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壊れた心の直し方  作者: ハルト
2/3

異世界

 晴哉達が目覚めると、そこに広がっていたのは巨大なものの侵入を塞ぐように建っている壁のようなものだった。



 (魔物対策ってやつか……)



 グルリと何かを囲むように建っているようなので多分この中に町か何かが存在しているのだろう。

 さすがファンタジー世界、壮観な光景だ。




 晴哉はそれに驚きつつ、周りを見回す。

 入り口が何ヵ所あるのかは分からないが、見える範囲に入り口がないところを見ると、多分神様が入り口と入り口の間に送ってくれたのだろう。

 突然現れたところを人目につかないように、しっかりやってくれたらしい。


 ならば後はステータスカードを見せて、全員で入るだけだ。

 晴哉はいまだに呆けて城壁を見ている、女子達に声をかけた。



「呆けてるのはいいが、さっさと中に入らないか?」



 晴哉の声で我を取り戻す、すると女子の一人、天野加奈が呟いた。



「本当に来ちゃったんだね……」



 クラスで一番元気で明るいと言われている彼女らしからぬ、悲しいんでいるのか、驚いているのか、どちらとも判断がつかないような声音だった。

 だがそれも仕方がないだろう、説明はあったにせよ、今回のことは色々と突然過ぎた。



「信じたくない……が、これから私達はこの世界で生きていかなければならない」



 ここへ来ても委員長らしく――いや、橘の場合は元々素でこういう人間なのか……。

 晴哉には判断がつかないが、まとめ役がいるのはいいことだ。

 この世界でなければ彼女ではなく先生がやるべきなのだろうが、こういう世界に来てしまったからには年齢に関係なく一番向いてる人間がやる方がいい。

 別に美鈴が仕切り役に向いてないという訳ではないのだが、晴哉の印象的には夏海の方が勝っていた。



「生きていかなければならない……か、まぁなつみんがいれば大丈夫だよね」



 なつみん、どうやら加奈が名付けた夏海のあだ名らしいが雰囲気と全くあってるとは思えない。

 どちらかと言えば夏海さんだろう。



「もちろんすず先生や、新庄君や、千花もいるしね! よし! そうと決まったらとにかく……なにするんだっけ?」



 高低差の激しいテンションだ。

 だが、そのおかげでなんとなく全員の雰囲気が変わったように感じる。

 さすがクラスで一番元気で明るいと言われるだけの人間だけあるだろう。

 晴哉は加奈が持つその人徳に感心した。



「ステータスカードだろう? まずそれが全員あるか確認してくれ」



「そうだった、そうだった、さっすがなつみん、よく覚えてるね」



「当たり前だ、それで……」



 私は有ったが他のみんなは有ったか?夏海は自分のカードを見せるようにしてそう言った。

 晴哉はポケットに入っている、ステータスカードの存在を確認しつつ、美鈴の顔を見る。

 先程から何か難しい顔をしているが、おそらくは自分が何も出来なくて歯痒い思いをしてるのだろう。



(まぁ実際先生はなにかやろうとして頑張っても、空回りするタイプだからな)



 今までも何度かその現場をみたことがある。

 でも生徒には親身になって接するし、そういう空回りをするところも外見と合間って学校内でも可愛いと評判だった。


 事実晴哉も嫌いではない、晴哉の世話を焼いてくれるのは美鈴だけだ。



「新庄、君はどうだ?」



「っと、悪い、これだろ?」



 見せるのを忘れていた。

 晴哉はポケットからカードを取り出した。

 手で触れると、カードに何か表示される。




 名前 新庄晴哉


 種族 人族


 年齢 16


 職業 空欄



 四つほどしか情報が載っていなかった。

 これで身分を証明出来るのか少し気になるところだが、情報が少なすぎて分からない。

 どうせなら色々聞いておくべきだった。



(てっきりステータスって言うから他にも色々書いてあると思ったんだがな……)



