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開演、ウサギの解体ショー。

キリが悪いです。すみません


―――――――私は震える指で、ウィンドウのボタンを押す。

押したボタンは、配信開始の文字。そう、配信者になるのだ。私の美貌を全世界に配信するのだ。

本来ならばこのようなことはしたくなかった。でも、仕方ない。

だって、お年玉やらお小遣いやらをこのゲームに注ぎ込んだせいで金がねぇ!

VRの媒体はめっちゃ高く、20万円くらいの値段。そしてこのゲーム自体が9100円なので、私の購入した総額は22万円を超えている。高校生にしてはこの金額は頑張ったと思う。

バイトを大量にこなし、お小遣いを貰い受け、最終的にお年玉をつぎ込むレベルまで行ったんだ。それでもギリギリだったんだぞ!?最近のゲームは高ぇよ!

まぁ、そんなこんなで配信開始だ。もとを取るまで辞めるつもりはない。これは断言する。

おっと、はじめから視聴者が26人もいるぜ。最高だ。

取り敢えずロールプレイしていきましょう。ちょっとした時にボロが出ると最悪だからね。


「ようこそお越しくださいました初見の方々。私はミストと言います。今日はモンスターの解体をメインにしていきたいと思っているのでグロ注意でお願いします。」


掴みはうまく行ったはずだ。そう信じよう。

【解体用ナイフ】が出現したので私は手にとってウサギの角を切り落とすようにナイフを入れ込む。

深くから角が生えているようで、なかなか難しい。ナイフを押し込んで角を剥がし、水で洗って置いておく。


「これで角はOKですね。次は毛皮を剥がしましょうか。」


解体の途中で、ポツポツとコメントが送られてくる。


:コメント:

:解体うまくね?しかも美人。

:マニュアル解体って難易度高めって有名だよな?

:解体業の方ですか?

:解体業(肉)


「コメントありがとうございます!私が解体上手いと言ってくださっている方もいますが、簡潔に言うと、『解体新書〜今日から君も解体マスター!〜』ってゲーム知ってます?アレのおかげですね。」


:コメント:

:すぅうう………マジか……

:難易度イージーが難易度鬼畜のクソゲーじゃないですか!ヤダー!

:そりゃ上手くなるわぁ。ちなどこまで行ったん?


コメント欄がこのゲームの名前を伝えた途端に騒がしくなる。

『解体新書〜今日から君も解体マスター!〜』はフルダイブVRが開発された直後に発売されたグラフィック、感覚、サウンドまで凝りに凝った難易度以外は文句なしのゲーム。発売当初はめちゃくちゃ売れたんだけど、あまりの鬼畜難易度に脱落者が続出したゲームね。

ゲームの内容は、あらゆる生物の討伐と解体。プレイヤーはハンターとなって、生物、ウサギやイノシシ、果てにはドラゴンなども討伐して解体する屈指のボリューム。

ハンターにはレベルがあり、レベルごとに討伐可能な生物が増えていくシステムだった。

私はこのゲームを隠しボスのキメラまで討伐と解体を一人で行ってクリアしたプレイヤーの一人。

ランキングは7位。上位ランカーはおかしい、討伐終了した直後にもう解体始めてるからね。あれはヤバイ。生物倒すのに平均3時間かかるのに、その終了直後とか頭おかしくなるからね。


「私は隠しボスまで全部行きましたよ。ソロで。」


:コメント:

:は?

:え?

:嘘だろ?

:あのキメラをソロで?

:一位でも6人パーティーだったのに


「アレは慣れれば簡単ですよ?ネタバレ注意ですけど、キメラは初手タックルからの毒ヘビ尻尾突きを出してくるので、最初のタックルをパリイすればダウンするんですよ。そこを滅多切りでHP4%位は頑張れば削れます。」


他愛ない雑談をしつつもウサギの毛皮を剥がして肉だけにする。うさぎの毛皮はアイテムボックスに収納してアイテム化しておくことも忘れない。


:コメント:

:すみません、まずあの亜光速タックルを認識できないんですけど……

:タックルをまずパリイできないです。おかしいですか?

:防御特化のバフ最大積み大盾パリイでもふっとばされるので正常です。

:武器種は何がおすすめ?


「武器種は一撃ごとにデバフをかける『大鎌』か、パリイ成功時にバフを自分にかける『大太刀』がおすすめですよ。はい、解体終了です。後は肉を焼くだけですね。」


雑談をしながらする解体は異様に早く終わり、私は食事の準備に取り掛かる。

燃料がないので、虚空に手を伸ばし、新たなスキルを取得する。

そして発動。


「新スキル『キャンプファイアー』!」


突如としてなにもない空間に焚き火が設置された。パチパチと心地の良い音を立てて消えることのない燃料とともに燃え盛っている。


「解体した肉を投入しましょう。」


一口サイズに切り分けたウサギ肉を焼き始め、コメントと雑談をしていく。

しばらく火に焚べたあと、取り出してじっと眺める。

キラキラと輝くウサギ肉の魅力に、私は思わず齧りついた。


「美味しい!」


このゲームは五感も完全再現し、『満腹度』のパラメーターもしっかりついているゲームだ。

五感ということは味覚も含まれており、モンスターの肉の味わいも堪能することができる。

つまり、ウサギ肉は超美味い。乱獲確定だな。

一瞬で平らげてしまうほどにウサギは美味しかった。


後のやることは、ステータス振り分けれとスキルの取得だね。


そうして、私の新しい配信生活が始まった。


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― 新着の感想 ―
配信で食べて行けそうですね。 色んな意味でw
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