三歩目。僕らの旅はノープランだから
週一という遅いペースで更新中です。
「読んだよ」だけでも良いので感想ください
キーワードの「フバウサキ」はこの作品の略称です
検索するときにでも使ってやってください。
長々とすみません。では、どうぞ
やっと着いた町でファイアはバブルが上機嫌だったわけを知ることになる。
町に着くとバブルは早速質屋に向かった。
「バブル、こんなところに来てどうするんだよ」
「ちょっと、売るものがあるからね」
そういってバブルはカウンターに赤いものを出した。
「なんだよこ…「おおっ!これをどこで!」
言葉を途中でさえぎられてファイアは驚いた
再度これは何だと聞こうとしたとき、勝手に説明が入った
「森で偶然会いましてね、追い払うついでに拝借しました」
「えっじゃあこれってもしかして…「この美しいドラゴンの鱗!なかなかお目にかかれませんよ!」
興奮気味な店主からの二度目の妨害を受け、ファイアは「これはオレが入らないほうがいな」と思い口をつむぐ。
質屋の店主はハイテンションだ。そりゃもう、うざいくらい。
店主のテンションが上がるのは当然だ。ドラゴンの鱗は魔法薬や装飾品などに使われる。しかし需要が多い反面、ドラゴンから鱗を奪ってくるような猛者がなかなか現れず、たまに出てきても戦いの末にぼろぼろになった物が多いのである。今バブルが出したような傷のないものはめったに出てこないのだ。
でも、五月蝿いものは五月蝿い。
バブルは早速値段交渉に入ることにした。
「鱗一枚20Kで、三枚で60kでどうですか?」
「えっ?お客さんそれはさすがに高いのでは…?」
「これでだめなら他の店に行きますよ。こんな珍しいものならどの店も買ってくれそうですしね?」
バブルの顔に黒い笑みが見えるのは気のせいである。きっと。
店主はさっきのテンションはどこへやら。
必死で脳内そろばんをはじいていた。
バブルの提示してくる値段は破格である、しかしこんな珍しいものを他の店にくれてやるわけには行かない。
「仕方ない、負けました。その値段で手を打ちましょう」
会計を終えて出てきたバブルの財布には紙幣が詰まっていた。
おもむろに財布を開けて、紙幣をいくらかファイアに渡す。
なんとなく受け取ったファイアはバブルに質問した
「なぁ、バブル。ドラゴンの鱗なんていつ取ったんだよ?」
「気付かなかった?ドラゴンの鱗の下狙ったとき、ちょっとだけずらして鱗を落としたんだよ、もっと取ろうと思ったんだけど、ファイアが予想以上に早く復活しちゃったから」
「なるほど、あの時残念そうにしてたのはもっと鱗を取りたかったからなのか、オレはてっきりドラゴンを虐めるのが楽しかったのかと思って心配したぜ」
「その可能性も否定できないね」
さらっと告げたバブルに驚くファイア。
どうしようかと固まるファイアにさらにバブルが言う
「人間、快楽も大切にしなくちゃね」
女子が見たら黄色い声を上げそうなさわやかスマイルを浮かべるバブル
…言ってることは恐ろしいが。
こいつ、やっぱりサディストだ………。
改めて実感させられた瞬間だった。
宿を取りもう一度町へ出てくる
今は夕食を取っている
旅をしようと出てきたがノープランだ
「なぁバブル、これからどうする?」
「とりあえず大陸一回りしてみる?」
ちなみに大陸というのはかなり広く、危険な地帯も多くとても二人で回れるようなものではない。
「後一人くらいいたらいいんだけどね」
「身軽で逃げ足が速くて、魔法も使えたらベストだよなぁ…。」
「でもそんな人めったにいないでしょ」
筆者としては突っ込み担当が一人いてくれるとありがたい
まぁそんな奴いないだろうが
「「いた」」
何とびっくり!見事にそんな感じの少年が外をダッシュしていた。
「これは追いかけるしかないだろう!」
高らかに宣言するとファイアは外へ飛び出した
「単細胞じゃ状況把握は無理か…」
とんでもなく失礼なことを言いながら、バブルは会計を済ませた
少年を追いかけていたのは、この町の不良集団だった
「……追いかけるか…。」
あきらめたようにつぶやくと、ファイアたちの後を追いかけていった
袋小路に追い詰められた。
先頭を走っていた少年ウインドは思わず舌打ちをした
いつもならこんな不良連中どうってことない。逃げていたのもケンカするのが面倒だったからだ。そう、袋小路に追い詰められても脱出は簡単だった『いつもなら』
(こいつがいるからなぁ…)
ウインドの悩みはファイアだった。
こいつをおいて逃げるのは簡単だ、しかしそれでは目覚めが悪い。『朝はすっきりさわやかに』を目標としている彼にとって、目覚めが悪いというのは致命的だ。
ケンカして勝てる自信はある。ただこいつがどんな風に絡んでくるかで変わる…
(さて、どうするか)
このまま考えてもらちが明かない。
そう思ったのかどうかウインドはファイアに声をかけた
「おい、下がってろよ」
「おっやる気か?そのひょろひょろした体で大丈夫か?」
不良集団のくだらない言葉は聴かないふりだ
「オレも加勢するぜ!!みてるだけなんて性に合わないからな!」
それが一番困るんだよ…。そう思ったが仕方ない。
(足手まといにならないでくれよ…)
(面倒だしさっさと済まそう)
目の前にいる奴のナイフを叩き落す。そのまま回し蹴りで二人を撃破
「結構やるな!お前!でもオレのほうが上だな!」
やかましく大声を出すと、いきなり正面にいる奴を殴り倒す。横っ腹を蹴って二人目も終了。
(なかなかやるな…後八人。余裕だな)
やっと全員を倒し、ふっと一息つく
何でお前、ついいてきたんだよとウインドが問う前にこたえは勝手に教えられた
「お前、一緒に旅に出ないか?」
「は?」
「その身軽さとケンカの強さ!付いてきてくれよ!」
言いたいことはわかった。でも突然でよく分からない…
ウインドが困惑していると路地に誰か入ってきた
「確かにその単細胞の説明で理解できたら天才だよ。それとも同類かな?」
こんな失礼なことをさらっと口にするのはバブルである
まだ困惑しているウインドにいきさつを話す
「見たところ君も旅人みたいだし、僕らと一緒に行っても損はないと思うよ。どうかな?」
「君たちのいいたいことは分かった。場合によっては一緒に行っても良い。でも、君たちの旅の目的によっては断る」
「旅の目的なんてないぜ!」
「え?」
「僕らの旅はノープランだから。きてくれるよね?」
有無を言わさぬ青い瞳に見つめられて、断れなかった
当然。これは後日のウインドのいいわけである
何だかんだで旅をともにすることを承諾したウインド
『なんだかんだで』となったのは決して筆者が眠くなったからではない。
ちなみに不良集団の財布からこっそり紙幣を抜き取ったのはここだけの話である。
次の投稿は来週水曜日です。
受験生にはこれが限界…!