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華札のクニ  作者: 藤波真夏
第五記:冬国編
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一章 再会

冬国編第1章を更新しました。今回は今までの物語を振り返る総集編です。最後まで読んでいただければ幸いです。藤波真夏

一章 再会

 冬国に足を踏み入れると懐かしい匂いがしてくる。

 かつて遊んだ川も森も風もそのまま。蓮と真聖は故郷に戻ることができてとても嬉しかった。

「帰ってきたね・・・」

「うん」

「蓮紀さまや柊さまたちは元気かな? 早く会いたいね」

「そうだね」

 真聖に対して浮かれた返事をする。やはり蓮の中にはまだ重すぎる真実がのしかかっているようだった。真聖は気の利く言葉もなかなかけられなかった。すると蓮が足を止めた。

「ねえ、真聖」

「どうしたの?」

「僕、父上と血が繋がってないんだよ? だから、真聖・・・もう仕えなくてもいいんだ」

「蓮・・・? 何を言ってるの?」

「僕は冬国首領の血は一切ないんだよ? 僕の側仕えする意味なんかないよ。守らなくてもいい存在だよ?」

 衝撃だった。

 真聖も突如として雷に打たれるほどの衝撃が走った。まさか蓮の口からそのような言葉を聞くことになるとは思ってもなかった。真聖はそれでも蓮に忠誠を誓う、と言おうとするが蓮の憂い顔を見たら言葉は口の中から出なくなってしまった。

 静かに風が吹いて雪が空からちらついた。冬国では当たり前の光景である。

「蓮。守らなくていいだなんてそんなこと言わないでよ。僕は蓮が誰であれ側仕えをやめないよ」

「真聖」

 蓮の髪が風に揺れる。二人の間に冬国特有の冷たい風が流れた。蓮はすぐに歩き出した。真聖が待って! と言うと蓮は振り返る。蓮が振り返り静かに笑った。

「家に帰ろう・・・」

 その笑顔は蓮のものではない。儚げで今にも消えてしまいそうな顔だった。



 国境を越えて数時間後。

 蓮紀の暮らしている屋敷の前までやってきた。悲しい真実が蓮の体に重くのしかかり、中へ入ることを拒む。

「蓮・・・」

「なんでだろう。怖くて入れないや・・・」

 蓮は無理やり笑って真聖に言う。蓮の心にどれだけの重圧と恐怖があるのか、真聖にもその大きさは計り知れない。蓮は息を吐いて門に手をかけ、押した。

 ぎーっと門が開いて久しぶりの家が目に入る。屋敷は誰もいないのか静まり返っていた。誰もいないのかな? と蓮はそう思い始めた。すると奥からバサッと書物が落ちる音がした。

 音がするほうへ視線を見てみると驚きの表情でこちらを見ている蓮紀がいた。

「蓮・・・? 真聖・・・、本当にお前たちなのか?」

「父上・・・」

 蓮がつぶやいた。蓮紀は落ちた書物などお構いなしに裸足のまま庭に出て蓮と真聖の元へ向かった。そして二人を両腕に抱きしめた。蓮紀は歓喜のあまり涙を滲ませた。

「蓮・・・。真聖・・・。よく無事だったな・・・! 怖い思いをさせて悪かった・・・」

 久しぶりに感じる父親の匂いと温もりに蓮の瞳にからも涙が流れ始めた。

「父上。怪我は大丈夫なのですか?」

「ああ。もう治ったよ」

 蓮と話したのち、今度は真聖に話しかける。蓮は真聖の頭をくしゃくしゃと撫でると笑った。

「真聖。お前にも怖い思いをさせたね。大丈夫だったかい?」

「蓮紀さま・・・」

 真聖も感無量で言葉がなかなか口から出て来ない。真聖の気持ちを理解した蓮紀はただ真聖に無事でよかった、と言い続けた。そして大きな声で柊を呼んだ。二度ほど呼ぶと柊が顔を出す。

