第8話 魔法のお勉強
東の森から薬草を採ってきた翌日、私達は2人のお母さんが入院している病院へ来ていた。受付の人に事情を説明して、2人のお母さんの主治医の人に会わせてもらった。その主治医の人は驚いていたが、これで彼女を助けられると喜んでいた。ただ、私は少し嫌な予感がしていた。それは、森から街へ戻る途中、1匹も魔物に会わなかったことだ。なぜなら、普段、東の森に入って、魔物と会わないということはほとんどないそうだ。カノンちゃんは魔物に会わなくてよかったと言っていたが、私は近々何か起こりそうな予感がした。杞憂であってほしいけど。とりあえず、そのまま病院で2人とは別れた。その足で、私はギルドへ向かう。昨日と同じ時間位に着いて中に入ると、受付の反対側に置いてある4人掛けのテーブルとイスに、昨日会ったギルドマスターのグランさんと見知らぬ女性が座っていた。そこに近づいていくと、
「お、来たか。それじゃ、そこに座ってくれ」
私は、言われた通り2人と向かい合うようにして座る。
「それじゃ、まずは紹介からだな。こいつはリーナ。この街に常駐してる魔法使いじゃトップクラスの実力者だ」
「今回はよろしくね。モミジちゃん。早速だけど、モミジちゃんは何の属性を使えるのかしら?」
え?グランさん?教えてないんですか?ちらっとグランさんの方に視線を向けてみると、目を逸らされた。
「えーと、言いずらいんですけど、私、全部の属性を使えるみたいなんです」
「え?ちょっと待って、グラン、私そんな話聞いてないんだけど」
「いや、ちょっと本人の口から言った方が面白い反応してくれるかなって思って」
「はあ、全く、昔っからあんたはそういう奴だったわね。まあ、いいわ。で、モミジちゃん、あなた、本当に全属性使いなのよね」
「はい、魔力感知器が6色に光りましたし」
「私は火と氷と光しか使えないから、それ以外の属性の魔法は見せられないけど、とりあえず、魔法の性質から説明するわね」
リーナさんから説明されたことを簡単にまとめると、そもそも普通だと、使える属性は多くても3つだと言う事、使える属性の中でも得意・不得意がある事、魔物にも魔法を使う種族がいる事、そして魔物の種類によってダメージが入りやすい属性と入りずらい属性がある事といった感じだ。
「それじゃ、今から魔法を実際に見てもらうから、外に移動するわね」
私はリーナさんとギルドに隣接されている訓練所へ向かった。グランさんは、仕事があるということなので、ここで別れた。
訓練所の空いているスペースを使って、リーナさんの魔法を見せて貰う。
「ファイア!」
リーナさんが声を出すと、リーナさんが持っていた杖(ロッドって言うらしい)の先端に付いている赤い玉(魔水晶って言うらしい)から火球が飛んでいき、15m程遠くの的の中心に命中し、火球が消える。
「今のが初級火属性魔法の1つの『ファイア』よ。コツは、火の球が飛んでいくところをイメージすることと、魔力の制御ね。魔力が少ないと上手く飛んでいかないし、多すぎると自重で直ぐに落ちちゃうしね。さあ、まずはやってみましょう」
私はリーナさんから渡された、私が持ちやすい長さのロッドを持ち、先端を前の方へ向け、火球が飛んでいくところをイメージしながら、魔水晶に魔力を込め、
「ファイア!」
言った瞬間、思っていた数倍の大きさの火球が飛んでいき、的の辺りを黒く焦がした。何か思ってた威力じゃない。
「えーと、モミジちゃん、色々言いたいことがあるけど、感覚は掴めた?」
「…はい」
自分の出した魔法の威力に圧倒されて、返事が遅れてしまった。




