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『シダックスなう』
ああ、そうだ。
それは土地の価格という負荷による重圧。
最初に交わした契約が重しとなって、金のまわりを圧迫した結果。
もともと食堂経営が生業だったシダックスが、ふとしたきっかけで導入したカラオケ。
それが原動力となって業績が回復し、いまに到る巨大カラオケチェーンになったわけだが。
「ここにきて、大量閉店とはね……」
スマホのニュースを見て、胸が熱くなる。
これが時代の潮流。
右へと流れていた時代の風が、急に反転するような兆し。
そうして俺は、そのニュースを心の深くに刻み込むのだ。
今日ここシダックスでうまい飯を食べ、心ゆくまで歌うことで。
――大いなる経済の吟遊詩人 ハヤト(12才)
ニュース by 東洋経済オンライン『カラオケ「シダックス」、大量閉店の全真相』