燃え上がる再起の炎、その名は
お昼ご飯を満喫した私は再びログインしていた。
本日行うのは、ヴァルラプスくんの召喚と武器メイキングよ!
彼を召喚できると知ってか、ツクヨミの機嫌も良い。
まずはヴァルラプスくんの蘇生を始めよう。
弱体化を少しでも緩和し、彼の真の力に近づけるために念入りに準備をする。
地面に先程手に入れた【望まれぬ紫炎】とドロップしていた【喜びの赤炎】をばらまく。
赤と紫の炎が大地を走り、緩やかに円を描いた。
その中に【ヴァルラプスの魂】をおいて魔力を込め始める。
「『我、永久の世を渡る英傑を求める』」
喉にも魔力を集わせ、『言霊支配』を発動しながら呼ぶ。
彼の魂に炎がゆらめき、徐々にその鼓動を響かせていく。
「『永久を渡る獣よ、死を拒み、生を妬み、眠らぬものを呼び覚ませ』」
付喪神をかざし、そこから魔力の雫を流す。
雫が何度も地面をたたき、浮かぶはずのない波紋を呼ぶ。
「『天より降りて戻り来い、猛火となりて大地を駆けよ!』」
魔力が結晶化していき、バカでかい鍾乳洞のような空間が形成される。
内部では炎が反響し、幻想的な景観を映し出していた。
「『ああ死よ!!もう一度我がもとに戻り、その猛威を振るいたまえ!』」
詠唱を締め切るために大きく手を叩く。
パァンと小気味良い音が響くとともに、結晶が砕け散る。
大きな鍾乳洞から、少しサイズの縮んだヴァルラプスがいた。
違うところといえば、大剣が首に刺さっているのから、背中に背負う様になったのと、鎖にあった足首には炎がまとわりついているようになったことだ。
「かっこいい!!抱きしめちゃう!ぎゅーー!!」
感激のあまりヴァルラプスの許可を取らずに全力でモフる。
首のあたりに顔を埋め、深呼吸する。
ふひゃあー!太陽の匂いがする!いい匂い!
彼の体を堪能していると、誰かから声をかけられた。
「やめてくれ、嬉しいのはわかるがこれ以上は死んでしまう」
「おーけー、やめるね」
ヴァルラプスからの一喝に私は引き下がる他なかった。
触りすぎて嫌われるのは勘弁だからね。
「私との戦いはどうだった?ヴァルラプス」
再開してから、彼の口から絶対に答えを聞きたかった。
彼は本当に満足したのか、私では不足だったのか。
なんとも言えない感情が私の胸の内をかき乱して仕方がない。
真剣な眼差しに、彼はその重苦しい口を開いて答える。
「過去何十年と私は戦い、その度に死を拒んでいた。だが君は諦めず、私に真っ向から迎え撃ってくれただろう?私はそれで満足だったし、何よりも嬉しかったんだ。君が不安ならば答えよう。私を殺すのは、君じゃなきゃだめだったんだ。私を救ってくれてありがとう、ミスト。」
ありがとう、その一言が私の煮詰まったネガティブな感情を焼き払ってくれた。
迷っていた感情の羅列がすべて流れて、私の心を癒やしていく。
ツクヨミも、ヴァルラプスもずっと私の心に寄り添っている。
なら私も彼らの心に寄り添わなければならない。
「大好きだよ、みんな。こんな私と、旅をしてくれますか?」
弱気になった私の問いかけに、彼らは決まっていると言わんばかりに口を開いた。
「「もちろんだ。」」
そう言って彼らは笑った。
釣られて私も笑みをこぼす。
私はどうしようもなく彼らのことが好きみたいだ。気まぐれだったけれど、彼らに会えて本当に良かった。
まだまだ旅は終わらない。
夜明けが訪れ、星々には活気が宿る。
今はまだ眠るが良い。
再起の炎は確かに目覚めたのだから。
ちょっと完結っぽいですけどまだ続きます!




