五章 春国到着
第一記最終章となります。最後まで読んでいただければ幸いです。今回は短いです。藤波真夏
五章 春国到着
蓮と真聖が花びらの飛んでくる方角へ進んで行くと視界が一気に開けた。太陽の光が二人の目を遮る。かろうじて見えたのは美しい街並み。
「ここが春国か・・・」
今冬国は少し雪が残り、肌寒い。しかし、春国は違い暖かい風に無数の花びらが参っていた。雪の面影はどこにもない。
早く行こうよ、と真聖の手を引いて急いで春国の街へ続く門へと急ぎ、春国の中へと入っていった。
見たことのない建物が並び、蓮の心は浮かんだ。
一方で真聖はある気配を察していた。まるで自分と同じ人間が近くにいるような気がしていたからだ。真聖は一人立ち止まって周囲を見渡す。
多くの人々で行き交う街の中。
「いる・・・。この国に華札の力を持っている人が・・・」
「おーい! 真聖! はーやーくー!」
蓮に急かされて真聖は急いで後を追った。
一方、春国の中で一番大きい花街に存在するとある店。
そこは木の格子のある場所に美しく着飾った女性たちが手招きをして男たちを誘惑している。ここは多くの遊女が所属し、お客をその美貌と所作でもてなして最終的には骨抜きにする場所だ。
その店の類である「桜屋」にはそんな花街一と呼ばれる遊女がいる。彼女は美しい着物で着飾り煙管を焚いている。彼女は部屋の中から青空を見上げた。
「何か、変な予感がしますわな」
そう呟いてまた煙管を吸った。
様々な場所で不思議な予感を感じる人物たちが空を見上げていた。
蓮はまだ知らない。
未知の国である春国で一体どんなことが待ち受けているのかを・・・。
最後まで読んでいただきありがとうございます。感想&評価等よろしくお願いします。次からは第二記「春国編」に突入します。更新まで今しばらくお待ち下さい。藤波真夏