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~1~

暇人が書き溜めた小説の一部なのでネタがかぶってたら教えて下さい


「領主様いくらメイドである私と貴方様だけとは言え、みっともありませんよ」


「ふぁ?すまんすまん」


まぬけ面で鼻をほじりながらメイドに注意されてしまった。

これが魔王を倒し世界を救った勇者の今の仕事である。


魔王を討ち最後の自爆の瞬間、僕と仲間達は不思議な光に包まれ気付いたときは世界の果てと呼ばれるような場所に飛ばされたのだ。

やっとのことでグラナダ城へと辿り着いたのだが今さら生きているってのもあれなんでってことで僕は幾ばくかの報酬と焼け野原になり廃墟となった街、しかも城主が魔王によって殺された領地をもらいうけ今に至るのであった。


(うーん、あれから8年か早いもんだなぁ)


執務室で座っているだけに見えるが、これでも大忙しの身である。

ここに来たときは何もなく難民や生き残った者達が借り住まいのテントなで雨や風をしのいで生きているだけの場所だったのだ。


「それが今や街人1500人の領主かぁ」


「貴方様の功績は我が目を疑うばかりですが惚けている暇はありませんよ」


「すまないニナ」


メイドに叱咤されることが俺の趣味ではない・・いや嫌いではない。

しかもニナは美人だし何と言ってもワガママボディなのだ。


「何をジロジロと卑しい目をしておられるのですか」


「いや別に」


僕は、その視線を空中へとそむけると恍けながら机の上に束になっていた大量の書類へと移し取り掛かる。


「外に出たい」


「それが終わったら存分に外に出ても良いですよ」


ニナの満面の笑みが怖い。

そう本気で僕は思った。


朝がすぎ昼がすぎ夕日が眩しく差し込んでくる頃、ようやく今日の仕事である書類に目を通しサインをしていくという作業が終わった。


「はぁ」


僕は机に頭を付けると執事長であるクロフォードが飲み物を持ってきてくれたのである。


「領主様、お飲み物です」


「ありがとうクロフォード、子供達はどうしてる?」


「今日も元気に訓練をしていましたよ助けて下さった領主様の力になるんだと」


「そっかぁ僕のやってることは世の中の為になってるのかな」


「さぁ?わたくしごときでは分かりませぬが時間が解決してくれることではありませんか?」


俺がここに来たときは荒れた土地しか無かった。

そして7人居た仲間達は魔王との戦いで4人に減り、4人それぞれの道を歩んでいる最中だ。


その仲間達と幾ばくかの報酬とで領土を整備するところから始まったことを今でも昨日のことのように思い出す。


時代劇に出てくるような長屋を作り人々が暮らし露店を開き商品を並べる。

農地をしている者から食料を買い、やっと1年後ぐらいに街らしき物が出来た。


かなりの速度で領土を街に出来たと思う。

他の土地は、まだまだ人が住めるようになっていなかったと聞いていたから。


俺には優秀な仲間達が居てくれたお陰で街の整備も早く済んだのだった。


「それにしても街の人が読み書きが出来ないなんて僕は全然知らなかったんだよ」


「上に立つ者からしたら普通なのかもしれませんが街の住人などが読み書きが出来ないことを知らないのかもしれませんね」


「ふむ」


3年前ほどに貴族達が通っていたような学校を作った。

それは庶民とされる者達が読み書きを覚えたりする場で、そんなことが出来ないなんて思いもよらなかったのである。


(庶民が知恵をつければ貴族の生活が脅かされるだって馬鹿馬鹿しいにもほどがある)


今では他の領地も街の様相を取り戻してきたためか庶民に学をつけさせるなんてあり得ない、などと言う貴族達も居るが全て無視している。

いち早く復興を果たしたためか嫌がらせもされているが実害は、ほとんどない。


「クロフォード達を雇って本当に良かったよ」


「滅相もございません」


この男は紳士に見えるが傭兵を率いる一団の団長である。

街の自警や領主の館の維持などをするために一団ごと仕事を探していた彼らを雇い入れ、それを了承してくれた。


「それにしても団長以外が全て女性ばかりだったときは驚いたよ」


「珍しいやもしれませんが女性だからと言って弱いわけではありませんし女性というのは強いものでしょう?それに女性が嫌いな殿方は少ないと存じ上げますが」


にやりと悪い笑いをしているクロスフォードを見ていると飽きれるばかりだ。


「僕は、そのお陰で凄く助かっているわけだからね」


「私共は傭兵でございますから雇われて求められれば何でもいたしますゆえ、それに私共も仕事にあぶれていましたから優秀な領主様に雇われたと皆感謝しているぐらいですよ」


「給金は、まだ少なくて申し訳ないけどね」


「それは、ゆくゆくですな」


魔王が闊歩する頃、腕利きの傭兵団だった彼らは存分に世界に向けて自分達の力を示していたし彼らを必要としていた者も多かったと聞く。

そんな彼らでも魔王を倒すことが出来るわけではなく街の外の魔物を倒したりして金銭を得たりしていたわけだが魔王が居なくなってからは魔物が出るのは冒険者達がアイテムを求めるダンジョンか人里離れた山の中ぐらいなのである。


