三章 番華
夜遅くに失礼いたします。早く完成したので更新します。最後まで読んでいただけたら幸いです。藤波真夏
三章 番華
蓮は夢を見ていた。
発熱による倦怠感で身体は動かず意識が朦朧としている。暗闇の中に取り残された蓮は真聖を探して呼んだ。
しかし真聖はいない。歩いても歩いても出口が見えない。心細くなってくる。すると暗闇の先に小さな光が見える。蓮がそこに向かって一直線に走っていった。白い着物に身を包んだ椿の姿があった。
幼い頃に死んでしまった椿の記憶は曖昧だが、蓮は本能的に母親であると認識する。
「母上! 会いたかったです!」
蓮が涙を流しながら椿に手を伸ばす。しかし椿は首を横に振っている。こっちには来るな、と言いたげな様子だった。蓮にとってそんなことはどうでもよかった。ただ椿にまた会えたことが嬉しかった。
「母上! 父上も会いたがっていました! 一緒に行きましょう!」
蓮がまた呼びかけても椿は首を縦には振ってくれない。蓮はどうして! と聞く。すると椿は蓮の頭に手を乗せた。
そして何も話さず優しく微笑んだ。その瞬間、椿は光の粒になって消えていく。蓮は嫌だ、消えないで! と言い続けるが無駄だった。
蓮がゆっくりと目を開けるとそこには青い色の大きな瞳が飛び込んできた。
「おきたー?」
「うわっ?!」
蓮は驚いて布団から飛び出して後ろへ下がる。蓮はよく見ると織だった。自分よりも年下であるが驚きすぎて言葉が出なくなる。
「誰?!」
「織! お・りっていうの」
織は自己紹介をするが、蓮はそれどころではない。蓮は川に落ちてから記憶が途絶えている。一体どういう経緯でここに来たのか、わからない。また捕まったのか? という錯覚にも陥る。
すると不意に蓮の髪の毛が引っ張られる。
顔をしかめながら振り返ると織が蓮の髪の毛を引っ張っていた。蓮の銀髪をあまり見たことがなかったせいなのか興味津々だ。
「きれーい!」
「や、やめて!」
蓮が悲痛な声を上げると戸が開いて涼羽が織の名前を呼んで飛び出してきた。また知らない人間が現れて蓮の頭の中はパンク寸前だ。
その直後、蓮を安心させる人物が現れる。
真聖が顔を出す。真聖は山菜の入った籠を置いて蓮のそばに寄ってきた。
「蓮! 目が覚めたんだね!」
「真聖! 一体全体どうなってるの?! ここどこよ?!」
状況が理解できていない蓮に真聖は最初から一つ一つ説明し始めた。川に流されて気を失って倒れているところで涼羽が偶然発見し屋敷に運んでくれたこと、蓮が高熱を出して徹夜で涼羽が介抱してくれたこと。包み隠さず話した。
「・・・なるほど。今、わかったよ」
真聖はとりあえず蓮が元気になってよかったよ、と言った。真聖は涼羽と一緒に山菜採りの手伝いをしに行っていたのだった。
蓮はそのまま織のところにいる涼羽に視線を移した。
「織。髪の毛を引っ張ったら痛いでしょ? ごめんなさいは?」
涼羽に叱られて織は蓮の前へちょこんと座り、小さな声で言った。
「ごめんなさい」
「あ、いや・・・。気にしてないよ」
すると蓮のそばに涼羽が寄り、蓮の額に触れた。
「もう熱は下がったみたいね。よかった」
触れた手に蓮は何か不思議な感覚を覚えた。先ほど見た夢に出てきた椿と同じ手に感じた。すると涼羽は蓮に自分のことを言った。
「娘が悪いことをしてごめんなさいね。私は涼羽。あなたが蓮ね、真聖から聞いたよ」
蓮は涼羽の青い瞳に引き込まれた。まだ寝ぼけているのかな? と笑う。母親の温もりを知らない真聖も戸惑う笑顔を蓮も見て戸惑った。蓮もあまり母親の温もりを知らない。