「どうなさいまし・・・、まさか・・・」

「ああ。帰ってきたぞ。蓮と真聖が・・・」

 柊は少しよろよろとしながらも蓮と真聖の元へやってくる。柊に真聖が寄り、見つめる。真聖は涙を拭って笑った。

「ただいま帰りました、柊さま」

「無事でなによりじゃ・・・。儂は嬉しいぞ」

 柊はシワの寄った手で真聖の頭を優しく撫でた。その手がとても大きくて優しい。頭の中に浮かんだのは珠が話してくれた十年前の出来事。戦争に巻き込まれ母親が赤ん坊の真聖を捨て身で守り、死んでいった。それを柊が見つけ助け育てたこと。それを思うと涙が止めどなく溢れてくる。

 大粒の涙が溢れるところを見た柊はどうしたのだ、と聞く。

「僕、秋国で神様と話せる巫女さんに聞いたんです。柊さまはほっとけば死んでいた僕を・・・助けてくれた命の恩人だったって」

 それを聞いた柊は驚いている。真聖は腰に差した短剣を抜いて、地面に置いた。

「ありがとうございました」

 真聖にできる誠心誠意の感謝の意であった。それを見た柊もうっすらと涙を浮かべて微笑んだ。赤子の頃から見てきた柊にとってこんなに嬉しいことはない。

「立派になったな、真聖。儂はとても嬉しいぞ」

 それを聞いて蓮は蓮紀の顔を見上げた。頭の中によぎるのはいつもあのこと。


 まず単刀直入に言おう。蓮さま、あなたは蓮紀さまとの血の繋がりは、一切ない。


 刃は心に刺さったままだ。苦しいがどうしてもその真意を確かめなければならない。蓮は蓮紀を呼んで実は聞きたいことがあります、と切り出した。

 蓮の視線に蓮紀は並々ならない熱を感じた。その瞳は静かに燃えていた。蓮紀は後で聞こう、と言った。

 その前に再会を祝して語り合おう、と蓮紀は切り出し二人を屋敷の中へ促した。蓮と真聖は屋敷に上がるとすぐに風呂に入るように言われ入った。暖かい湯に浸かり、汚れを洗い流す。

 風呂から上がり、着物に着替えると屋敷内にある部屋へ入る。そこには蓮紀と柊が待っていた。二人は部屋に入り、座る。

「蓮、真聖。お前たちが旅に出て、華札継承者を探すことは目覚めた後に柊から聞いた。過酷な旅だっただろう。いろんな話を聞かせてくれないか?」

 蓮紀たっての願いで蓮と真聖は今までの旅の話を聞かせ始める。


 最初に行ったのは春国。

 いつも桜が待って綺麗だったよ。華やかな街で食べ物も飲み物も桜の花や葉っぱを利用したものが多くて本当に美味しかった。

 でも春国の人たちは僕たちをジロジロと見つめてきた。その理由は最初はよく分からなかったけど、卯月の華札継承者のソウさんが全部話してくれたよ。

 春国の人は冬国の人間を恐れているということ。春国の首領さまと謁見した時、髪の毛を隠しながらやり過ごそうとしたんだけどすぐにバレて、真聖は壮さんと一緒に捕まって地下牢へ。僕は兵士に追われながら死に物狂いで走って、花街に逃げ込んだんだ。

 花街は厳しい掟があってそれを破ったら例えそれが首領さまであっても受けなきゃいけない。僕が逃げている時に、花街一の花魁・小春コハルお姐さんに助けてもらった。お姐さんは厳しくてでも優しくて・・・。お姐さんの庇護のもと、花街で下働きをしていました。

 最初こそ何もできなかったけど時間の経過と共に上達した。

 でも僕がお使いに行っている間にお姐さんのところに兵士が来て、僕を出せと脅してた。お姐さんは知らない、と言い続けてきたけど兵士たちはお姐さんを殴ったりしてたんだ。それを見た僕はとっさに名乗って捕まった。

 花街で捕まって真聖や壮さんが捕まった地下牢に入れられた時、意外な人も閉じ込められていて・・・。春国の王女さま、瑠姫ルキだった。そこで首領さまが黒龍に操られていることを知った。瑠姫は皐月の華札継承者あったから地下牢に入れられたんだと思う。

