誰もいない教室。

壱の巻

1時間目

罫線で囲われた部分は、今回の世界。つまり、主人公の綴るものだと捉えてください。

---

私の声が、静寂を裂く。そして反響、音の花が咲く。誰もいない教室で今日も静かに教鞭をとる。

今回の世界は──。

そう呟き、今日も自らの世界を紡ぎ出した。

─────

「人は失ってから、その大切さに気付く。」よく聞く言葉である。裏を返せば、失わなければ大切さに気付かないことを意味する。失って失い続けたその先には何があるのだろうか。

『人生の終わりの先に見えるもの。』

─────

人は失うことを通してでしか、物事の本質を見抜けない。あなたの傍にある大切なもの。それが欠けた灰色の明日を思い浮かべて欲しい。