「じゃあ、朝飯にしましょうか。織、父さま起こしてきてくれる?」
「うん!」
織は七夕を起こすために部屋を出て行った。残された真聖と蓮には手伝いをしてくれないか、と頼んだ。二人は快く受け入れた。台所に立ち料理をしている後ろ姿が二人にとっては新鮮で手伝いの手は止まっていた。
なんとか料理が完成し、並べる。あとは織と七夕が来るのを待つだけだがなかなか来ない。すると織がやってきて涼羽に言う。
「母さま、父さまおきてくれない・・・」
「へ?! もう、何してんだか。ちょっと待ってて」
今度は涼羽が七夕の部屋へ向かう。
すると織は蓮と真聖の間にちょこんと座った。自分よりも年下の子とまともに話したことも接したこともない蓮は話しかけられない。戸惑っていると、織が蓮の膝の上に座った。蓮が驚いていると真聖の手も握る。
「織ににぃにができた! 織のにぃに!」
「なんか、気に入られてるみたいだね。なんか可愛い妹できたみたい」
「確かに、そうだね」
蓮と真聖にも笑顔が戻ってきた。それを見た織もにぃにが笑った! と喜んだ。蓮と真聖は織に自分の名前を言った。それを聞いて涼羽と同じように名前をつぶやいていた。そして覚えたての名前を言う。
「蓮にぃにと真聖にぃに! 織のにぃに!」
朝から屋敷の部屋では子供たちの元気な声が響いた。
一方、七夕を起こしに行った涼羽はというと。
布団の上でメチャクチャな寝相で寝ている七夕を見て、呆れの溜息をつく。
ま、確かに夜中に帰ってきて蓮たちのこと色々説明したから寝るの遅くなったのは私のせいだけれど、可愛い娘が起こしに行ったのに起きないというのは・・・。久しぶりにシバき甲斐がある・・・。
涼羽は七夕の体を揺らす。
「七夕・・・。朝だよ、起きて」
しかし七夕はもうちょっと・・・、と寝言を出す。涼羽も負けずに体を先ほどよりも激しめに揺らす。すると、七夕が薄く目を開ける。緑色の瞳に愛しい妻の顔が映る。
「僕はまだ眠い・・・。だったら・・・、新婚のときみたいに・・・一緒に寝ればいい・・・」
七夕が涼羽の腕を強引に引っ張り布団の中に巻き込んだ。しかも涼羽が離れようとすると腕の中に収めてがっちりと離してくれない。
七夕の鼓動が規則正しく聞こえて眠りに落ちそうになるが、それを堪え涼羽は覚悟を決めて言った。
「七夕、そんなに起きないなら、お前の首を掻っ切ってもいいのか?」
先ほどの涼羽とは真逆の言葉が出てくる。それを聞いた七夕が勢いよく起き上がった。
「それは困る! ・・・あれ?」
「ご飯が冷めるから早く来い。それに・・・」
涼羽が言葉に詰まった。涼羽が今まで以上に赤い顔をしていたのだ。
「子どもたちが見ていたら、どう責任をとってくれるんだ・・・」
照れた涼羽の顔を見て七夕はニヤニヤと笑った。なんで笑ってるんだ? と涼羽が聞くと七夕は笑うのは当然だよと続けた。
「涼羽、話し方が元に戻ってるよ。久しぶりに聞いたよ。僕の奥さんが君でよかったと思ってるよ」
「寝言言ってないで早く来い。シバくよ」
「おお・・・、怖い怖い」
七夕は起きて涼羽の後ろをついていく。涼羽の後ろ姿を見ながら七夕は思った。
涼羽。僕は君に命を救われた・・・。だから僕は・・・涼羽、君に惚れたんだ。
「遅れてごめんなさいね」
涼羽が戻ると蓮と真聖、織が迎えてくれた。先ほどまで織をどう扱うのか分からなかった二人が織と打ち解けて笑っている。
もしかして見られてた?! と涼羽は不安になるが、それ以上に蓮と真聖の顔に笑顔が増したことに涼羽は嬉しかった。
「さあ、遅くなったけどご飯食べましょ」
