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トリスタトラップ4

そう言えば転校生の紹介があった気がする。

覚えてないが。


俺は帰ることにした。クラスの連中なんて大して興味ないしな。


「……………………」


いつもの通学路。その帰り道を何気なく通る。

俺がいるところは、レップ村という大きな村だ。

大きな村って言うと、どのくらいかって思うだろう?

実は隣のジンディクス王国よりも大きいんだ。


…………え?それはもう村じゃないって?

俺もそう思う。だがまあ…………うちの村長は申請するのがめんどくさいとか何とか言ってるとかで、表面は村ってことになってるんだよなー。

いい加減だと思うだろ?

俺はどうでもいいがな。村長の正しい名前なんてとっくの昔に忘れた。だから、いいんだ。


というか俺も村から国に名前変えるのめんどいし。せめて俺が生きてる間だけでも村ってことにしてくれ。



…………そう思っていたときだった。

俺の目の前にゴブリンの群れが現れたのは。


「ギーギー!」

「ギシャシャ!」


俺の前に現れた五匹のゴブリン。

ふと後ろを見れば、ゴブリンが4体、俺の退路を塞いでいた。


ーーゴブリン。

背は10歳くらいの子供と大体同じくらい。性格は最低で残虐。しかし、数だけは多く、まるでゴキブリ並みの繁殖能力を持つとされている魔物。知能は低い。だがある程度の悪知恵が働くと聞く。大体何処でも湧いてくるので、よく冒険者の獲物として狩られている。


そんなゴブリンが何故か俺を狙っていた。


「…なんか用かよ」


まあ、何処に現れようと俺には関係ないのだがな。


「ギシャシャ!」


ゴブリンがナイフのような物を持って俺に挑発している。

しかし、残念だったな。俺に挑発は効かない。というか無意味だ。

俺はある意味平和主義者なのだ。お前らと争うことなどしない。

それに何よりも…………



「何故お前らと戦うなんて面倒なことしなくちゃならんのだ」

「ギギッ!?」


俺は家に帰ってだらだらしたいのだ。

うっとおしい。


「ギギィィ!!」


しかし、奴らは俺に襲いかかってきた。…………メンドクサ。

俺は最初に飛び掛かってきたゴブリンの頭を掴んだ。


「めんどーだ」

「ギギッ!?」


俺はそのゴブリンを後ろに投げた。と同時だっただろうか?急に背中に激痛が走った。


「…………?」

「ギシャシャ!!」


ゴブリンの笑い声が聞こえた気がしたが、俺は気にしなかった。

右手を当てて確かめようとするが、いつの間にか右手に力が入らなくなった。その途端に右足のふくらはぎ、左腕をやられた。

ほぼ全身にダメージが入る。


「あ…………?」

「ギギー!ギシャシャ!」


俺はいつの間にか倒れていた。

手足には軽度の痙攣が診られる。全身に激痛が走っていたはずだが、今は痛みが嘘みたいに退いていた。その代わりなのかなんだか体がだるくなってきた…………。いや、これは元からなのだが…。

視界が急に赤く染まり、俺の目の前でうるさい笑い声をあげているゴブリンがトマトソースを被った亜種みたいな風に見えた。特に笑えないが。

それにしても、なんか動きたくなくなってきたな。何だか眠たくなってきた……。今日は特に疲れたな…。ふだんつかわないあたまをつかった、から、か…………。



遠くで誰かの悲鳴が聞こえた気がした。それを最後に俺は寝た。





ーー翌朝(だと思われる)

俺が目を覚ますと見覚えのない天井が見えた。

ここはどこだ?そう思いとりあえず、体を起こそうとした。

しかし、酷い倦怠感が体を襲ってきた。

…………だるい。

そんなことを感じて、とりあえず二度寝を決めた。




次に目が覚めると、目の前に誰が俺の知らない顔が見えた。

「……………………」

「あ、やっと起きた?」


誰だ?


「よかったよ。体の調子はどう?大丈夫かな?」


半分寝惚けているせいか全く頭が働かない。なんか近くに甘酸っぱいイチゴのような匂いがするのは何となく分かった。


「離れてくれ」

「あ、ごめんなさい。…………これでいい?」

「……………………ああ」


…………それにしてもここはどこだ?俺は確か…ゴブリンに襲われたような気がするのだが…。


「私はライツ。…………ねえ。あなた名前は?」


しっかし、さっきから頭が痛い…………。なんか知らんが頭がガンガン響いてきて、なんか嫌だな。


「…………名前…は?」


んあ?名前?俺の名前…か。


「ナレコ…」

「ナレコって言うんだ」


へえ…………と俺を見る。なんか面白いもんでもあったか?


「ナレコ、聞いてくれる?」

「愚痴なら聴かん」

「ありがとう…」


おい、今のセリフに感謝される要素なんてあったか?

なかったよな?


「ナレコ、君はゴブリンに襲われて大怪我を負ったんだよ」


あ、やっぱり俺襲われたのか。ただの量産型モンスターに。

しかし、あんな状況からよく助かったな俺。

ん…………?なんでお前、泣きそうになってるんだ?


「ナレコ…………大丈夫なの?」


瞳をうるうるさせ、こちらを上目遣いで恐る恐る尋ねてくる謎の赤髪の少女。

それにしても顔が近い。

俺の顔から35センチくらいの近い距離に少女の顔が見える。つまり、滅茶苦茶近い。先程の俺の返事が微妙だったのはこのせいだ。

目鼻立ちは整っていて、髪はサラサラとしている。こちらをうるうるとさせながら見上げてく大きな灼熱の瞳は、俺の内心を覗こうとしているようだった。それにしても、不思議な感覚だった。彼女からは全く敵意らしきものが見当たらない.俺を何故か信用しているようだった。

何故だ?俺は君と出会ったこともないぞ?なぜそこまで他人である俺に構ってくるんだ?

分からない、分からないが…………とりあえず。


「ぐぅ~。…………腹減った」

「…………あ、そうだよね。あれから三日も経ってるもんね」


3日?それなら大いに納得できる。少なくともこのお腹の減りようは理解した。

「ちょっと待っててね。すぐ持ってくるから」と言って彼女は何処かへ去っていった。

そのさいに、フサフサの茶色い犬耳とフサフサの茶色い尻尾が見えた。

彼女はどうやら、獣人のようだ。


彼女と知り合った記憶など一切ないのだが…………。

それに、ここまで積極的に話し掛けてくる奴なんて見たことないんだが…………。



…………なんか知らんが、三日前から妙なことが起きるてるな。

そもそもゴブリンなんてものはあんな場所まで入ってこれないはずなのだがあっさり入ってきてるし。それに、あのナイフには麻痺毒が塗ってあった。

あんなそこそこいいレア装備をしたゴブリンなんて滅多に現れないはずなんだが…。

一体俺の知らないところで何が起きているのやら。俺は、寝台で寝そべり、適当にくつろぐのだった。




ーーーーーーーー


ナレコ

職業、???

得意技、脱力、休む


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