第3話
次に主人公が見たのは見たのは顔面蒼白ででこちらを見ているおっとり系の美人だ。幼さが少し残るその外見は美しいというより可憐という言葉のほうが似合うだろう。(ちなみに貧乳) 主人公はこれから毎日目の前の美人を眺められることに対しての感謝と生まれたばかりの赤子を濡れたままで床に放置するという低待遇に対する憤慨で、とても複雑な感情だろう。
おい、早く俺を抱き上げんか。いつまで俺を放置するつもりだ。ほら、元気な女の子だぞー
次の瞬間、目の前の女(俺の母親)は俺を抱えて走り出した。たぶんお父さんに報告に行くのだろう。おい、振動がえぐい、もうちょい丁寧に扱え、首が折れる。
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現在、俺は馬車に揺られていた。横では俺の生みの親が母に向かって「なんで生んだんだよリーン、流産しろって言ったよな。」と愚痴をはいている。そう、俺は捨てられるのだ!どうしてこうなった。少し振り返ってみよう。確かこの二人は、勇者と聖女、もしくは初夜で張り切りすぎて子供を作ってしまったバカどもだ。もう一度言おう、『初夜で張り切りすぎて子供を作ってしまったバカども』だ!それでいて子供が生まれたらダメな関係らしい。それで俺を捨てに魔境の森に来ているらしい。魔境の森とは、SSSランクからGランクの中のAランクに位置する高位の危険地帯だ。ここでは成人男性が100人いても1日も生き残れないらしい。つまり俺今大ピンチ!お、馬車が止まったぞ。俺は捨てられェ!
馬車が止まった瞬間リーンが主人公を馬車の外へ投げ出した。そのあとすぐに馬車を走らせる。魔物が来るのを警戒しているのだろう。ものすごい速度で走り出していった。
おい、赤子を投げ捨てるとはどういうことだ、俺が普通の人間だったら首の骨をぽっくりやって死ぬぞ!
これからどうしようかな。誰か拾ってくれないかな。ていうかあの2人はいつかざまぁしてやろう。俺の決意は固いぞ。とりあえず待ってみよう、誰か来るかもしれない。
《一時間後》
今僕の目の前では老夫婦がこれからについて話し合っていく。男のほうは物凄く威厳のあるダンディーな人だ。どれくらい威厳があるかというと少なく見積もっても本物の神より1000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000倍は威厳があると断言できる!女性のほうは顔の形が整っていて若い頃はものすごく美人だったのだろうとすぐに想像がつく。ぜいたくは言えない、このくらいで満足しよう。
「GUUOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOO」
その鳴き声の正体はすぐに現れた。
グランドグリズリーだ。体長は2mm程でとても凶暴な性格だ。少なくとも自分が何もしなければ老人たちは死んでしまうだろう。
どうしよう?普通の家庭環境がほしいんだけど力使ったらもてはやされて冒険者ギルドに行ったとき謎の超強美少女という立場のならないじゃないか。絶対もてはやされて天才とかゆわれてただの有名な美少女になってしまう。しょうがないのか。
だがそんな杞憂は無駄に終わる。
男のほうが常人にはとらえられないような速度で手に持っていた剣を一閃するとグランドグリズリーの首が落ちていた。
この男強すぎだろ、ていうかこんなところに軽装で来て傷が一つもついていない時点で気付くべきだったな。一生ついていきやすぜ、おとっっつぁん!
こうして俺は謎の老夫婦の家に養子としてひろわれることとなった。