 すぐ後に僕の公開処刑が決まって牢屋から出された。

 僕は死んじゃうんだな、ってなんとなくわかった。真聖と壮さんも必死になって抵抗してくれたけど無駄だった。そのときの僕は目の前が真っ暗で何も見えなかった。いざ死刑になると思った時に、お姐さんが助けてくれたんだ。実はお姐さんが弥生の華札継承者で黒龍を追い出して石碑に縛りつけたんだ。

 封印する翌日に僕は花街に泊まった。

 お姐さんにお礼を言ったら、お姐さんは昔のことを話してくれたんだ。僕を見て「小さい蓮紀にそっくりやわ」って言ったからびっくりしちゃった。お姐さんは花魁になる前に冬国に逃げてきてその時に父上と知り合ったんだって。

 僕はお姐さんに助けてくれた恩返しがしたい、ってお願いしたらそれはいらないって言って断られちゃった。理由を聞いたらお姐さんは父上を助けてあげなさい、それが私に対する恩返しだからって言ったんだ。

 華札の封印をした後、僕はお姐さんからこの髪留めをもらった。これが切れた時、願いが叶うって言われている春国伝統のお守りなんだって。春国を出る時には瑠姫や壮さんに見送ってもらいました。


 まずは春国の話をする。それを聞いた蓮紀はそうだったのか、と目頭を押さえた。そこには悔しさがにじんでいた。やはり冬国の人間であること、さらに蓮紀の息子ということも合間って処刑未遂まで追い込まれたのだ。

「蓮。怖い思いをさせてしまったな」

「本当に怖かったです。結構この出来事がトラウマになってかなり引きずりました」

 蓮はそう言った。そして蓮を己の考えに沿って守ってくれた小春。蓮紀は彼女の源氏名ではない本名を蓮に問うた。

花蓮カレン・・・。お姐さんの本名は、弥生花蓮です」

「花蓮・・・」

 蓮紀はその名前を聞いて思い出す。蓮は思い出しましたか? と聞くと蓮紀はああ、と頷いた。小春もとい花蓮とは一週間だけの記憶が残っている。まさかその時は花街から逃げてきたとは思ってもいなかったようだ。思い出として思い出せたことを蓮紀は喜んでいた。


 次に向かったのは夏国。

 たくさんの兵士を抱える強い国。怒らせてはいけない。そう言われてきた。気をつけないとって思っていた時に嵐にあって僕たちは川へ投げ出されて、溺れかけた。翌日に通りすがりの人に助けられた。

 助けてくれたのは夏国首領さまに仕える女武将で水無月の華札継承者である、涼羽スズハさんだったんです。涼羽さんは本当のお母さんのように僕と真聖に優しく接してくれました。涼羽さんの娘であるオリとも仲良くなって妹ができたみたいで本当に楽しかったです。

 最初の驚きは涼羽さんの旦那さんの七夕シユウさんがまさか文月の華札継承者だとは思いもしませんでしたけど・・・。七夕さんの計らいで僕らは宮殿にいる首領さまに挨拶しに行きました。

 首領である翠徳スイトクさまは義理堅い立派な方。だけど、僕には春国のような事態になったらって考えただけで怖くて、知らないうちに逃げ出した。僕のことを必死で探してくれた涼羽さんが「私のことを本当のお母さんだと思ってくれて構わない」って言ってくれたからざわつきは落ち着いたんです。

 そしたら翌日事件が起きて。

 夏国に暮らす義賊「シグレ賊」が宮殿に乗り込んできて織と助けようとした僕は捕まり、シグレ賊の集落へ連れてかれた。真聖が言うには僕たちを助けようと七夕さんと真聖が集落に乗り込んできて、その相手をシグレ賊の頭であり葉月の華札継承者の海袮アマネさんだった。

