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エリアボス、襲来。


今日も今日とて私はゲームにログインする。

いやー、最新のVR技術はすごいね。何時間でもできてしまうよ。

今はもう慣れた手つきで配信を開く。


「おはよー。撮れてる?」


:コメント:

:大丈夫だ、問題ない。

:撮れてるよー

:魔術のやつ大丈夫だった?


早速魔術の追いかけに対して心配してくれるコメントがたくさん出てきた。

コメントの流れが早すぎるからあまり見えないけど、クレクレまで湧いてるみたいだね。

あ、クレクレっていうのはアイテムとか武器を他のプレイヤーから貰おうとする人達のこと。

そんな奴らは無視して今日の予定を告げるためのドラムロールを口ずさむ。


「今日することは、どぅるるるるる…………」


:コメント:

:wktk

:セルフドラムロール助かる。

:ワクワク

:楽しみ!


「ジャン!夜の『初心の大草原』でーす!」


その言葉を告げた瞬間、コメント欄の空気が重くなった。

沢山の洗礼を受けたプレイヤーが多いっぽいね。

『初心の大草原』は………というか他のエリアもなんだけど、このゲームは昼と夜で出現するモンスターが違うんだよ。

中でも初心は『絶望の大草原』と呼ばれるほどに難易度が高く、諦めるプレイヤーが続出。

さらにエリアボスが『夜』にしか出現しないので次のエリアに行くために行かなければいけない。

でも優しいことに初心は【撃退】でいいから通り抜けれるんだよね。

討伐には誰も成功してないけど。


「というわけで着きました!」


マップを開いてファストトラベル。

あっという間に夜の草原にたどり着いた。

時々襲ってくるモンスターを討伐し、その後はツクヨミやコメント返信をして、のんびりとした時間を過ごしていた。

昼とは打って変わって、夜の草原は静まり返っている。

まるで私とツクヨミしかこの場にいないような、ちょっとした優越感さえ感じる程にとても気分がいい。


その静寂を破ったのは、爆音で鳴り響く警告音だった。

即座にツクヨミと私は戦闘態勢に入り、アイテムを準備する。

取り出した武器は私の身の丈ほどもある大鎌。

作るときにモチーフにしたのはバイオリンと翼。刃に楽譜が描かれいていて、柄には翼のような刻印を刻んでみた。かっこいいでしょ?

新しく制作した【剣唄の妄執(ディラ・エドゥ)】、お披露目だ。


:コメント:

:大鎌!?かっけぇぇぇぇぇ!!!

:さすがミスト!!そこに痺れる憧れるゥ!!

:使いにくすぎてめったに使い手がいないのに!


戦闘の準備が終わった途端、ジャラジャラと金属の擦れる音が響く。

獣のような息遣いが、足音が、私達の眼の前へと歩んでくる。

殺意や敵意を感じないほどに希薄な存在が、やがてその姿を月光が写す。


四つ足で大地を踏みしめ、右前足には鎖が、首には極大剣が突き刺さっており、歴戦の風貌をした巨狼が目の前に佇む。他のモンスターとは違う圧倒的な存在感を放ち、私たちが始める闘争の厳しさを示す。


そしてクエストが開始される。


『プレイヤー名ミストがエリアボス【死を拒む聖獣】ヴァルラプスと遭遇しました!』


かかってこいよ、ヴァルラプス。


私と彼はお互いに睨みながら相手を牽制する。

先に動いたのは私ではなく、ツクヨミだった。


「AWOOOOOOOOOOOOOOOOOO!!!」


ツクヨミは眼にも止まらぬスピードでヴァルラプスの前足に爪を振り下ろす。

しかし、ヴァルラプスは巨体に見合わぬ敏捷で回避し咆哮する。


「GYAAAAAAAAAAAAAAA!!!!」

「『我らは恐怖せぬもの』!!!」


明らかにヤバそうな咆哮だったので、即座にデバフ抵抗効果を付与する『言霊』を放つ。

その瞬間にウィンドウで【恐怖】、【気絶】を無効化したと通知が来た。

あっぶなぁ!!初見殺しすぎだろ。


「ツクヨミ!魔導を使って!」

「了解した!『月夜に眠りて影をなせ』」


私達を照らしていた月光が輝きを増し、私達に祝福を与えてくれた。

『ムーンフォース』はMP回復効果と月光魔導の威力上昇をしてくれるんだよね。


私もSTR強化の魔導を使い、攻撃力を上げてから大鎌を持って突撃する。

突き出されたヴァルラプスの爪撃を回避し、反撃の一閃を叩き込む。

繰り出した刃は彼の前足を少しだけ切り裂き、振り抜けた。

そのまま回転斬りの要領で腰を捻ってフルスイング。

ヴァルラプスの腹部を大きく傷付け、怯ませる。


巨体的に喰らえば私のHPはフルロストだろうね。

掠っただけでも体が吹き飛びそうだ。

HPの関係上、私の魔術は使えない。

ということで、【剣唄の妄執(ディラ・エドゥ)】の魔術を使う。

武器に付与された魔術は長い詠唱か、バカ高いコストを払うみたいだね。

暇すぎて作りまくった検証結果がでてる。さらにあれ以降『魔神』は干渉してこなくなった。

そんな事を考えつつ私は詠唱する。


「『いざや紡げ、葬礼の唄。いざや祈れ、終夜の翼に。死せし英霊たちに祝福を』!」


ツクヨミがボスを引き付けている間に詠唱をしながら舞を踊る。

こんな感じで他の動作をする、つまり『隙』を作れば作るほど魔術やスキルの効果が上昇するらしい。

詠唱の終了と共に地面を大鎌の柄で叩く。

魔術の名前を私は大声で叫ぶ。


「【偽苦の鳥籠(ヴェクサシオン)】」


その瞬間、大鎌がパシャンと液体のように地面に溶け込んだ。

失敗か?とも思ったがそれは杞憂だったとすぐに知る。

液体が私の右足に纏わりつき、徐々に私の体を登り始めた。

やがて身体全てを覆い尽くした後に硬質化し鎧へと変貌する。

【偽苦の鳥籠】のコストはMPの7分の1を使用することと、苦痛耐性が超低下すること。

ゆえに歩くだけで私の体には激痛が走る。そんなのは我慢できるから大丈夫だけどね。

この状態だと大鎌を使えないから、鎧を薄くして大鎌を取り出す。


さあ、勝負開始だ。




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