第19話 初戦闘
私は宿屋で夕食を食べ終わり、今は部屋のベッドで寝っ転がりながら、オウカちゃんのことを考えていた。
今日は取り敢えず家に帰ってもらったけど、借金取りが家に押し入って来ることだって考えられるし。
…新しい家を買って一緒に住むっていう手もあるけど、こっちの家の相場なんて分からないから、お金が足りないかもしれないし。とにかく、明日オウカちゃんに相談するか。
翌日、私は約束した時間より少し早くギルドに着くと、オウカちゃんはまだ来ていないようだった。ギルドの一角にあるテーブルとイスに座って待っていると、
「モミジさん、もう来てたんですね」
「うん。それじゃ、早速だけど依頼を受けに行こっか」
私は立ち上がり、依頼書が貼ってあるボードの方へ向かう。もうピークが過ぎているせいか、ボードにはそこまで多くの依頼は貼られてなかった。
「えーと、それじゃあ、これにします」
オウカちゃんが手に取ったのは依頼書は、『マジックボア5匹の討伐」というものだった。マジックボアは初心者でも倒しやすいし、大丈夫だろう。
「受ける依頼が決まったら、あっちのカウンターに依頼書とギルドカードを一緒に提出してね」
「はい、分かりました」
オウカちゃんが手続きをしている間、私は暇なので、なんとなく残っている依頼書を眺めていた。残っているのは大半がⅮランクの依頼で、Cランクの依頼が少しあるぐらいだった。私も少し前まではこういう依頼受けてたんだよなぁ。今じゃ、簡単だなーって思うけど。
「モミジさん、終わりました」
「それじゃ、討伐に行こっか」
「はい!」
マジックボアは基本的に森ならどこにでもいる。なので、今は、ギルドから一番近い西の森の中にいる。
ふと、私は何も持っていないオウカちゃんに気づき、声を掛けてみる。
「そういえば、オウカちゃんって何で戦うの?」
「これです」
そういってオウカちゃんはどこからか片手剣を取り出した。
「え?今ってどこから出したの?」
「実は、私の能力って『異次元収納』って言って、ものを収納したり、好きな時に取り出したり出来るんです。まあ、戦闘にはあまり使えない能力ですけど…」
「私は、そんなことないと思うよ。どんな能力だって、使い方次第で化ける事だってあるし」
「あ、ありがとうございます。そういえば、モミジさんの能力って何ですか?」
「私の能力はね――っと、どうやら来たみたいだよ」
私達の目の前には、体長1m50cm程のマジックボアの群れがいた。
「それじゃ、オウカちゃん、頑張ってね」
「はい!」
オウカちゃんが前へ駆け出すと、マジックボア達も突進してくる。オウカちゃんはそれを右に左に避けていく。すれ違い様に剣でしっかり首を落としている。まるで初めてじゃないみたいだな。
数分後、マジックボアの群れは1匹残らず倒れていた。
「それじゃ、後始末するからオウカちゃんはちょっと離れてて」
「?分かりました」
オウカちゃんが十分に離れたことを確認してから、風魔法でマジックボアの死体を一箇所に集めて、炎魔法で燃やす。するとオウカちゃんが慌てた様子で、
「モ、モミジさん!?こんな所で火なんて使ったら…」
「ああ、それなら大丈夫だよ。これは私が制御してる魔法の火だから、周りには延焼しないよ」
「そ、そうなんですね。良かった…」
そろそろ燃え切ったかな。私が炎を消すと、骨と魔石だけ残っていた。私は魔石を拾って、
「はい、これが討伐した証にもなる魔石だよ」
「こ、これが魔石…」
「ささ、早いとこ全部回収しちゃおう」
私は持ってきたアイテム袋に魔石を入れようとしたが、
「あ、私が持ってきますよ」
オウカちゃんにそう言われたので魔石は全部『収納』の方に入れてもらった。
森から帰る途中、私の能力について話してないことに気が付き、オウカちゃんに話すことにした。
「そうそう、さっき言いそびれたから、今話すけど、私の能力ってね、『目の色を変える』っていうんだ」
「『目の色を変える』…ですか?」
「うん。例えば、こんな感じ」
試しに色をいつもの黒から赤に変える。
「わあ、凄いです」
「そう?今まで誰にも話してなかったからそう言ってくれると嬉しいよ」
私達はそんな会話をしながらギルドへと戻っていった。




