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理の使役者  作者: ひさし
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犯罪者?

「イグニスが死にました」


「いいよ、あんな雑魚なんて、身の程を知らない馬鹿ってどこにでもいるんだよね。

200年前の戦争で、名の知れた将軍だか何だか知らないけど、私のシオンに勝てるわけないのに」


「……よろしいのですか? シオンが向かう先には……」


「あは、駄目だなぁ、貴方たちは私の言うことをおとなしく聞いていればいいの。

口は災いの元ってよく言ったものだよね」


原型を留めていない程ばらばらになった、人であった肉塊が、ぐちゃりと音を立て床に崩れ落ちる。


う~ん、シオンがいないと、掃除が大変だね。


そう言えば、ここに来たばっかりのシオンはこれを見ただけで顔色を悪くしてたんだっけ。


あの頃のシオンも可愛かったなぁ。


今のシオンも可愛いけどね、私の手から逃げられないと分かってるのに、必死に抗ってるところを見てると、萌えちゃうよ。


「愛してるよ、シオン、もっと、私を楽しませてね」


シオンのこと考えてるとしたくなっちゃったけど、我慢我慢。


それより、部屋を掃除しないとね。


「食べていいよ『アインナッシュ』、血の一滴も残さないようにね」



















「はぁ!? 定期便が出てないってどういうことよ!?」


「先程も言った通り、凶悪な犯罪者が近くに潜んでいるということで、王国の騎士団から要請が着まして。

その、犯罪者が捕まるまで動かせないんですよ」


タイミングが悪いわよ!


さっさと、その犯罪者とやらが捕まってくれないかしら。


「おい、協力を要請されたくらいだ、犯人の人相書きくらいあるだろう」


「それは、はい、ちょっと待ってくださいね」


もしかして、また、ミトスが使役している人たちが起こしているのかしら?


それなら、シオンがさくっと解決してくれるし、明日には動きそうよね。


「これですが……よく見ると、そっちの御連れさんに似てますね」


───え、これって……


「やられたな」


もしかしなくても、私?


「おい、ぼさっとしてないで逃げるぞ」


「う、うん」









「どうして、こうなるのよ……」


私の輝かしい人生が、どうして、犯罪者に……


私は、戦争を回避しようと国宝を守ってるのよ!


なに、この仕打ち! いくら、私が美少女過ぎるからって嫉妬は醜いわよ!


「おい、馬鹿女、お前の組織の構成はどうなってる?」


「馬鹿女!? ……ぐぎぎ、まず、トップに頭領がいて、その補佐に副頭領、そこから拠点に散ってるメンバーを指揮する幹部がいて、その幹部から指示を受ける小グループをまとめるリーダーがいるわ」


ちなみに、私は一番下っ端、そもそも、前線に出てくるのはリーダーと呼ばれる人までなのよね。


直接的な戦闘は苦手だけど、スカウト技術なら誰にも負けないって自信がある。


言っておくけど、私は結構優秀なのよ!


それを、このロリコン野郎は……!


「その中で、王国の上層部にコンタクトを取れそうな奴らは?」


「それは、非公式とは言え知ってる人は知ってるんだし、幹部以上なら……って、まさか、あんた、『デュナミス』に裏切り者がいるっていうの!?」


「あくまで、1つの可能性だ。

お前が生きていると知っているのは、お前を襲ってきたやつらだけだからな。

騎士団を動かせるほどの権力を持つ奴らとコンタクトが取れる、その条件さえ満たしていれば、誰にでも当てはまる。

もしくは、その権力者が黒幕かもしれないがな」


そ、そうよね、まだ、裏切り者がいるって決まったわけじゃないわよね。


それにしても、これからどうしよう?


下手に動けば、今度は王国の騎士団と戦う羽目になる。


シオンが負けるとは思わないけど、倒してしまったら今度こそ本当の犯罪者。


それだけは、避けたいわね。


「───ここから一番近い拠点は何処にある?」


「そっか、幹部の人に手配書を撤回してもらえば!

ええっと、ちょっと、待ってね………あった!

エルントから南西にあるフェイル密林に拠点があるわ」


そうよね、よく考えれば、私自身が本部まで届ける必要なんてないのよね。


拠点に辿り着けば、今度はより人員を割いて輸送してもらえる。


どうして、もっと、早く気づかなかったのかしら。


「もう1つ聞かせろ、今まで俺たちが着た道筋で一番近かった拠点は何処にある」


「ええっと、バリト平原ってところかしら。

ユグ山を越えた先にある平原の地下にあるらしいわ」


「───そうか」


「なによ、悪かったわね、もっと早く気づかなくて」


「お前の頭に、まともな知性は期待してない」


「そうですか!」


まったく、もう、少しは見直したと思ったらこれよ!?


