第0話 プロローグ
雨の降る日曜日、「私」は交差点で信号待ちをしていた。
突然、誰かに押され、車道に飛び出してしまい、そのまま横から来たトラックにはねられる。
「私」―秋山 紅葉は死んだ……はずだった。
「ん…」私は目を覚ますと、ここは知らない場所だった。
なぜかはねられたのに生きているし、体も痛くない。
起き上がって周りを見ると、机に二枚の紙と袋が置いてあった。
先に紙のほうを見る。1枚は何やら文字が書いてあり、もう一枚は地図のようだった。
文字が書いてあるほうを手に取り、読んでみる。
そこには、到底信じられないようなことが書いてあった。
まず、ここは異世界だということ、魔法や能力と呼ばれるものがあること。
そして、私の能力についても書いてあった。
「目の色を変える?」
そう、私の能力とは、自身の右目の色を変えるというものだった。それぞれ、
黒:解析 茶:創造 赤:温度上昇 青:温度低下
という力があるらしい。
黒と茶の能力は使えそうだけど、赤と青の使い道が思いつかない。
とりあえず、近くに置いてあった鏡を見て黒の能力を使ってみる。
鏡:どこにでもある普通の鏡。
鏡の上に説明が見えた。
今度は鏡に映った自分に向けて使ってみる。
秋山 紅葉 能力:目の色を変える SP:50
今度は自分の説明が出てきた。
SPが何なのか良く分からないけど、今はおいておこう。
次に、茶の能力を使おうとする。
頭の中で茶の瞳をイメージすると、右目が茶色になった自分が鏡に映る。
試しに、元の世界でバッグに付けていたキーホルダーを思い浮かべる。すると、瞬く間に目の前にキーホルダーが現れる。
キーホルダーを消そうと思うと、霧のようになって消えていった。
次に赤の能力を使ってみる。すると、急激に周りの温度が上がる。私は急いで青の能力を使い、気温を元に戻す。
紙の下のほうを見ると、
『こんな形になってごめんね、本当は直接説明したかったけれど、しばらく天界から出られないので手紙という形にしました 神様』
神様?つまり、この世界に私を転生させたのは神様だったわけか。一応、死んだ私を助けた?わけだから感謝しておくべきかな?できれば死なないようにしてほしかったけど。
4つの能力を試せたので、次に袋のほうへ目を向ける。
袋の中身を見てみると、中には金貨と銀貨がそれぞれ50枚ほど入っていた。
おそらくこの世界の通貨だろう。
神様、ありがとう。これがなかったら街を見つけても路頭に迷うところだった。
私は、お金が入った袋と地図を手に取り、部屋を出ていく。