 通常ゲームでステータスと言うと、HPやMP、レベル、そのキャラクターの性能なんかが載っているものだと思っていたのだが、この世界では違うのかもしれない。


 晴哉がそう思い始めたところで、クラスで一番の頭の良さを誇り、腐女子ということを隠そうともせず、どちらかと言えば布教させようとしている橋本千花が、唐突に言った。



「ボク今、頭の中で色々と言ってたんだけど、ステータス表示って言ったら、なんかズラリと並んだ文字が出てきたよ」



「本当か?」



 夏海が驚いたような声をあげる。

 晴哉も同じように軽く驚いた。

 何の補助もなしに、どうやってそんなことが分かったんだろうか、と。

 もしかして千花はそういうファンタジー系統の話しに詳しいのかもしれない。


 早速晴哉はステータスを表示させた。



(ステータス表示)



 晴哉の言葉と共に、確かにステータス画面が浮かび上がってくる。




 名前 新庄晴哉


 種族 人族


 年齢 16


 職業 空欄


 筋力 A

 速さ A 

 肉体強度 A

 精神 SS

 知力 S 


 スキル 

 剣術 6 格闘術 7 馬術 5 弓術 7 気配察知 2 礼儀作法 7 肉体的痛み耐性 6 精神的痛み耐性 9     



 ステータスを見て絶句する晴哉。



(これは人に教えられるステータスじゃないな……)



 そう思ってしまうのも必然だろう。

 速さや精神、それに知力も、軒並み普通じゃなさそうなのにそのうえスキルもすごいことになっている。



(これが元の世界での俺のステータスだったのか?)



 もしそうだとしたら余程自分は頑張ってきたらしい。

 一応その自覚はある、父親が死んだ今なら言えるが小さい頃の自分はよく精神が崩壊しなかったものだ。

 晴哉は顔に出さず笑う。



「新庄、どうかしたのか? そんなに驚いた顔をして」



 ステータスを見たときに、いつものポーカーフェイスを保つことが出来ていなかった晴哉のことを、夏海は見ていたらしい。



(こいつが動揺するとは珍しい……)



 夏海は内心そんなことを思っていた。

 夏海の中で新庄晴哉の印象は、クラス内で浮いた存在ではないものの、どこか壁をつくり距離をとっていて、あまり目立ちたがらない常に冷静沈着な男という感じだった。

 だから彼が動揺を見せるのは珍しい。

 理由を訊ねてみたくなった。


 そんな夏海の思いを知らない晴哉はというと。



(どうやって誤魔化そうか……)



 言い訳を考えていた。

 晴哉からすれば、なんとなく面倒なことになりそうなこのステータスを知られる訳にはいかない。



「いや、ちょっと色々あって驚いただけだ」



 晴哉はそれが本当と言わんばかりの声音で言った。

 そのおかげか、夏海も納得したようだ。

 晴哉は安堵した。


 ――だがそれもつかの間。



「なつみん、スキルの横に載ってる数字って何かな?」



 結局それに近しい話しになってしまったようだ。



「レベルみたいなものじゃないか?」



 夏海の言葉に晴哉以外の全員が肯定した。



「このステータスというのは生前の――いや、まぁ今も生きてはいるが、おそらくその時のものなんだろうな、スキルもそうだろう……どうする?」



 そのどうするは、話すか話さないかだろう、晴哉はそう推測した。

 というかそれ以外考えられない。

 実際に千花も同じことを考えていたようで全員にスキルカードを見せるようにして言った。



「さっき色々試してみたんだけど、念じればステータスカードで隠すことなくステータスを全て公開できるみたいたいだよ? まぁボクとしては見せなくても見せてもどっちでもいいけどね」