涼羽と七夕が座るとようやく朝ごはんにありつく。蓮と真聖は普段通りの元気を取り戻しご飯を駆け込む。
その様子を見て涼羽は七夕と顔を見合わせる。
「男の子二人いるとうちのご飯がすぐになくなっちゃうね」
「男はそういうものなんだ。家がいつもより賑やかでいいじゃないか」
二人は思わず笑った。すると三人合わせて椀を差し出しておかわり! と言った。涼羽はわかったわ、と三人分の椀を持ってご飯をよそう。
朝ごはんが終わると蓮と真聖は元々夏国にやってきた目的を話す。まずは蓮は自分が一体何者であるのかを話し始めた。
「僕は冬国首領の息子なんです。父上は封印から目覚めた黒龍と戦って大怪我をして、意識がないんです」
それを聞いて涼羽と七夕は驚きから真面目な表情へ一変する。蓮はそのまま続ける。
「僕と真聖は華札継承者を探して封印してもらおうと冬国を出たんです。最初に春国に行って華札継承者の人たちに会って封印を完了してきました。次は夏国だ、といってここに」
七夕のなるほどな、とつぶやいた。
「でもその話を聞くと春国の華札を納めてきたということになるけれど」
「はい。押さえてきました」
真聖はきっぱりと涼羽に言った。数秒後に涼羽は七夕・・・、と彼の方を見てつぶやいた。七夕は蓮の方をじっと見た。
「大体の事情は理解した。その髪の毛の色は冬国にしかいないという噂は本当だったらしいな」
「でも春国を経由したって・・・大変だったんじゃ・・・。だって十年前・・・」
涼羽がそう言うと蓮は既に知っています、と返した。春国での経験はあまり話さなかったものの、蓮は結論だけを言った。
「夏国にいる華札継承者を探してるんです」
それを聞いていた織が「はなふだ?」と言って涼羽の元へ向かう。すると涼羽の着物の襟に手をかける。織の行動に慌てる涼羽。
「こら! 織!」
「母さまのここにチョウチョあるの。なあに、これ?」
よく見ると涼羽の鎖骨に蝶の痣が残っている。普通の痣では考えられない細かさだ。蓮と真聖は涼羽の近くまで寄ってちゃんと見る。
「涼羽さん・・・」
すると涼羽ははあ・・・とため息をついた。すると涼羽は痣を見せて言った。
「私は六月の華札『牡丹に蝶』を宿す者、本名は水無月涼羽というの」
涼羽は本当のことを話した。驚いたがこれが何かの縁なのかと思ってしまう。蓮は何も感じないが華札継承者である真聖は感じた。同じ、華札継承者の気配が涼羽から感じた。
すると涼羽は七夕の肩に手を置いて言った。
「七夕。私はちゃんと言った。あなたも言わなきゃダメだよ」
分かったよ、と七夕も二の腕をあらわにした。そこには猪の痣が残っている。え、七夕さんも?! と驚きを隠せない。真聖はといえば驚きすぎて言葉を失っている。
「僕は七月の華札『萩に猪』を宿す者。本名を文月七夕というんだ」
「ご夫婦で華札継承者ですか?!」
「まあね」
二人は笑った。一人娘の好奇心によって華札継承者が二人明らかになった。蓮は二人に協力してくれませんか? と持ちかける。二人は顔を見合わせた。しかしすぐに頷いた。
「私たち夏国は義と人情を大事にする。国の中で困っている人がいれば助けるのは当然のこと」
「黒龍のことは懸念されていた。黒龍が解放された途端、すぐに封印ができなかった。春国が封印された今、すぐにでもやらなければ・・・」
でも、葉月の札の華札継承者がいないからすぐにはできない、とも返す。しかしいい流れだ。春国のときと違って出だしは好調だ。
しばらくして七夕は仕事に出かけて行った。
