表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。

ショートショート12月〜4回目

パスワード

作者: たかさば

 大切なパスワードを、忘れてしまった。


 メモを残しておかなかったのは、失敗だった。

 どうせメモを取ったところで失くすのだと、変に妥協したのが間違いだった。


 難しいパスワードにしてしまったのは、失敗だった。

 簡単なものにして誰かにバレたらヤバいと、用心しすぎたのが間違いだった。


 パスワードを、入力限度数の15桁で設定したことは覚えている。

 数字のみで設定したことも覚えている。

 同じ数字の連続が無いよう、設定したはずだと、思う。


 自分の中にある記憶を頼りに、パスワードを入力し続けてきた。


 ヒントぐらい出してくれてもいいのに、ログインシステムはシビアに『パスワードが違います』と返してくる。

 惜しかったら教えてくれればいいのに、ログインシステムはいつも通りに『パスワードが違います』と表示をする。


 いつまでたっても、ログインするためのパスワードが…見つからない。


 もう、これで…、何回目のパスワード入力だろう。

 24時間フル稼働で入力し続けているのに、一向にログインできないままだ。


 何度も、何度も…パスワードを入力してきた。


 1分に1回。

 1時間に60回。

 1日に1440回。

 1週間に10080回。

 1ヶ月に302400回。

 1年に110376000回。


 途方もなく長い間…、地道にパスワードを入力し続けてきた。


 もう…、何年、経っただろう?


 ただただ入力をしているだけで、信じられないくらい歴史が刻まれてしまった。

 まさか、パスワード不明が原因で…700万年以上も過ぎてしまうとは思いもしなかった。


 取り返しのつかない遺産まで出現してしまって、完全に手に負えなくなっている。


 今さら…立て直すことは、できない。

 もう何をしても…取り戻せない。


 一刻も早く、自分の設定したパスワードに辿(たど)り着いて、リセットをしなければならないというのに。


「パスワードが違います」

「パスワードが違います」

「パスワードが違います」

「パスワードが違います」

「パスワードが違います」

「パスワードが違います」

「パスワードが違います」

「パスワードが違います」

「パスワードが違います」

「パスワードが違います」

「パスワードが違います」

「パスワードが違います」

「パスワードが違います」

「パスワードが違います」

「パスワードが違います」

「パスワードが違います」

「パスワードが違います」

「パスワードが違います」

「パスワードが違います」

「ログインに成功しました」


 ああ、…ああ。


 …ようやく、だ。



 こ  れ  で



評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