 千花はどうでもいいことのように言うが、その言葉は晴哉からすると許容出来ない。

 だから晴哉は言ってやった。



「俺はこれを見せることは反対だ、というより見せたくない」



 はっきりと言いきった晴哉の言葉に話しに参加してこない美鈴以外の全員が驚きの表情を見せる。

 すると夏海が、ため息を吐いた。



「……なぜだ、と聞くのはおかしいだろうな、分かった、好きにしてくれ」



「ああ、そうさせてもらうよ」



 助かった、晴哉は安堵する。

 実際強制はしないだろうとは思っていたが、ここまでさらりと通るとも思っていなかった。



 そして女子三人でステータス関連の話しを始めた。 

 見せるつもりがない晴哉からすれば関係のない話しだ。


 なので晴哉はさっきから気になっていた美鈴に声をかけた。



「先生、何やらごちゃごちゃ考えてるみたいだが大丈夫か?」



 え?と驚いたような反応を見せる美鈴、どうやら晴哉が近づいていたことに気がついていなかったらしい。



「新庄君ですか……大丈夫ですよ、ただ自分が情けないなと思っていただけです」



 橘さんに任せっきりになってしまってますから、美鈴はそう付け足した。

 分かっていたことだが、やはり先生なのに何も出来ないなんて、とかそういうことを考えていたようだ。



「人には向き不向きがある、まぁ別に先生がまとめ役に向いてない訳じゃないんだが、これに限っては橘の方が向いてるってだけだ、先生には他に役割があるだろ?」



「他に役割?」



「ああ、何も気負う必要はない、あんたは先生としていつも通りやってくれればいいんだ、それが全員のためになる」



「……本当にそう思いますか?」



「当たり前だ、あんたはいつも通りうるさいくらいの方が丁度いい」



 自分のためじゃない、生徒のために行動してるから美鈴は生徒に慕われる。

 晴哉はそう思っていた。

 おそらく他のクラスメイトも思っているはずだ。



「……新庄君に慰められるとは思いませんでした」



「まぁ確かに俺らしくないと言えばそうなんだが、なんでだ?」



「嫌われてると思ってましたから、タメ口はダメって言ってるのに言うこと聞いてくれませんし」



「先生は小さいからな、なんか敬語を使う気になれない」



「はっきり言ってくれますね、だけど元気が出ました、ありがとうございます」



 晴哉に少し頭を下げる美鈴。

 晴哉は彼女には感謝してる、だから出来るだけ気にかけるつもりだが、常に隣にいるわけではない。

 だから少しでも立ち直ってくれたのは好都合だった。


 晴哉は美鈴との会話を終えた、するとそれを見計らっていたように加奈が話しかけてくる。



「新庄君っていい人だったんだね」



 会話を聞いていたのか分からないが、加奈は美鈴の雰囲気が変わったことを察したらしい。



「さぁ、どうだろうな?」



「私的に、誰とも深く関わろうとしない孤高の狼って感じの評価だったんだけどなぁ」



「まぁ当たらずも遠からずってところだな」



「ふーん……あ! もしかしてすず先生のこと好きだったりする?」



 加奈は自信満々に当たりでしょ、とばかりの雰囲気でそう言った。

 実際、加奈には晴哉が美鈴先生を気にかける理由がそれ以外思いつかない。

 家庭の事情によって人間観察が得意となった加奈でさえも、彼はよく分からなかった。



「寝言は寝て言え」



 返ってきたのはその言葉。

 新庄晴哉、やっぱりよく分からない。


 だがその後にボソリと続けられた言葉で加奈は少しだけ晴哉を理解する。



「そもそも俺が人を幸せに出来るわけない」



 雰囲気と表情で、何か自分と同じように暗いものを抱えているんだろう、そう確信した。



 晴哉は後悔していた。

 最後の一言は余計だった、と。