この街にも比較的、弱い魔物が生息するダンジョンがあって駆け出しの冒険者達も滞在している。


(僕にも魔物が次々と出現するシステムを解明できてないわけなんだけど)


ダンジョンは一定時間が来ると魔物が湧き出てくるんだが、その周期もまちまちで何日かダンジョンを一人で探索してみたが何も答えは得られなかったのだ。


魔物達から採取することが出来る特殊なアイテムは人の生活に役立っているから、それで生活をしている冒険者のお陰で、この街も賑わっているんだけど荒くれ者ぞろいの冒険者だからこその厄介事も増えてきていることも確かなんだよなと僕は困っている。


「そういえば冒険者協会からの答えは?」


「一応、通達はするそうですが怪しいところですね」


「だね」


ニナと話している冒険者協会というのは各地にあるダンジョンを領主に変わって管理するのが役目なんだけど所属しているのは腕利きの冒険者が多く一般の兵士と比べても遜色がないからタチが悪い。


僕が納めるアルメドは兵士が存在しないし、あるのはメイド姿の警備団ぐらいなもので舐められても仕方がないんだけど。


「潰しますか?」


クロフォードは僕に頭を下げ命ずればという雰囲気をだしている。


「いや放っておいて良いよ一応、街の人に被害があれば対処するしメイド達も何もされてないのだろう?」


「まぁ確かに、そうですな獣を一匹放っておりますし」


「こらこらレイナだって獣人と言えども獣じゃないだろう」


「失礼しました。ですが彼女は少し特別ですから」


「分かってるよ」


クロスフォードが飼っているといえば語弊を感じるだろうがレイナと名付けられたメイドは、バーサークと呼ばれる狂人というアビリティを持っているのだ。


どんな生き物であっても極たまにではあるがアビリティ持ちが誕生するがレイナの場合は管理してないと厄介なアビリティを持っていて所構わず暴れ出してしまうんだ。


(まぁ僕の場合は勇者なんてものがついてたし魔王は魔王だったしなぁ)


僕のアビリティは隠匿の魔法で仲間であり戦い方を教えてくれた師匠に隠してもらっている。

ここではありふれた貴族の領主を演じているわけである。


「それでも彼女は優しい人だと思うよ」


レイナは腰に携えている2本のダガーと呼ばれる大型のナイフに手を振れなければ何処にでも居る少女なのだが一度ダガーに手を付ければ狂犬のごとき野生に目覚めたように暴れ出す。


「分かっておりますが首輪をつけませんと普通の生活も出来ませんので」


「それも知ってるよ」


その彼女は理性は失っても自分の信じる善悪は守るようで街の治安は彼女のお陰でひっそりと守られているのも確かである。


「さて今日の食事は何だい?」


「今日の夕食は、いつも通りでございますな」


「はぁ、またか」


僕が雇っている財務担当者の女性は、この領地の財政を一に考え徹底した節約家でもある。

クロフォード達に支払う経費にしたって彼女にしたら無駄ではないが抑えたい出費の一つでもあるし屋敷にかかる経費も節制がされている。


そんな僕に提供されるのは、ささやかな肉が入ったスープと硬いパンぐらいなものだ。


彼女曰く贅沢は敵ですだってさ。

領主たるもの領民の生活を守るために来るべきときのために節制をするべしだそうな。


首をすくめながら僕の方を見るクロフォードに苦笑いをすると、いつものように食事を取るために屋敷内に建てられた孤児院へと向かう。


「あ、領主様だーーーー」


「本当だーーーーご飯?ご飯の時間?」


10人ほどの子供達が僕が来るのを今か今かと待っていたようで嬉しそうにかけよってくると、しがみついてくる。


「こら!貴方達、領主様がお困りですよ」


「良いんですよアナスタシアさん」


僕はメイド兼、孤児院の管理を任せている女性に手を軽く振ると彼女は軽くお辞儀をして行ってしまった。


「今日はどうだった?みんな」


「あのねー」


この子供たちの笑顔を見るために僕は今日も領主として頑張れるのかもしれないと思う瞬間だった。

子供達を育て領地のために働いてもらう予定にはなっているが彼らも、それを了承し僕のために働きたいと言ってくれているらしい。


そんなことをせずとも彼らが好きに生きていけるような環境を、まずは整えなきゃいけないけれど慈善事業だけでは食べていけないのも世界の理である。


魔王との戦いで親を殺されたりした孤児を僕が引き取り特別な教育をして、この領地のために働いてもらおうとしているんだけど無垢な笑顔に罪悪感も感じたりする。


「私ね領主様のために強くなるからね」


「俺も俺も!!」


こんなことを言ってくれる子供達を嬉しく思い今日も一緒に食卓を囲む。


「「「「いつも我らがご飯を食べられますのは領主様と女神セラス様のお陰です」」」」


「「「「いただきます」」」」


笑い声と嬉しそうに今日あったことを話す子供達のお陰で辛い領主の仕事も何とかやれてます。




ここまで読んで頂けたら幸いです

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