コールとシファの出逢い
「大人しくしてろ!人間が!」
「うちらに負けたからって、そんなに雑に扱わんでええやーん」
「そうだぞ、エルフはそんなに過去のことを引きずるのか~?」
「くっ……お前らは明日には処刑だ!楽しみにしとけ!」
「おーおー、言っとけ言っとけー」
ガシャンッ!
乱暴に鉄格子が閉められる
「……人の気配はなし、銀?」
「ああ、大丈夫だ」
「なら、お話しましょうか、まず…あなた達は神様と話せるの?」
「まぁな、どの神とでも仲良くなれば他の神とも話せるらしい」
「なら、風の神の前にも神様に会ったことがあるの?」
「俺は闇の神と光の神だな」
「うちは光の神だけや」
「凄いのね」
「信じるんか?」
「当たり前よ!……なら私の秘密も教えてあげないとね」
「シファの秘密?」
「今、あなた達の冒険者ランクは?」
「「S」」
「えっそうなの!?……まぁいいわ、あなた達以外のSランク、知ってる?」
「流水のコールに、地割りのレグゼ」
「落星のモンチェ、あと癒し手のジョウカ…は会ったことないな」
「あと一人、引退したSランク…知ってる?」
「話は聞いたことあるけど、知らないな」
「ふふっ、それが私よ。神風のシファ」
「「「「ええっ!」」」」
「びっくりした?私、冒険者だったのよ」
驚きだ、ツバル村では「風の里」のオーナーでいつもニコニコしてたシファがSランクの冒険者だったなんて
「なんでシファは冒険者を辞めたんや?」
「それはね…コールに会ってからよ」
「コールに?」
「ええ、あれはまだコールがCランクの時よ」
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神風のシファ、種族はエルフ。
エルフ特有の外から取り込んだ魔力を使う魔術は人間の数倍の威力をもち、一瞬で数百の魔物を倒す
シファは全ての依頼を一人でこなしていた
それは誇り高いエルフの種族意識からである
数年前………
シファはある依頼を受けツバル村に向かった
依頼内容はツバル村に移動する魔物の退治
数は300
「難しい依頼ではないわね」
ツバル村に着くとシファは村長の元へ行く
「冒険者ギルドから来たシファよ、魔物の種類とこの村から一番近い開けた場所を教えて」
「それなら、コールというCランクの男がいますので…すいません顔は出すように伝えたのですが…」
「わかったわ、私が訪ねるから。そのコールはどこに?」
「あの山の入口に家があります…」
「そう」
業務的な挨拶と最低限の会話、シファにとって人間と話すのはそれだけ嫌な行動なのだ
(全く、私が訪ねることになるなんて…人間はそんなマナーも無いのかしら?)
不機嫌にシファは山の入口に向かうと一軒の家が見えてきた
(この匂い…香草ね。とてもいい匂い、私の村でもここまで香り高いのは無いわ)
「ねぇねぇ!そのクッキー食べていい!」
「紅茶おかわりぃ!」
「コール、お話聞かせて!」
香草の匂いと共に子供の声も聞こえてきた
見ると香草の畑の脇で子供達が集まってる
その中心には青髪の男が一人
シファはその男を観察した
子供達相手に旅の話を聞かせる…まるで自分の様だった
(ううん、あいつは人間だもの…エルフである私を嫌うに決まってる)
かつてエルフは人間に迫害された…
その時からエルフの人間嫌いは続いている
「あなたがコールね?」
シファはコールに近付く
「ん?あぁそうだか?」
帰ってきたのは普通の返事、誰にでも返すような普通の返事
「このおねーさん誰ー?」
「コールの彼女?」
「背高ーい!」
「きれーなおねーさんだ!」
「えっあっちょっと!」
「あっ、村長が言ってた冒険者だな。すまない、今日はこの子達の約束があってな。せっかく来たんだ紅茶でも飲んでくれ。さぁ、このおねーさんにも席をつくってあげてくれ」
「私、椅子取ってくる!」
「私はコップ取ってくるね!」
「僕は…お菓子の用意するー」
されるがままに席について紅茶を出される
そして、一口
「………おいしい」
「でしよー!コールの紅茶はとってもおいしいんだよー!」
「お菓子もあるよー!」
「あっありがと」
「おねーさんも冒険者なんでしょ?お話聞かせて」
シファは薦められるままに紅茶を飲み、お菓子を食べ、旅の話を聞かせた
そして夕方
「………って!私は魔物の話を聞きに来たのよ!」
