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理の使役者  作者: ひさし
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駒の役割

暴れ出した魔物を抑え、いつも通りの山に戻した後、町の人々に報告。


それは、それは、感謝され、謝礼金ということで結構な金額のお金をもらい、改めて、王都への旅を再開したわけだけど


「なぜ、お前がいるんだ?」


「ん、少し気になることがあってのう。

心配せずとも、本体は向こうじゃから、何かあっても問題ないから心配するでない」


「で、その気になることとはなんだ?」


心底鬱陶しいそうな、シオン。


よほどさっさと追い返したいらしいわね。


「うむ、先ほどの薬の事じゃが、あれをどこで手に入れた」


あれ、いきなり、修羅場?


「言わなかったか? 俺が調合した薬だと」


「妾は人型じゃが、その構造は人とは全くの別物、そんな事、お主ほどの魔導師ならば分かっておるじゃろう」


「当然だな、だから、精霊用に調合したんだ」


「それが本当ならば妾はお主を殺さなければならぬな」


「ちょ、ちょっと、いきなりどうしたのよ!?」


「娘、世の文明はどうやって成長してきたと思うておる?」


「そりゃ、いろいろ研究したりしたからでしょ」


「その通りじゃ、ならば、そこに研究対象があるはずじゃな。

特に医療に関しては、その薬が本当に効くかどうか確かめる必要があるはずじゃ」


それって、シオンが精霊を捕まえて研究をやったってこと?


普通なら、精霊なんて探しても見つからないものだけど、あれだけの実力を持っていれば可能かもしれない。


「そして、あれほどの効力を持つ薬、よほどの研鑚が必要なはずじゃ。

答えよ、お主、あの薬をどうやって作りだした」


「───はぁ、俺がそこらの精霊を捕まえて実験体にしたといったらどうする?

あんな雑魚にも勝てないお前が俺を殺せると思うか?」


「無理じゃろうな、だが、こちらにも手がないわけではないぞ」


腰が抜けそうな程、濃厚な殺気のぶつけ合い。


でも、流石にこの精霊を殺させるわけにはいかないわよ!


「シオン、約束忘れてないわよね」


「───っち、心配せずともお前が思っているようなことはやっていない。

詳しくは教えられないが、精霊なら以前あったことがある。

そのとき、少し付き合ってもらっただけだ」


「───ふむ………ならば、妾もお主の旅に付いて行くとしよう」


「勝手にしろ」


───ふぅ、これからもこんな事があるかもしれないなんて、勘弁してほしいわね……


それに、シオンは『終の魔女』の弟子、各地で恨まれていても何ら不思議じゃないし、護衛としては心強いんだけど、いろいろ気苦労が絶えないわ……









「……はぁ、またか」


「なんじゃ、こやつ等は?」


「そこのアホ面のファンだそうだ。

追っかけが多くて面倒極まりないな」


「へ~、やっと、私の魅力に気づいたってわけ?」


「ああ、殺したくなるほど憎たらしい顔をしてるからな。

そういう意味では、俺もあいつらと同じだな」


こいつに、口論で勝とうとしたのが馬鹿だったわ……


「殺さず手加減なんて面倒なんだ、お前がやれ」


「なぜ、妾がお主の命令に従わねばならぬ」


「あの薬がどれほどの価値を持つか身を持って知っただろう?

俺に恩を売っておいて損はないと思うが?」


「……娘の言うとおりじゃな」


この2人、相当仲悪いわね……


いや、分からないわけじゃないけど、それにしても、険悪すぎるわ。


「貴様ら、運が悪かったと諦める事じゃな」


それからは一方的な殺戮劇、いや、殺してはいないんだけどね。


女だと甘く見ていたとかそんなこと関係なく、動き出す前に、隆起した大地に突き上げられ、押し潰され、叩きつけられる。


向こうには魔導師もいたみたいだけど、半端な魔導師で精霊に勝てるわけもなく、放った魔法も簡単に相殺されノックアウト。


過剰戦力にもほどがあるわね。


「戦闘中にぼさっとするな」


「きゃっ!?」


「お前も、雑魚を討ち漏らすな」


「……ふん」


た、助かったぁ……


シオンが助けてくれなかったら脳天にぐさりなんて美少女らしくない死に方をするところだったわ。


でも、助けるとはいえ、首を引っ張るのはどうかと思うのよね。


「ありがと、シオン」


「これに懲りたら、緩み切った頭のねじを少しは締めることだな」


こいつ、素直にお礼位受け取りなさいよ!


