第12話 この街を護るために
オークキング:オークの群れを束ねる王。体長は3メートルを優に越える。 SP:2800
私はオークキングの前に呆然と立ち尽くした。こんな奴、倒せる訳ない。
「っ、モミジちゃん、あんな奴に勝てる訳ない!早く逃げて!」
リーナさんの言う通りだ。もう、この街を、この場所を捨てて逃げてしまおう。私が後ろに走ろうとした瞬間、
『貴女は本当にそれでいいの?本当にこの街を捨てていいの?』
少し幼さが残った、誰かの声が頭に響いた。その言葉を聞いて、私は立ち止まる。私、本当にいいのか?1か月だけとはいえ、住んでいた場所を捨てていいのか?
いや、ダメだ。絶対に捨てたりなんてしない。
私は、私は、この街を、護りたい!いや、護るんだ!
「リーナさん、私はここに残ります。なので、リーナさんは早く逃げて下さい。他の逃げた方も、貴女がいれば安心すると思うので」
「…っ、絶対に、生きて帰ってきてよ!」
「もちろんです。私もまだまだやりたいことがありますし。絶対に負けたりなんかしませんよ」
私は返事をし、リーナさんがもう跡形も残っていない門と逆方向に走っていくのを見届け、私はオークキングを見上げる。オークキングは、その巨体に似合わない速さで私との距離を詰め、手に握る極太の棍棒を私に向かって振り抜く。それをぎりぎり回避して、
「トリプルスラッシュ!」
3つの風の刃をオークキングに向けて放つ。だが、かすり傷程度のダメージしか与えることが出来なかった。オークキングは一瞬怯んだが、直ぐ次の攻撃の体制になる。私もしっかりオークキングの動きを目で追い、避けていく。
はあ、はあ。オークキングとの戦闘が始まってどれ程経っただろうか。私は今だ防戦一方だった。相手を攻撃する隙が全くない。オークキングが攻撃の姿勢をとる。その瞬間、私の身体が宙に浮いた。吹き飛ばされたのだと、気付いた時はもう落下し始めていた。なんとか風魔法で落下の衝撃は吸収出来たが、身体が思うように動かない。私は地面に倒れていた。オークキングの足音が近付いてくる。どうしようどうしよう。このままじゃ、やばい。何も策が思い付かない。
オークキングが私の真横へ来る。どうせ、やられるなら、私は最後まで抵抗する。私は今使える魔力全てを右手に集中させ、オークキングの棍棒が私に当たる直前、
「フレイムバースト!!!」
私を中心として、大きな爆発が起きる。もちろん、オークキングも巻き込んで。私はその中で、意識を失った。




