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華札のクニ  作者: 藤波真夏
第二記:春国編
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十一章 蓮紀の涙

続けて更新しました。これで春国編最終章となります。最後まで読んでいただけたら幸いです。藤波真夏

十一章 蓮紀の涙

 蓮と真聖が冬国を旅立って数ヶ月が経過したころのことだ。冬国では変化が起こっていた。旅立ってから数ヶ月後に傷が癒えた蓮紀の意識が回復したのだった。

「柊か?」

「蓮紀さま! お加減はいかがですか?!」

 目を覚ました蓮紀に柊が間髪入れずに聞いてくる。蓮紀は意識が回復したがまだ傷が塞がっていないため全快とは言えない。少し動くたびに至るところで体の至る所で激痛が走る。痛みが走るたびに顔をしかめた。

「そうだ、蓮と真聖はどうした?!」

「蓮紀さま。そのことでお話がございます」

 柊は蓮紀に意識不明だった間のことを包み隠さず全て話した。蓮紀が重傷を負い、蓮と真聖が取り乱したこと。真聖が華札継承者だと知りながら助けられずに自分を責めたこと。そして睦月蓮紀の息子として華札継承者を探し出して封印する旅に出たことも。

 それを聞いて蓮紀は驚いていたが、それ以上に春国との確執を内緒にしていたせいで、春国で何かされていないか心配になる。

「蓮は俺と同じ銀髪に水色の目だ。見つかったら後ろ指差されるぞ。大丈夫だろうか?」

「蓮さまには真聖も付いています。心配ではありますが、きっと大丈夫じゃろうと・・・」

 蓮紀の不安を柊が拭った。

 しかし蓮紀には別の懸念があった。柊ほどになってくれば華札の力で何を考えているかが察せるようになる。

「蓮紀さま・・・」

「分かっている。蓮や真聖の笑顔を見ると元気になる。しかしそれと同時に苦しくなる・・・。時間の流れというものは恐ろしいものだ。俺がしたことは本当に正しかったのだろうか、柊」

 蓮紀は手首にある鶴の痣を見る。柊は蓮紀さまは正しい判断をしました、と述べた。そして誰も蓮紀が判断を誤ったとは思っていないとも。

「しかし・・・」

 柊は少々言葉を濁らせた。

「このままにしておくわけにもゆきませんな」

「そうだな。蓮は自分の意思で旅に出た。真聖も然り。なら、大きく成長して帰ってこれるはず。その時に・・・でも」

 蓮紀は涙を流した。蓮紀は激痛を我慢して中庭へ出る。蓮と真聖との楽しかった最後の記憶は黒龍復活の蓮と真聖が仲良く中庭で遊んでいる光景だった。

 今でも「父上!」「蓮紀さま!」と二人の声がどこかで聞こえそうだった。しかし二人の面影はどこにもない。

 蓮紀は封印場所に向かって手首の痣に手を添えて願った。


 我が身に宿る華札よ、どうか俺の息子たちをお護りください。我が身の鶴よ、真聖の身に刻まれた鳳凰よ、どうか・・・どうか、俺の大事な息子たちをお護りください。


 蓮紀の願いはその身に宿る華札に念じられた。

 


 蓮紀の思いは風に乗って蓮に届いたように感じる。

 蓮と真聖は山道を乗り越え、野原を歩き、たまに休みながら次の国へ向かって歩き続けた。花で溢れていた光景はいつしか緑が生い茂る光景へと変わっていった。

 春国とは真逆の風景だ。

 次第にのどかな田園まで見えてくる。青々とした苗がたくさん植えられている。人ともすれ違うが、その多くが武器を持った兵士ばかり。剣や弓矢、物騒なものばかり。しかしそれを見て蓮と真聖は確信に迫っていた。


 次の国はもうすぐだ、と---。


 蓮と真聖が次に向かう国・・・、それは---。

 自分の欲を捨てて、義を重んじ人のために戦い抜く義理人情に厚い国。そして四季一番の軍事力を誇る武の国・・・。


 夏国だ---。

最後まで読んでいただきありがとうございました。これで春国編は終了です。次は夏国編となります。また不定期更新になりますが、気長にお待ちいただければ幸いです。感想&評価等よろしくお願いします。

藤波真夏

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