「終わったな、さっさと行くぞ」


まぁ、いいわ、次はエルントで夜を明かすことになるし、そこからは定期便が出てるから、一気に王都まで行ける。


あと少しで、こいつともおさらばよ!












「なんだ、こんなところに呼び出して?

眠いから手短に頼むぞ」


「貴様、あの娘に何をした?」


「流石に気付かれたか、思ったより耄碌はしてないようだな」


馬鹿女を襲った一撃、あれは気絶した奴を俺が操ったものだ。


直に触れないと、記憶を読み取ることができないからな。


「だが、お前が知る必要があるか?

精霊は必要以上に干渉しないと聞いているんだが」


「あの娘が持っているものが、あんなものでなければ、妾も干渉する気などない」


「お前はあれが何か知っているのか?」


「知らぬが、あれほどの力を秘めておるものじゃ、貴様が手に入れれば碌な事にはなるまい」


「碌でもないものという点に関しては同感だな。

だから、俺も調べようと思ったんだが、あの馬鹿女も詳しいことは全く知らない。

襲ってきた雑魚どもも同じ、知っていることは、あれが王国が持っていた、創造の神が落とした秘宝『スラント』だということだけだ。

あれがどんな力を持っているか、俺にもわからない」


「……ふむ、あれが『スラント』」


「何か知っているのか?」


「いや、知らぬな」


「……そうか、もう用は済んだな。

俺は寝る」


長い年月を生きた精霊ですら詳しいことは知らないか。


何か知っている風ではあったが、俺に教えてくれるわけもないか。


師匠なら精霊だろうがなんだろうが、精神干渉できるだろうが、あいにく俺にそこまでの技量はない。


まぁいい、俺が本当に知りたかったのはあれがどんなものかということじゃない。


そもそも、あれがなんなのか知る機会はこれからいくらでもある。


それより、あれがどんな経緯をもって、あいつの手にあるかだ。


分かったことは、あいつの組織が盗まれた『スラント』を取り戻し、運搬中、襲撃を受け、咄嗟にあいつが持って逃げたということ。


盗んだ方も、背景に組織があることは分かるが、下っ端程度じゃ名前くらいしかわからない。


『デュナミス』と『エリクシル』か。


『デュナミス』は非公式ながらも、裏を知っている奴なら誰だって知っている、戦争妨害及び仲裁機関。


王国の秘宝が盗まれ、それが帝国へ流れたとしたら、戦争の火種としては十分だ。


つい、200年前まで戦争をやっていたところを、あの魔女が無理矢理止めたんだ。


禍根は残っているし、今も小競り合いが続いている。


一触即発、何かの切っ掛けでもあれば、戦争が始まるだろう。


確かに、あの馬鹿女としては、確実に王国に戻したいだろう。


そして『エリクシル』、あれだけ人手を回せるほど大きな組織だというのに、まったく、その素性が分からない。


この組織、あの魔女が作ったんじゃないだろうな……


だが、俺を馬鹿女の護衛に付ければ再び奪取するのはよほどの戦力がないと難しい。


なにが目的かは知らないが、態々、盗んだものをおとなしく返そうとするわけがないか。


理論上は白だが……


『楽しみにしてるよ』


この言葉が頭から離れない。


『エリクシル』が関係なかったとしても、あの魔女はこの件に何かしらの干渉を行っているはず。


一体何を企んで、いくつの布石を置いているのか、いま、俺がここにいる事すらも『終の魔女』の手のひらの上なのか……


なんにしても、まだまだ情報が足りない。


ただ戦争が起こしたいだけなら、回りくど過ぎる。


そして、このタイミングでこの盤面上に置かれた俺という駒。


『終の魔女』の弟子、俺の意思に関わらず、そこにあるだけでも強力な影響力を及ぼす、厄介極まりない称号。


まだ、盤面全てが見えたわけじゃない、打つ手がないわけじゃないはずだ。


俺はあんたの思い通りにはならないぞ、フィーネ。



最期に出た『フィーネ』は『終の魔女』の本当の名前です。


ミトスはシオン以外の為の偽名、本当の名前は好きな人だけと意外と乙女な『終の魔女』


エッチとかは普通にできるけど、キスは照れる。


責められるとたじたじな、M属性の最強師匠という斬新な設定です。


フィーネ出してあげたいけど><


それではまた次回(。・ω・。)ノ~☆'・:*;'・:*'・:*'・:*;'・:*'バイバイ☆

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