「紅茶を5杯飲んでよく言うな…」
コールは香草に水をやりながら言う
「お菓子もいっぱい食べてたねー」
「300の魔物が来るのよ!コール、あなたは何でそんなに冷静なの!?」
「なんでって言われても…」
「あっうさちゃんだー!」
「うさちゃんが来たよー!」
子供が駆け寄る先には
「ファンラビット!?危なっ!」
咄嗟に魔術を放とうとするが目の前にコールが立つ
「止めろ…」
「なんで!?あの子達が危ない!」
「よく見ろ」
「えっ?」
ファンラビットは子供の前で寝始めた
「なんで?」
「今回、ここに近づいてくる魔物は開墾によって住みかを無くした魔物達だ。そのファンラビットは傷付いて倒れてるのを俺達が見つけて治療したんだ」
「そうなの………でっでも!今から近づいて来る魔物には関係無いんじゃない?」
「ファンラビットは集団で行動する。住みかの変更にはまずその集団のリーダーが住みかを決める…」
「あっ!だから…」
「300の魔物の内、175がファンラビット。そして昼間の内にそのファンラビットは仲間の所に帰ってる」
「なんで知ってるの?」
「信じてるからさ…人間だの、魔物だのの前にこの地で生きているのには変わらないからな」
「それは……エルフも含まれるかしら?」
「わざわざ答える質問でもないな」
「……ふふ、不思議ね。コール、何があなたをそんな考えに導くのかしら?」
「俺の家の屋根に行ってみろ」
「???」
分からないままシファは屋根に登る
「………………綺麗…」
そこには美しい自然が広がっていた
「人間と魔物が上手く共存出来れば、こんなに美しい景色が出来る…俺はそれを守る為に冒険者になった」
「確か、ケシア山にはスノーウルフがいるから近付けないけど、スノーウルフ達は麓まで降りる必要がない…」
「………そう理論的に言うな、せっかくの景色なんだからな」
「ごめんなさい、なんか今までの自分が馬鹿らしいわ」
山にはファンラビットやシャークが入っていくのが見える
「この山には元々魔物がいないんだ」
「どうして?」
「昔、開墾する計画が立案された時に全て追い払ったらしい…」
「……………」
「それでこの山は枯れていったらしい」
「えっでも今はこんなに青々としてるじゃない」
「村の人達がいつでも魔物達が戻っても良いようと努力した結果さ…それでも一割程度は枯れて開墾せざるを得なかったがな…」
シファは改めて村を見る
「良い村ね!」
「そうだろう」
「決めた!私、冒険者辞めてここに住む!」
「は?」
「それで、あなたがここから見える景色を守るのを見守る!」
「…?」
「何をするのにも力は必要よ、特にあなたの夢はね!だから、この私が教えてあ・げ・る」
「「……………ぷっ!はははははは」」
コールが手を出す
「よろしく、シファ」
「ええ」
手を握りかえすシファ
「よろしくね…」
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「そんなことが…」
「それで私は冒険者を引退、ツバル村「風の里」の美人オーナーになったのよ」
「ならコールの師匠はシファなんか?」
「そうなるわね、コールって魔法しか使えないのに強いでしょ?コールは少しだけど外の魔力を使う才能があってね……それからどんどんランクは上がって、銀と白を連れて来て、ミユちゃんが弟子になって、優くんに出逢った」
「…………」
「だから、私は再び力を使うわ。コールが守ると言った景色を守る為に……ホントはねここに戻ってきたのもエルフ皆で世界の為に戦って、その後は皆で仲良く暮らせる様になればなって思ったんだけど…間に合わないわね」
そう言うシファの顔は悲しそうだった
「過去や掟に縛られて新しい世界を見ようとしない……哀れでしょ?笑っちゃうわ」
「「「「…………」」」」
「どうしたの?」
「シファさん、コールがもしここにいたら諦めると思いますか?」
「せやで!コールなら絶対何とかする!」
「こんな時のあいつはいつも何か考えてるからな」
「皆で考えれば大丈夫なのじゃ!」
「みんな……やっぱりコールの仲間ね」
「何言ってんだか…」
「ホンマ分かって無いな…」
「まったくだ」
「えっ?どういうこと?」
「シファだって仲間やろ?」
「…………そうね、ふふ」
「そう言うこと!さぁ!皆で考えればどうにかなるさ!」
「うん!そうね!」