涼羽が朝食の片付けを始める。それに蓮や真聖も手伝いをする。花街での経験が活かせたのか、蓮はなかなかの手つきで片付けていく。
「すごいわ、蓮。あなた、王子さまなのにこんなこともできるのね。私、びっくり。真聖、あなたもすごいわ。さすが長い間お側にいるせいね」
涼羽が二人を褒める。少し照れた顔で見合った。いつもは一人で片付ける家事が蓮と真聖のおかげですぐに終わらせることができた。
その後は蓮と真聖は織と中庭で遊び、涼羽はその様子を縁側に座って眺めていた。遊んでいる姿は本当の兄妹に見える。すると涼羽のところへ織が蓮と真聖の手を引いてやってきた。
「ねえ、母さま! 蓮にぃにと真聖にぃにとお出かけしたい!」
「織。真聖ならまだしも、蓮はまだ病み上がりなのよ? 疲れてまた風邪ぶり返したら大変よ」
それを見ていた蓮は涼羽に僕は大丈夫です、と言って涼羽を安心させる。それを聞いて蓮がそう言うなら・・・、と涼羽は了承した。急いで準備してきなさい、と涼羽は言った。
屋敷を出て夏国散策をすることになった蓮たち。
織は蓮と真聖と手を繋いで上機嫌で歩いている。お兄ちゃんができて嬉しいのか走り出そうになって涼羽がヒヤヒヤと見つめる。
「こら、織! 二人を困らせないで!」
そんなこともお構いなしに蓮と真聖も織につられて笑っていた。やはり銀髪が不安だったのか、フード付きマントを付けてのお出かけになった。四人がやってきたのは夏国の市場。たくさんの新鮮な野菜や魚、穀物などが売られ人が集まる。
「ここは市場。ここで食材を買っているのよ」
涼羽がそう言うと蓮と真聖は目を輝かせていた。色とりどりの野菜、見たことのない形の野菜がたくさんあって楽しくてしょうがない。
「涼羽さま! いい野菜入ったよ! 見て行っておくれ!」
野菜売りの主人が涼羽を呼び止める。涼羽は売られている野菜を手に取って見る。蓮たちも涼羽の側による。それを見た主人は笑った。
「おや、涼羽さま。娘さんに兄貴いたのかい? いつ産んだんだい?」
涼羽は慌てて釈明する。
「ち、違うんです! この子たちは私の子じゃなくて、訳あって預かっている子達なんです。この国が初めてでちょっと散策を・・・」
主人はそうだったんかい、と大声で笑った。それでも織は二人は自分のお兄ちゃんだ、と言い張る。主人はお兄ちゃんができてよかったね、と笑った。
「そうだ、これが今日は手に入ったんだ。一本どうだい?」
主人は蓮と真聖に大きな大根を渡した。大根なら冬国にもあるが、驚いたのはその大きさだ。
「こんなに大きな大根、初めて見たね、真聖」
「そうだね、蓮」
「涼羽さま、どうだい? 今日だけこの子供達に免じてお安くしとくよ!」
涼羽が思案した結果、今日の夕食の材料になった。大根を持ってまた歩いて行くと市場を出て行く。時間もお昼時。そろそろお腹が空いてくる頃。一軒の茶屋に寄り道する。
「すいません。ところてん四つ。甘い蜜多めで!」
涼羽が注文を告げると、注文を受けた茶屋の女将はクスッと笑った。蓮はその声が聞こえてふと女将の顔を見た。しかしすぐに行ってしまう。
「蓮、真聖。大根重かったでしょ? 持たせちゃって悪いね」
「いいんです。夏国の人たちってすごく暖かいんですね。僕にも真聖にも優しかったし、涼羽さんのことみんなよく知っているんですね!」
「え、まあね」
涼羽が作り笑いをする。一体どういうことなのか分からないまま、注文したところてんがやってきた。すると女将が笑った理由がすぐにわかった。
また蓮と真聖が涼羽の息子だと勘違いしたらしい。また涼羽は違う、と釈明をした。その通りなのだが、蓮と真聖はなんだか心にぽっかりと穴が開いたようになった。
