#8 銀嶺の果て
(バカがッ!)
典型的なテレフォンパンチだ。木暮の拳先がおのれの左胸――心臓を狙っているのがわかる。
白鳥敦也は左腕をひねって向かってくる拳を払おうとした。がら空きになった顔面にとどめのカウンターを見舞えば、それで終わりだ。
だが――
(なっ、なにィ!!)
木暮の拳は白鳥敦也の左腕をすり抜けてゆく。まるで蜃気楼のように――
図無!
正確に心臓の一点を射貫かれて白鳥敦也の機能は停止した。電源を切られたロボットのごとく、双眸から光を失ってゆっくりと雪上に倒れてゆく。
ヒュウウウウウウウ…………。
風雪が真白に染まった雪原を吹き渡る。
「リメイション:ディコード」
木暮は装着を解除した。
「お…おまえ……」
背後で声がした。聞き覚えのある声だ。
「おやっさん……」
そこにいたのは山荘の主・牧村だ。いつまでたっても戻らない木暮を心配して迎えにきたらしい。
「おまえは…一体……?」
どうやら変身した姿を見られたようだ。木暮は牧村の質問を無視していった。
「県警の応援を呼んでください。遭対協もレスキュー隊もこのなかに埋まっています」
そういうと木暮は雪床を指さした。降りしきる大粒の雪片がすべてを覆い尽くしてゆく。
谷間に墜ちたベムシャークはもちろんのこと、デッドホークもギルタイガーの姿も消えていた。プラチナムイーグルこと白鳥敦也もいつのまにか見えなくなっている。
木暮は踵を返した。
ゆっくりと歩き出す。
その背に向かって牧村がきいた。
「どこへゆくんだ?」
次回へつづく
信用度0の売国新聞を拝んでいるやつの気がしれない(~_~)