 もしかすると自分も異世界転移なんて、ファンタジーな出来事に少し興奮していたのかもしれない。

 だから口を滑らせた。


 注意しなければ。

 晴哉が肝に命じた時、少し離れたところで話していた夏海が言った。



「そろそろ、この門の入り口を目指すことにしよう」



 長々と話し込んでいたような気がするが、ここにあまり長くいるのも危険だろう。

 やっと出発か、晴哉は巨大な門を見る。

 とは言ってもこの距離だ、そこまで時間はかからないだろう。


 だが警戒することに越したことはない。

 魔物が存在しているらしいし、これから進む道に出てこないとも限らない。

 それにこういう世界だ、相手が女ばかりだと分かれば一般人でさえ襲ってくる可能性だってある。

 晴哉は何倍にも警戒心を増幅した。


 そして五人は壁に沿ってぞろぞろと歩き出す。

 このまま歩いていけば、すぐだろう。


 実際その通り、入り口へはほんの数分で到着した。

 だがここで問題が発生する。



「おい、ねーちゃん達俺と来ないか?」



 検問のために並んでいた晴哉達に声をかけてきた典型的なナンパ野郎である。

 重装備とまではいかないまでも軽くはなそうな鎧を装備して、背中に身の丈程の剣を背負い、腰にはナイフを差している。

 おそらく魔物退治の帰りだろう。



「そんな弱そうなやつといるより俺と来た方がいいって」



 あからさまに晴哉をバカにしたような視線をぶつけてくる。

 普段は特に気にしない晴哉だが、この時は他に同じこと思っているやつもいるようだし見せしめに丁度いいかな、そんなことを考えていた。



「女誘うんだったら自分の顔を見てから声をかけた方がいいと思うけどな」



 だから挑発した。

 周りから、「なんで挑発してるんだ!」とか「新庄君正直すぎ」とか色々言われたが、今回はスルーだ。



「んだと、てめぇ顔がいいからって調子に乗んなよ?」



「いや、あんたと比べたら誰だって顔はいいだろ?」



 晴哉の言葉に顔を赤くする見た目中年の親父。



「後悔すんなよ?」



 ヤンキーが言いそうなセリフだ。

 晴哉は微笑を浮かべた。 

 どうやらそれも相手の怒りを煽ってしまったらしい。



「そっくりそのまま返してやるよ」



 晴哉がそう言うと、中年の親父は殴りかかってきた。

 さすがに剣は抜かないらしい。

 警戒していたが拍子抜けだ。


 晴哉は殴りかかってきた腕をとり、相手の力を利用して地面に投げ倒した。

 中年の親父には何が起こったか理解不能だろう。

 周りで歓声のようなものが上がる。


 中年の親父はブンブンと首を振って、これからが本気だとばかりに立ち上がった。

 そして背中の剣を抜こうとする。

 その瞬間――。



「遅すぎだ」



 中年の親父の首筋にナイフを突きつけた。

 これは先程投げた時に中年の親父の腰から頂戴していたナイフだ。



「な、なんだと!?」



「暴れるなよ、暴れたらその時はあんたの首に容赦なく突き刺すぞ」



 晴哉は首に少しだけナイフの先を突きつける。

 その首からたらーっと血が流れてきた。

 どちらが悪者か疑いたくなるような光景だ。

 だがそのおかげで、中年の親父の動きが止まった。



「さて、あんたは俺の連れを怖がらせて俺に殴りかかってきた訳だが、何か言うことがあるよな?」



 晴哉の言葉に突然冷や汗を流してあからさまに怯え出す中年の親父。

 どうやら晴哉の雰囲気が変わったことが原因らしい。



(一体何が……あ、もしかして異世界に来たことで何か変わったのか?)



 晴哉は自分でも分からぬまま、相手を恐がらせてしまったようだ。

 だがそのおかげか、中年の親父は必死に謝りだし、最終的に晴哉達全員に土下座してどこかに言ってしまった。

 ここが入り口なのにどこにいくつもりなのだろうか?わざわざ他の入り口にいくつもりか?

