6話 譲れぬ人権
凱帝学園学生寮の一室、その玄関で俺と玲愛は立ち尽くしていた。
何故なら…………この部屋で共同生活しなければならないからだ。
「…………確かに言ってたけどさぁ……同室って」
ホームルームでの桐山の言葉を思い出し呟く。
「…………だ、大丈夫だよ……たぶん………………大丈夫だよね?」
「大丈夫に決まってんだろっ!」
なんだか不安になってきた、こんな時は繰り返し自分に言い聞かせるんだ。
(大丈夫……大丈夫……俺なら出来る……)
「――――って、出来たらダメだろ!」
いや、我慢できるという意味ならあっているのか?
などと考えていると…………
「ねぇ…………大丈夫?」
すげぇ可哀想な顔された。自分が惨めに思えるからやめてくれ!
「と、とりあえず荷物入れようぜ……」
「そうだねっ」
俺たちは荷物を運び入れる。
ちなみに間取りは、十畳一間に備え付けの二段ベッド、システムキッチン、バス・トイレ別と、悪くはない。
(ただ、二人なのがなぁ……)
なんとか荷物を開け終えた(玲愛が荷物を開けている間はずっと目を瞑っていた)俺たちは、一緒に生活する上でのルールを決めようとするのだが……
「ルールとか特に要らなくね?」
「ダメだよ! 無かったら変なことするでしょ、また……」
「何だよ! その前科があるみたいな言い方」
「無いの?」
「無ぇよ!」
何か俺の扱い酷くなってないか?
「わかった……」
やっとわかってくれたか……
「じゃあ勇輝は外で寝てねっ♪」
「“寝てねっ♪”じゃ無ぇよ!」
何もわかっていなかった。
「火野勇輝君の人権どこ行った!」
「ジョーダンだよ、ジョーダン」
ホントかよ…………
とりあえず人権は守れたようだ。
――――こうして、俺たちの共同生活が始まった。
間取りはスーモで勉強しました。