そしてその夜。四人は屋敷に戻ってきた。
涼羽は夕食の準備を始める。ご飯をカマドで炊き、買ってきた大きな大根を切って煮込む。たくさん歩いたのか、蓮たちは夢のなかだが煮物のにおいを嗅いで目がさめた。
「さあ、ご飯よ。運ぶの、手伝ってくれる?」
「はい!」
蓮と真聖は料理を運び、織は座布団を運んだ。料理が仕上がった時、玄関から音がした。七夕が帰ってきたのだ。涼羽が急いで玄関へ行くとただいま、と言った七夕におかえりなさい、と笑顔で返す。
「涼羽さんと七夕さんって仲良いんだね」
「父さまと母さまはなかよしで、お熱いんだって」
織がそう言った途端、涼羽が振り返る。一気に涼羽の顔が真っ赤になる。羞恥心が涼羽を支配する。涼羽が織を叱ろうとした時、七夕が涼羽の肩に手を置いて止めた。
「七夕?」
「ま、いいじゃないか。さ、奥さま。今日のご飯はなんでしょうか?」
七夕は涼羽の肩を抱いて歩き出す。そして蓮たちが見ている部屋の方へ歩き出す。部屋についてすぐに夕食にありついた。やはり蓮と真聖は育ち盛りでたくさん食べて涼羽は笑っていた。
そんな時、七夕から全員に話があると切り出す。
「明日、お前たちを連れて城へ来いと翠徳さまに言われてね。どうだい?」
「翠徳さま?」
蓮が首をかしげると、翠徳さまは夏国首領だよ、と涼羽が言った。真聖はある言葉が引っかかる。その真意を七夕に聞いた。
「全員ってことは、僕たちもですか?」
「そうだ。僕、涼羽、織、そして蓮と真聖も一緒だ。翠徳さまにはすでに君たちの話は通してある。是非会いたいと言ってくれた」
二人は小さな声で相談を始める。首領に会うということは謁見するということ。謁見に関して言えば蓮たちにはトラウマがある。春国での出来事がまだ頭の中に尋常に残っているからだ。あれは冬国との因縁があって仕方がないとはいえ、あの恐怖が蘇る。
「ねえ。どうする?」
「また、追いかけられたり、捕まったりするのかな?」
不安そうな表情をして顔を見合わせる。その様子を見ていた七夕は安心して、と付け加える。
「翠徳さまはちょっと野生的で怖い印象を持つかもしれないけど、人情に厚くて、剣の腕も一流な義に厚いお方だ。蓮と真聖に決して酷いことはしないよ」
七夕の説明を聞いて蓮は行きます、と言った。本気?! と真聖が心配するが、七夕さんを信じると言い切った。しかしまだ涼羽が行くことを渋っていた。真聖は涼羽に言う。
「涼羽さんは行かないんですか?」
「え、いや・・・私は・・・」
すると七夕が話しかけてくる。
「涼羽。翠徳さまも君に会えることを楽しみにしているだ」
「でも織を連れて行って何かあったら怖いし・・・」
「何言ってるの。翠徳さまは織にも会いたがっているんだよ。織を産んでから会っていないだろ? どうだ?」
涼羽は七夕の説得にとうとう降りた。じゃあ、決まりだね、と七夕は笑った。じゃあ今日は早く休んで体力を万全にするんだぞ、と全員に言った。
蓮と真聖、織は三人並んで寝てしまった。その様子を見ていた涼羽と七夕は顔を見合わせて笑った。
「こう見ていると本当の兄妹みたいだね」
「ああ。じゃあ、僕たちも寝ようか」
「そうだね」
涼羽の笑顔に七夕の心に恋をしたときの音が鳴る。涼羽の顔を直視できない。早く、と催促する涼羽を追って自分たちの部屋へ戻っていった。屋敷の明かりが消えた。全員が眠りについた。
こうして夏国最初の冒険は幕を閉じたのだった・・・。
最後まで読んでいただきありがとうございました。感想&評価等よろしくお願いします。藤波真夏




