第30話 ダンジョン調査④
街に戻ってきた私達は、アリスちゃんが見たと言っていた人影について話し合うために、ルーカスさん行きつけの飲食店にやってきていた。
「いらっしゃっせ~。あ、ルーカスさんじゃないっすか!久しぶりっすね!」
「おう、そうだな。いまから6人分の席って用意できるか?」
「はい!もちろんです!少し待っていて下さいね!」
受付にいたスタッフの青年が、走って店の奥へ向かっていった。
「準備できたので、こちらへどうぞ」
私達は案内された席へ向かった。店内はもう夕食時を過ぎ、閑散としていた。
「それで、アリス。お前が人影を見たって時の状況について教えてくれ」
「は、はい。えっと…確かモミジさんがオークに襲われた時に私、たまたまオークが来た方向を見ていて。そうしたら、オークの背後に人影が見えて。オークがなんでその人を襲わずに私たちの方に来たんだろうなって思って…」
なるほど。確かにオークが私に襲い掛かってくるなら、その後ろにいた人が襲われないのは不思議だな。まあ、単にオークの視界に入らなかった、っていうこともあるかもしれないけど。
「アリス、お前が見たっていう人影の体型とかって分かんのか?」
「いや、何か体型が隠せるようなものを着ていた感じで分からなかったわ」
「まあ、何にせよ警戒しておくことに越したことは無いだろうしな。まあ、この話はここら辺にしておいて、折角だ。各々好きなものを注文しな。俺が奢ってやるからよ」
皆がそれぞれ好きなものを頼み始めた時、私は人影の正体について考えていた。う~ん。何かが引っかかってる気がする。そんなもやっとした気持ちは、ご飯を食べても消えなかった。
ふわあ~。思わず欠伸が出てしまった。気づけばもう時間は11時をまわっていた。
…さて、この状況をどうしようか。私は目の前の惨状をどうしようか迷っていた。男共は酒を飲みまくって寝てる(気絶?)し、頼りのリーナさんまで寝ている。残されたのは私とアリスさんだけだった。こりゃ、明日の探索は中止だな。少なくとも男たちの誰かは二日酔いになるだろうし。とにかく、今はこの人達をどうするかだな。
「…アリスさん、この人達どうする?魔法で無理やり起こす?」
「あはは…流石に魔法使うのは…。でも、どうにかして起こした方が良いですよね…」
私たちが話し合っていると、店の奥から人が出て来た。名札を見ると、肩書きの所に店長と書かれていた。
「ああ、こいつらの事は俺に任せてくれ。上にこういう時のために寝れるスペースはあるからな。代金も明日こいつが起きた時にでも請求するから、嬢ちゃん達はもう帰りな」
店長さんはルーカスさんを指さすと、肩に担いで上に上がっていった。
「い、良いんですかね…?」
「でも、店長さんがああ言ってるんだし、良いんじゃないですか?ほら、もうかなり遅い時間ですし。ここは店長さんの好意に甘えることにしません?」
私は席を立って、アリスさんに言った。
「それも、そうですね。では、帰りましょうか」
私達は店長さんにお礼を言ってからお店を後にした。
「モミジさんって、自分の家ってあるんですか?」
帰り道、2人で帰っていると、アリスさんがそんなことを聞いてきた。
「いや、私は持ってないです。今は知り合いの子の家に泊まらせてもらってます」
「え?そうなんですか?てっきり家族とかと一緒に住んでいるのかと思ってましたけど…。家族の人達とは別なんですか?」
う、家族の話…。そもそも転生してきたから家族なんていないんだよなあ。どう話を逸らそう?
「え、えっと…実は、私、辺境の村出身で。その村、モンスターの襲撃に遭っちゃって、私は何とか逃げられたんですけど、村は壊滅してて。行く当ても無いからこっちの街に来て、今はここで知り合った子の家に泊まらせてもらってる感じです。冒険者業で稼いだら、自分の家を買うつもりですけど」
今でっち上げた話にしてはかなりいい感じかな。家を買うのは本当だけど。
「そうだったんですか…そんな話をさせてしまってすみません…」
「いいですよ。もう過ぎたことですし。それより、アリスさんは今ってどこに泊まってるんですか?」
「私ですか?今はこの街に丁度知り合いがいるので、そこに泊めてもらってますよ。今日はもう遅いですし、一緒に行きますか?」
「え?いいんですか?」
「はい、きっとあの子も喜ぶと思いますよ!」
私はそんなこんなで、アリスさんの知り合いの人にお世話になることになった。
2か月ぶりの投稿になってしまい本当に申し訳ありません!今年は勉強も頑張らないといけなく、なかなか小説を書く時間がとれないので、今後もこのくらいのペースになってしまいますが、それでも良いよって方はブックマークなどしてくれるとありがたいです!




