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8時間目
本音と建前。人は嘘とともに生きている。その嘘の刃がどれほど人を傷つけるかも知らないで。
真実と偽りのそんな話。
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「やはり、君は凄いね。」
「また、嘘ついて。そんなこと思ってないでしょ?」彼の言葉に、薄らとした笑みを浮かべ言葉を返す。
「本当だって、僕は人を褒める時は嘘を付かないんだ。」優しさを顔に貼り付け笑う彼。
その言葉が嘘だということに彼は気づいてくれるのだろうか。
『嘘と本音のパラドクス。』
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ただの50の音から生まれる言葉。されどその真意を測るのは困難を究める。人の心を読むことなど──。
少し分かりにくいと思うので補足です。
彼が「僕は人を褒める時は嘘をつかない」と言っています。しかし、この言葉は人を褒めるものではありません。つまり、この言葉自体が嘘となりパラドクスが生じています。