 海袮さんは元涼羽さんの好敵手だったらしいんですが涼羽さんをおびき出すために織と僕をさらったって言っていました。その後、海袮さんは教えてくれました。シグレ賊が夏国に流通するはずの鉄を止めていたことが分かったんです。その理由は黒龍。黒龍の出す瘴気と鉄は人に害を及ぼすこと。シグレ賊の知恵で知っていてさらに医術師であった海袮さんの指示でわざと止めたと。

 その時に黒龍が現れて真っ黒な瘴気が街を包んでいたんです。それを見た海袮さんは薬草を大量に持って七夕さんと一緒に街へ下って行きました。僕たちは瘴気が上がってこないシグレ賊の村で待ってるように言われました。

 僕たちが街へ降りるまでに何が起きていたかはわからない。瘴気が引いた時に僕たちも宮殿へ戻ったんです。そしたら宮殿の中庭では瘴気の影響を受けた人たちでいっぱいいました。

 状況に驚いていたときに、七夕さんに抱かれた涼羽さんがぐったりして運ばれてきたんです。これには思わず僕たちも絶句しました。織に関しては大泣きです。涼羽さんはすぐに海袮さんの元へ運ばれて行きました。長い時間瘴気を吸いすぎて症状は重くて生と死の瀬戸際だったんです。

 海袮さんも手は尽くしたがあとは涼羽の体力次第だ、って言っていてそれを聞いた七夕さんが悔しそうにしていました。海袮さんはそう簡単に涼羽がくたばるわけはねえ、って言ってましたけど不安で不安で・・・。

 海袮さんの言う通り、涼羽さんは元気になりました。七夕さんも織も喜んでいたよ。そのまま華札の封印を行いました。次の国に旅立つ前に二日間は涼羽さんと七夕さんの家で過ごしました。二人の思い出の場所にも連れて行ってくれて・・・まるで本当のお父さんとお母さんのように感じました。

 最後の夜には涼羽さんは僕たちに未来に必ず選択を迫られるときがある、と教えてくれました。僕は人のために生きること、真聖には人の命の儚さや罪悪感に押しつぶされることもあるけれど義の心を持って生きること、と教えてもらいました。

 夏国を出発するとき、七夕さんから餞別品でこの短刀を真聖と一緒にもらいました。せめて自分自身の身を守るためにと。別れるのは何よりも悲しかったけど僕たちは夏国を出ました。


 次に話したのは夏国だ。

 蓮の口から出たのは涼羽・七夕夫婦に蓮紀や柊と同じぐらいの愛情を注いでくれたこと、可愛い妹のような存在ができたことだった。

 それを聞いた蓮紀と柊は顔を見合わせて笑った。

「蓮さまと真聖には母親がいない。ご夫妻には感謝せねばなりませぬな」

「ああ。もし今度会う機会があれば、ご夫婦に感謝の言葉を言わねばな」

 明らかに蓮と真聖の輝きは違う。夏国はある意味、母親の愛情と人情を学んだ場所になったのだと悟る。

 しかし蓮にとってみれば涼羽の言った「いずれあなたは冬国首領になる」という言葉が首を絞めているように感じた。自分は蓮紀と血が繋がっていない。冬国の首領になる権利は自分にはない、と思っているのだった。

 悲しすぎる事実を抱えながら蓮は次の話へ移る。


 次に言ったのは秋国。

 夏国でお世話になった海袮さんに馬に乗せて送ってもらったんです。夏国と違って綺麗な葉っぱが風に舞っていました。

 僕たちは海袮さんから秋国は神様を敬う国で神様のお告げで政治さえも動かす不思議な国。神様と会話ができる巫女さんまでいる、って聞いたんです。彼女に聞けば華札継承者に関することが知れる、と思ったんです。

 僕たちは巫女に会える方法を探したんですけどなかなか手がかりは掴めなくて・・・。で、駄目元で宮殿へ向かったらまさかの首領である理穏陛下自ら迎えてくれたんです。理穏陛下に華札継承者のことを聞いたとき「清涼院へ行け」とおっしゃいました。

