#5 白金の鷲、プラチナムイーグル!!
「とうとう、親玉の登場……ってわけか」
オウルマンは臨戦態勢をとった。
「おっと、勘違いしないでくれ。わたしはきみと闘うためにきたのではない」
白鳥敦也が貴公子然とした口調で片手をひらりと振った。
「きみをスカウトにきたのだ。きみがその不完全なスーツでどこまで闘えるのか、まずは様子をみるつもりだったのだが……。
素晴らしい!!
きみにはもっと似合いのリメイションスーツをプレゼントしよう」
「寝言は布団のなかでいえ。連れ子とはいえ、育ての親父を裏切った外道の戯言など聞けるか!」
キザったらしい仕草に上から目線の口ぶり、木暮の一番嫌いなタイプだ。
だが、眼前の人物はいささかの痛痒も感じてはいないようだ。ニヤリと口の端を歪めて語を継ぐ。
「これは手厳しい。
だが、よく考えてみたまえ。きみがなにに義理立てしてるのかはしらぬが、この日本という国はもうおしまいなのだ。
自衛隊基地周辺の土地は龍国の国営企業がすべて押さえてある。米軍基地もしかり。朱偏平総主席の命令一下、日本の軍事拠点は即座に制圧され、日本は龍国の32番目の省となるのだ」
「だからおれにも売国奴になれというのか……」
「みんなそうしているではないか。
大学教授しかり、ジャーナリストしかり。
テレビ局や新聞社の重役や記者たち、目敏いものたちはみな、占領後の待遇を見越して反日活動にいそしんでいる。
きみもオトナになりたまえ」
(……しまった。残り10分を切ったか)
相手のペースに乗せられてしまった。仮面の内側で木暮は舌打ちを漏らした。あと10分弱でメッセージ物質の効力は消え、あの凄まじい痛みが全身を駆け巡る。
「問答無用!」
オウルマンは余裕の笑みを浮かべている白鳥敦也に向かって下段回し蹴り(ローキック)を放った。
「愚か者がッ!!」
敦也が宙を飛んだ。
「リメイション!!」
敦也の体が白く光る。
やっぱりだ、敦也の着ている純白のスーツもリメイションスーツであった。
形状が変化する。
鷲を模した戦闘強化服へと!
そのボデイアーマーは白金の輝きを放っている。
オウルマンが黄金の戦士ならこのものは白金の戦士。
プラチナの鷲だ。
プラチナの鷲は白い翼を広げ、高貴な光を撒き散らしながら優雅な仕草で雪原にふわりと降り立った。
「プラチナムイーグル、推参!」
白鳥敦也が高らかに名乗りをあげた。
雪原に第二ラウンドのゴングがいま、打ち鳴らされた!!
次回へつづく
この国は卑怯者と売国奴の楽園(-_-;)