第3話 カリンの家族
「そういえば、モミジさんってなんでこの街を目指してたんですか?」
街に入ると、カリンちゃんがそんなことを聞いてきた。特に理由なんてないんだけどな。転生してきたから、っていうのは流石に言えないし。
「特に理由はないけど、強いて言うなら身分証を手に入れるためかな」
「そうなんですか、じゃあこの街に住むんですか?」
「うーん、どっちかといえば、ギルドの方に登録するかな。私、これあるし」
そういい、私はミスリルの剣を持つ。日光が反射して、綺麗に光っていた。
「そういえば、そうでしたね。そうだ、折角街に来たんだし、私の家に来てください。多分、家族の皆も歓迎してくれると思うので」
カリンちゃんは私の手を引っ張って行く。私はお言葉に甘えてお邪魔することにした。
10分後、カリンちゃんが1つの家の前で止まる。どうやら、ここがカリンちゃんの家らしい。
「それじゃ、少し家族と話をして来るので、ここで待っていて下さい」
カリンちゃんはそういうと、家の中に入っていった。私は戻ってくるまでの間に、家の外観を見てみる。
外壁は白で、石でできているようだった。
「モミジさん、入ってきていいですよ」
「うん、今行くね」
家の中は、落ち着いた雰囲気がする居心地がいい感じがした。廊下を通り、リビングへ向かうと、そこには、カリンちゃんより少し大きい女の子が椅子に座っていた。その子は私が来たことに気づくと、
「モミジさん、妹を助けて下さり本当にありがとうございました」
そういい、私にお辞儀をしてきた。
「えーと、ほんとたまたま見つけただけだから、そんな緊張しなくても大丈夫だよ」
「そ、そうですか。それじゃあ、とりあえず座ってもらっても」
私はその女の子と向かい合うように座った。カリンちゃんは、自分の姉の隣に座った。姉の隣にいた方が安心するのだろう。
「じゃ、自己紹介から。もう知ってると思うけど、私はモミジ。この街には、ギルド登録をしに来たところ」
「わ、私はカノンです。カリンの姉で、ここにお母さんとカリンの3人で住んでいます」
「あれ、お母さんはここにいないけれどどこにいるの?」
なんとなく口から出た疑問に、2人は話してもいいのか、困ったような顔になる。そして、カノンちゃんが、
「実は、私たちのお母さん、重い病気を患っていて、このままだと、助からないって言われたんです」
「このままだと、って事は何か手はあるの?」
「一応、東の森に生えている珍しい薬草を使えば、助かるかもしれないらしいです。ただ、その薬草とよく外見が似た毒をもった草があって、私たちだと見分けられなくて」
「それなら、私分かるかも」
「「ほ、本当ですか!?」」
「うん、私の能力って、ものを見分けることができるから」
「モミジさんって能力者だったんですね」
「うん、それじゃ、今日はもう夕暮れだから、明日のお昼ごろから出発ね」
という訳で、私は明日から2人と薬草探しに出掛けることになった。