


「でも、光の薬草も希望の水も、聞いたことがありません」


「恐らく、特殊な場所でしか手に入らないのでしょう」


材料の調達から困難を極めそうだった。


## 風味良好の再結成


「花子さん」


夕方、懐かしい声が料理学院に響いた。


「ライトさん!」


扉から入ってきたのは、「風味良好」の仲間たちだった。


「お久しぶりです」


ライト、ミラ、ケンが揃って現れた。


「みんな...」


「緊急事態と聞いて、駆けつけました」


「私たちも、世界を救う戦いに参加させてください」


ライトが真剣な表情で言った。


「でも、今度は本当に危険よ」


「分かっています。でも、花子さんを一人で戦わせるわけにはいきません」


「僕たちは仲間ですから」


ミラとケンも頷いている。


『プルプル♪』


プルちゃんも嬉しそうに鳴いた。


「みんな...ありがとう」


花子は涙が出そうになった。


「それじゃあ、また『風味良好』として一緒に頑張ろう」


「はい!」


最強のパーティが再結成された。


## エピローグ - 暗雲立ち込める世界


その夜、花子は一人で星空を見上げていた。


「とうとう、こんな日が来てしもうたなぁ」


星空さえも、魔王の影響で薄暗く見える。


『プルプル...』


プルちゃんが心配そうに鳴く。


「大丈夫やで、プルちゃん」


「私たちには、これまで培ってきた絆がある」


「料理の力で、きっと世界を救ってみせる」


和包丁が温かく光っている。


「おばあちゃん、見ててね」


「今度は、世界中の人を笑顔にしてみせるから」


遠くの空に、不吉な黒い雲が広がっている。


魔王復活の影響は、日に日に深刻さを増していた。


しかし、花子の心には確かな希望があった。


料理で人を幸せにしてきた経験、仲間たちとの絆、そして世界中の人々の願い。


それらが集まれば、きっと魔王にも勝てるはずだ。


「よし、明日からもっと頑張ろう」


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