ほんっっっとうに、こいつの性格は最悪ね!


「さっさと行くわよ!」


「もう、日が暮れるぞ」


「それでも、この街に長居できないだから仕方ないでしょ!」


「それくらいは、理解できるか」


「あんた、私をどこまで馬鹿だと思ってるのよ……!」


「少なくとも、手配されている身で、そんな大声で叫ぶ程度の馬鹿だとは思ってるな」


こ・い・つ……!


絶対に、ぜっっっっったいに後悔させてやる!


いつか、私に跪かせて、様付で呼ばせやる!


「おい、馬鹿女、これを持っておけ」


「私は馬鹿女じゃない!

エルナって名前があるわよ!」


「いちいち叫ぶな、そんなに犯罪者になりたいのか?

ああ、確かにお前が捕まれば、国宝は無事、王国が奪還したことになるかもしれないな。

お前にしては頭が働いてる、褒めてやろう」


こ・ん・の……や、止めましょう、今の私がどう噛みついたってシオンに口論で勝てないわ。


だけど、絶対にいつか弱みを握って跪かせてやる!


「す~は~、で、これは何よ?」


「保険だ」


「なによ、保険って?」


「聞いたらなんでも答えてくれるなんて思っていいのは子供の時だけだ。

お前の頭は子供並だが、精神年齢も子供のままなのか?」


「違うわよ! ちなみに、頭もそこまで悪くない!」


「お主ら、本当に追われている身だという自覚はあるのか?」


まさか、人に干渉しない精霊から言われるなんて、一気に冷静になれたわ。


でも、いつか、シオンは跪かせるけど。


そう言えば、結局これってなんなのかしら?


一応シオンは私の護衛なんだし、そのシオンが付けとけっていうなら付けといたほうがいいわよね。


もうすぐ、この旅も終わる、やっと、この毒舌イケメン野郎からおさらば出来るわ。


あ、でも、どうやって私に跪かせようかしら?










そんなわけで、フェイル密林にある拠点へと向かう私達。


辺りも暗くなってきたけど、シオンが辺りを照らしてくれるし、精霊がいるからか、魔物も寄ってこない。


流石にこんな夜中まで活動をしていないのか、追っても来ないまま、無事、拠点へとたどり着いた。


「何者だ!?」


「私はエルナ・ファミルネ、『スラント』を護送中に敵襲に遭い、ここまで『スラント』を護送してきたわ。

夜分、申し訳ないけど、ここの責任者に合わせてもらえないかしら」


「そっちの男は誰だ?」


「道中、護衛を引き受けてもらった傭兵よ。

害はないから通してちょうだい」


「だが、スパイである可能性も」


「こんなちんけな拠点をこそこそ嗅ぎまわって何の得がある?

そんなことをするくらいなら、そこの女を殺して安全に宝を持ち帰るに決まってるだろう。

この組織の連中の頭は空っぽなのか? よく、こんな有様で組織を維持できたものだな」


こいつ、本当に遠慮って言葉を知らないわね。


普通、初対面の相手にここまで言う?


というか、これって私も馬鹿にされてるわよね?


ちなみに、精霊には消えてもらってるから、基本的に人には見えない。


「貴様!」


掴みかかろうとした男の腕を取り、捻り上げる。


シオンって、普通に体術もできるのね。


「これだから、馬鹿は対処に困るんだ。

弱いなら弱いらしく、自分の役割を全うしてろ」


ああぁ……、辿り着いて数分でこの空気、どう収拾付けるのよ。


「と、とにかく通らせてもらうわよ」


はぁ……、とにかく、これで、シオンともお別れなのはいいんだけど、それで、私との約束も効力をなくす。


シオンに突っかかって殺されないように上手くフォローしないといけないわね。



内容のほとんどがエルナを馬鹿にするという毒舌っぷりを見せるシオン。


初対面の相手でももちろん容赦ないです。


そして、精霊はついてきているだけで、基本しゃべりませんし、何もしません。


名前も未定、活躍はそのうちということで;・x・


それではまた次回(。・ω・。)ノ~☆'・:*;'・:*'・:*'・:*;'・:*'バイバイ☆

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