【登場人物紹介】
♦夢野 竜司
当物語の主人公。
高校二年生の冬、後述する後輩である鈴埜より渡された本を読んだことをきっかけとし、異界に幽閉された死神を救出する。
また、その際に神としての力を半分受け渡され、超人的な能力を一部発揮できるようになる。
性格は気が短く直情型で、しばしば考え無しに行動を起こすという悪癖あり。
ボサボサ髪、黒目の小さい三白眼といった外見上の特徴を持つ。
♦タヒニツァル=モルステン=サナトラピス
別世界で死神と称されていた、人ならざる存在。
数万年以上の時を一人きりの冥府で過ごし、他者との関りを一切持ってこなかった。
ある時、そんな彼女だけの世界に侵入してきた人間たちにより彼女は捕縛された挙句、惨たらしい拷問を受けることに。
その後は氷の迷宮に幽閉されたまま、再び一人きりでただ死を待っていたが、主人公により救出される。
初めて自身に優しく接してくれたばかりか、彼女のため命までをも投げ打たんとした夢野に狂信的な情愛と執着を抱いており、彼が他の女と僅かでも関わろうとするだけで嫉妬心を露にする。
本来は豊満な肉体を持つ美女であるが、力の殆どを失った結果、小学生並みの体躯へと縮んでしまっている。
元々は長いローブをその身に纏っていたが、力の消失と共に衣服も変化し、現在はパーカーに似たものへと変化した。
おおよそ衣服と呼べるものはそれくらいで、褐色の地肌の上には他に細いチューブトップ、そしてローライズパンツのみといった露出度の高い格好をしている。
神性を失ったせいで発現した人としての生理現象に戸惑い中。
主人公曰く、彼女の体臭は焼き菓子に似た甘い香りがするらしい。
♦夢野 花琳
竜司の妹。学年は中三。
長いストレートの髪を金髪に染め上げ、耳にはピアスを着けた外見の、いわゆるヤンキー然とした少女。
夢野家の血か、彼女もまた兄と同じような三白眼をしている。
共働きの両親に代わり家事の殆どを一身に担う、見た目とは裏腹に家庭的な面を持つ。
兄である竜司のことは実の親以上に気にかけており、時折異常ともいえる反応を示す。
♦鈴埜 冥
主人公と同じ学校、その中等部に通う一四歳(中二)の女子。
中学生ながらオカルト研究部部長の肩書きを持ち、同部員である夢野にはことあるごとに持ち前の毒舌でもってして対応している。
ちなみに、部活中は特徴的な魔女帽子を被っている。
夢野に呪いをかけた張本人であるが、その仔細と目的は未だ不明である。
現在自宅療養中。
♦鈴埜 惣一朗
鈴埜冥の父親。
実際の歳は四十四歳だが、長きに渡り穢れをその身に宿し続け、加えて己が精力を後述するエリザベートに吸われ続けた結果、老人にしか見えぬ外見となっていた。
とある事件で死神により穢れを浄化された結果、現在は歳相応の見た目に収まっている。
また、左腕は過去のとある事件により根元から消失した。
サナトラピスを含む異世界の住人たちについて色々と知識があるようだ。
♦エリザベート・シュルディナー
惣一朗の妻であり、普段は『絵里』という偽名を名乗っている。
その正体はサナトラピスと同じく人ならざる存在であり、過去に彼女よりも先に主人公のいる世界にやってきていた。
夫である惣一朗の言によれば、彼女の種族は我々のよく知る言葉で言うなればサキュバス、ということらしい。
また、彼を老人としか見えぬ外見にしたのは他でもない彼女である。
♦エデン
正式名称不明。
かつて死神サナトラピスの居城に押し入り、その際彼女を捕縛した実行犯である。
また、その後の拷問めいた責めの数々もまた、この人物が率先して行っていた。
サナトラピスの力が弱まる時期を見計らい、彼女の力を我がものとすることを目論んでいたが、主人公によりその計画は頓挫することになる。
現在の動向は依然として知れない。
♦ナラク
サナトラピス、エデンらの世界から次元を超えやってきた刺客。
人の身なれど、神に匹敵する力をその身に宿した男である。
エデンより死神の奪還を言い渡されているとのことだが、本人的にはそれは戦う口実に過ぎないようだ。
骨っぽい肉弾戦を何より好み、また正々堂々と戦うことを良しとする。
そのため、先だっての戦いの際、人質を取ったことに若干の負い目を感じている様子。
♦神崎 聖
今や寂しいシャッター街となりかけているアーケード内にて、一人喫茶店を営む女性。
年齢は二十六歳で、夢野家とは親戚関係にある。
店の名は『ルナ』。
♦一ノ瀬 敦
主人公の同級生。
竜司とは小学校時代からの付き合いであり、彼の無茶な要求にも応える度量の広さを持つ。