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『火星という幻想』
11月28日。
それは火星探査機マリナー4号が火星を目指して打ち上げられた日。
火星というのは当時、いまよりも未知の世界で、見知らぬ生命がそこにいることが期待されていた。
宇宙という広い海原をともに進むことができる仲間。
たった一人で宇宙に浮かんでいると思われていた地球の、心のよりどころになってくれると。
しかし実際に送られてきた火星の画像は、人々をがっかりさせるものだった。
何もない、荒野。
画像は荒く、火星のごく一部しかうつされていないものだったとしても、人々の抱いていた夢が大きすぎたため、火星を思う熱は急激に冷めていった。
悲しいものだ。
夢の熱をずっと抱いていられる人間は、この世にはいないのだろうか。
――ヒトは自分の見たい夢を見る ジョージ・アレン(37歳)
ニュース by ナショナルジオグラフィック『11月28日が「火星の日」になった理由』