第1話 始まり
「100年後の未来なんて俺には関係ない。」
涼しい部屋で環境汚染の特集を眺めながらそんなことを思った高2の夏。
世間ではお盆休みで浮かれきっている喧騒を見るのがいやで部屋に閉じこもっていた。
「なんでこんな暑い日に外に出なきゃならんのだ。そんな奴はドMかなんかなのかね。」
独り言をぶつぶつと呟きながら布団の上でだらっとゲームをやる日々。これが最高に幸せなのだ。
「綾〜そろそろ降りて来なさいご飯よっ!」と母親が呼ぶ声で一気に現実に戻される。
「わかったよ!ちょっと待ってて!」そう言いこの幸せの空間から今日始めて出ることとなる。
「夏休みだからってだらっとしすぎよ。」
「いやいや。こんな時間一生に一度しかないんだから……」
そんなありきたりな会話をしていた記憶がある。
「まぁーいいじゃないか!学生のうちなんだから!」そんなことを父が行ってる間にニュース速報が流れた。
「NASAからの発表?また適当な宇宙人でも見つけて来たのか?」なんて思っていた。
『緊急速報です。現在地球の近郊に隕石が近づいてきているとの発表がありました。隕石の数、また着地場所は特定できておらず、日にちは、おおよそ1日後に落下するとのことです。十分に注意し、政府の発表をお待ちください。』
「注意しろって言ってもな〜。まぁ会社だけが無くなるのが一番だな!」と言い残し父親は自室に戻っていった。
「確かに注意なんてしたところで隕石じゃなぁ…まぁ俺には関係なさそうだな。また寝るか。」
これが家族最期の団欒になるとも知らずに