 そこで僕と真聖は清涼院へ向かいました。そこは硝子細工職人たちが多く住む職人町でした。清涼院は秋国唯一の仏様を祀る場所でした。清涼院には理穏陛下の双子の弟で現在は出家して清涼院の主人をしている九穏院クオンインさまと会いました。九穏院さまこそ、長月の華札継承者だったんです。

 その後は九穏院さまにお世話になりながら華札継承者を探しますが一切の手がかりはありませんでした。道中では硝子細工職人の見習いである紅葉クレハさんとも出会いました。実は彼は神無月の華札継承者であることが分かったんですが、華札の力が使えず、本人すら気づかない「シカトの呪い」の存在を知りました。

 それに気づいたのはだいぶ後でした。

 僕たちが気づいたのは再び宮殿へ戻った時です。

 実は理穏陛下の身に危険が迫っているのでは? という疑いがあったんです。その犯人を抑えるために九穏院さまや真聖と一緒に向かいました。シカトの呪いに気づいたのは真聖で紅葉さんを説得しようとしました。だけど紅葉さんは受け入れなかった。

 それで真聖と大喧嘩。まあ、僕が一方的に突き放したんですが・・・。

 宴が始まり、理穏陛下のそばで見ていた時真聖が動き出したんです。真聖は理穏陛下のもっていた盃に入った水を飲んで大量の血を吐いて倒れたんです。

 理穏陛下を殺すための毒が仕込まれていて、それが分かった真聖がとっさにとった行動だったんです。宴は中止。ごった返す会場で僕はどうすることもできませんでした。

 翌日になって真聖はなんとか回復しました。僕は何度も真聖に謝りました。改めて僕たちは一心同体で絆は決して切れないんだ、って思いました。

 その時に毒を入れた犯人が理穏陛下と九穏院さまの実の母上であった絢妃アヤヒさまであることが分かったんです。絢妃さまはそれ相応の処罰を受けました。僕は清涼院近くにある硝子細工職人さんと約束をしていました。宮殿を一人で出た時に・・・僕は・・・。

 怪我、しちゃったんです。血が結構流れて・・・。動けなくなった時に紅葉さんが助けてくれたんです。紅葉さんは華札の力を覚醒した上で協力してくれるって約束してくれました。

 宮殿に帰ろうとした時、黒龍が現れて僕を連れて行きました。

 その時の記憶はほとんどありません。まるで音も何も聞こえない場所に閉じ込められているかのようでした。

 僕はその後、華札継承者による封印によって助け出されたそうです。その時の記憶はほとんど覚えてないです。

 その後は・・・。


 蓮が口を動かした瞬間、頭の中にタマの一言が流れる。

 

 自分は蓮紀との血の繋がりは一切ない。

 あなたは白札。その役割は華札のどれかが欠けた場合、それを補う、またはそれに成り代わること。白札の特徴として血が繋がっていなくても育ててくれた人間に影響されて髪の毛の色や瞳の色が同じになること、体のどこかに龍の痣ができること。

 白札はかつて黒龍と相反する正義の龍が変化したものと言われている。それゆえに白札は別名「白き龍」と呼ばれている。


 急に喋れなくなった蓮に蓮紀が大丈夫か? と声をかけた。蓮はハッとなった。蓮紀の顔を見ると早く続きを聞かせてくれと言わんばかりの顔をしている。

「あ・・・、その後真聖は理穏陛下を助けたことを感謝されて感謝の品が送られたみたいです」

 蓮はとっさに真聖に話を振る。真聖はすぐに短刀を取り出す。そこには理穏から贈呈された飾りがある。秋国の硝子細工が存在を示す。

「素晴らしい・・・」

 蓮紀も真聖を褒めた。養父の柊も鼻が高いな、と言う。柊は嬉しゅうございます、と返した。しかしもう二度と危険な真似はしないと約束すること、と釘を刺された。

 真聖もはーい、と返事を返した。

 蓮にはその様子が遠く見えて、結局これ以上は何も言えなかった。確実に蓮に白札というその体には大きすぎて重すぎる十字架を背負わされたのだった。


最後まで読んでいただきありがとうございました。感想&評価等よろしくお願いします。藤波真夏

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