 晴哉はそんな風に、どうでもいいことを考えながら元いた場所へと戻る。


 すると夏海が驚いたように声をかけてきた。



「新庄、お前あんなに強かったのか?」



 全員がうんうんといった感じで頷く。



「あんなの雑魚だ、どうせそんなに強いやつでもないだろう」



「いや、私達には分からないが、とにかくあいつを投げたのはどうやったんだ?」



「合気道って分かるだろ? あれだよ」



 相手の力を利用して投げる。

 幼い頃嫌々ながら教わった技術だ。



「もしかして新庄君ってかなり強かったりする?」



 加奈がおそるおそると言った感じで晴哉に訊ねた。



「どうだろうな?」



 元の世界では強かっただろうが、この世界では分からない、実際もしかすると自分のようなステータスのやつがそこらじゅうにいるかもしれないのだ。



「他には何かやってたの?」



「合気道の他か? 空手、剣道、他には……まぁ色々だな」



 晴哉の言葉に全員が驚いたような表情をする。



(分かってたけど、やっぱり俺って普通じゃないのな)



 晴哉からすれば、当然のことのように身に付けなければならない技術だった。

 身に付けられなければ体を痛めつけられる、そんなの日常茶飯事だ。


 とは言ってもこんなことを言う必要はない、晴哉が話を切り上げようとすると、千花が唐突に言った。



「ボク思ったんだけど、新庄君ってそのままでチートな存在なんじゃないかな?」



 さっきの人可哀想なくらい震えてたし、千花はそう付け足す。



「ていうかあの中年のおじさんが震えだした時、ボク何かピリッとしたものを感じたんだけど、何かしたの?」



 晴哉はその言葉を聞いて、ポーカーフェイスを崩さないように心がけながら、内心かなり動揺していた。

 どうやらあの中年の親父だけではなく、こちらにも原因不明のなにかが少し飛んでいたらしい。



「何もしていない……はず」



「うわぁ……もしかして新庄君要注意人物?」



「まぁ否定はしない」 



「否定しないの!? 信じてたのに……」



「なにをだ?」



「新庄君はホモに目覚めるって」



「……………」



 どうやら千花の頭はどこかおかしくなってしまったらしい。

 晴哉は突然の千花の腐女子発言に現実逃避しながらそんなことを思った。



「あれ? 新庄君スルーなの? ボクとしては君ならホモになる素質があると思うよ? あれ? 夏海? どうしたの? なんで頭グリグリするの!? 痛いぃぃい!」



「このバカ! あの女達みたいに洗脳する気か!」



「あれは洗脳じゃないよ? 耳元で色々囁き続けたらいつのまにか腐女子の仲間入りを……って、またグリグリはやめてぇぇえ!」



「それを洗脳って言うんだ!」



 どうやら悪は滅んだようだ。

 人を洗脳してホモの道に引きずり込もうとするとは危険な女だ。



(というか俺がホモになる素質があるとか、あり得ないにも程がある)



 親友と呼べるやつすらいないのに、それ以上なんてあり得る訳がない。

 おそらく千花の常套手段なのだろう。



(はぁー……こいつのせいでの世界に腐女子が増えそうだな)



 晴哉は、これからの事を考えてため息を吐く。

 すると今まで呆けていた美鈴が思い出したように晴哉に言った。



「新庄君、大丈夫だったからよかったもののあんな危ないことはしないで下さい」



「ああ、分かってる、さっきは他にも話しかけようとしてたやつがいたから、いちいち追っ払ってるのも面倒だし、見せしめにああしただけだ」



 実際そのおかげで、先程から話しかけようとしていた連中の視線が消えた。

 あんなやつで見せしめになるとは思えなかったが、それならそれでいいだろう。


 なんにせよこれでやっと中に入れる。

 晴哉は内心でため息を吐きながら、これから色々なことを理解していかないとな、 と思うのだった。 











 

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