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理の使役者  作者: ひさし
18/40

百合

「────くすん」


「ん?」


悲しみに明け暮れる私を慰めるように、頭をなでる、キュロ。


分かってるわよ、この子に悪気なんてないことは、ずっと、感情が死んでいて、道具みたいな扱いを受けてつらい思いをしたってことも。


だから、シオンも可能な限り大切にしてるし甘やかしてるんだろうし、そりゃ、私だって可能であれば、もっと甘やかしてあげたいわよ?


でもね、いきなり、ディープキスはないでしょ!?


シオンは気を利かせたつもりか、姫様を引っ張って部屋から出てくし……


っていうか、あんた一国の姫に対してどんな扱いしてるのよ。


そんなことはさておき、シオン達が部屋から出て行ってから、すでに4時間が経過しそうになっている。


その間、首筋や、耳を子犬がじゃれつくように舐められ、キスも数えきれないほどに。


最初は頑張って口を閉じて、舌の侵入は拒んでいたんだけど、拙いながらもしつこい愛撫に私の首筋や耳は徐々に開発され、理性は溶け、気付いた時は時すでに遅く、小さい舌を受け入れ、あろうことか、自分からから絡めあってしまった……


名誉の為に言っておくけど、私だって年頃の女の子よ?


そりゃ、性感帯を刺激され続ければ、体は火照るし、変な気分にだってなる。


穴があったら入りたい程に恥ずかしいけど、一回り小さい女の子に、少しイかされてしまった……


仕方ないじゃない! さっきも言ったけど私は年頃なのよ!?


それに、その……小さい女の子に舌を絡め、体を開発されていく背徳感に不覚にも興奮してしちゃったのよ……


理性が戻った時には、泣きたくなるわよぉぉぉぉ!!


「ん、ぺろ」


滲む涙を舐めとられる、この子なりに慰めようとしてくれてるらしい。


小さい女の子に慰められる私、駄目だ、このまま優しくされたら、ずるずるいってしまいそうな気がする。


そうよ、この子は常識を知らない、きっと、さっきのあれも、好意を示したかっただけで、加減を知らないから、あんなことになったのよ!


「ありがとう、もういいよ」


「ん」


「あのね、キスは好きな人にしかしちゃ駄目なの。

いい? 感謝の気持ちを示すならさっきのクッキーを上げるだけで十分なの」


「好きな人」


「いや、うん、あのね『好きな人』にもいろいろ意味があって……」


「面倒」


「いや、ちょ、まっ、んぐうっ……!?」


うわぁぁぁぁぁん!!


どうして、こうなるのよおおおお!!


「なんだ、まだ、やってたのか……?」


いやぁぁぁぁぁぁ!!


脱がさないで! 変なとこ触らないで!


「キュロ、やりすぎるなよ?

そいつはお前と違って普通の体力なんだからな」


待って、お願いだから、この子を止めてええええぇぇぇ!!














「シオンの馬鹿ああああああああ!!」


「叫ぶな、他の客に迷惑がかかるだろうが」


「あんた、分かってんの!?

私はまだ乙女なのよ!? 純潔なのよ!? 処女なのよ!?

それなのに、10時間以上放置するってどういうことよ!?」


純潔だけは死守したけど、それ以外のところはもう滅茶苦茶よ!?


素っ裸に剥かれるし、私の弱点を見つけられて、しつこく攻められて、頭の中ぐちゃぐちゃだったし、意識朦朧としてた時に恥ずかしいこと言っちゃった気がするし!


「ああ、分かった分かった、いくらだ?」


「あんた馬鹿にしてんの!?」


「黙りなさい、キュロちゃんが起きるでしょう」


キュロに膝枕をしていて、御満悦そうなお姫様。


私は被害者なのに、理不尽だ……


「あ……ごめんなさい……」


そして加害者である、キュロは、私を滅茶苦茶にした後、満足して眠りについたのでした。


できれば、もう、目覚めないでほしい。


これから、シオンと行動することになるってことは必然的にこの子とも……


「いったい何が不満なんだ?

キュロはお前が望むならある程度の事ならやるだろうし、金なら俺が融通してやるし、誰が見ても将来有望だぞ?

容姿が良く、金もある、それにお前には優しい、お前の理想通りだ」


「私はノーマルなのよ!

ロリコンのあんたと一緒にするな!」


「諦めろ、お前が俺と一緒に来るならキュロはお前を離さないだろうし、逃げたところで、どこまでも追っていくぞ」


「そ、そこは、あんたがどうにかしなさいよ」


「悪いが、俺は可能な限りこいつの思うとおりにさせてやるつもりだ。

俺としては、さっさとお前と結婚でもして、安全なところでおとなしくしてほしいんだ」


「け、結婚ってあんた馬鹿なの!?」


性別とか年齢とか、誰が見てもアウトじゃない!


「そうね、そこにだけは同意するわ。

キュロちゃんは私の愛玩動物にするのよ」


「ついでに、そこの馬鹿女も飼ってやればいいだろ」


「嫌よ、美しくないもの」


こ…こいつら、人のことをペット扱いして、挙句の果てには、美しない?


あんたら、一回生まれ変わって、一から常識学んできなさいよ!


「と・に・か・く! 私は男がいいの!

いくら可愛くても、優しくても、お金持ちでも、女の子は駄目なのよ!」


「で、俺にどうしろと?」


「私とキュロを2人きりにしないこと、私が襲われそうになったら助ける事、キュロに真っ当な常識を教える事の3つよ」


また、襲われたらたまったもんじゃない。


ただでさえ、今回でいくつも開発されたのに、次は冗談抜きで純潔奪われる。


「いいのか? 一応お前は被害者なんだから、賠償として何かあるなら可能な限りならなんとかしてやるぞ」


「いいわよ、その子だって、これまでいっぱいつらい思いをしてきたんだから。

────それに、あの時、私はこの子を助けなかったんだから」


たぶん、万人が同じ選択をするだろうけど、それで罪悪感を覚えないというの間違ってる。


私は、戦争をなくすために、この子を犠牲にしようとしたものなんだから。


だから、今回はその贖罪ということでなかったことにする。


というか、私の記憶から消し去って欲しい……


「あなたも随分なお人好しね。

お人好し同士、お似合いなんじゃない?」


「同族嫌悪という言葉があるんだよ。

それに、俺は馬鹿は嫌いなんだ」


「なっ、私だってあんたみたいなロリコンはお断りよ!」


「黙りなさい、これで2回目よ?

こんな簡単な事も出来ないなんて、馬鹿だと思われても仕方ないわよ」


ぐぎぎぎぎ、なんで私が怒られてるのよ!


でも、一応これでも相手は姫様なわけで無礼を働くわけには……


「真実ははっきりしてやった方が後々、本人の為だぞ」


「そうね、あなたは馬鹿だわ」


「いい加減にしろおおぉぉ!

あんた達、分かってんの!? 私被害者よ、被害者!!

あんた達に慰めてもらえるなんて期待してないけど、少しは気を遣いなさいよ!」


「何を言ってるのかしら?

キュロちゃんに抱かれるなんて、ご褒美でしょう?

それに、聞く限り随分乱れていたそうじゃない」


「──うっ、それは、それよ!

あんただって、一応女なんだから、分かるでしょ!?」


「まったく、きゃんきゃんと五月蠅い雌犬ね。

シオン、きちんと躾けておきなさい」


こ・こいつ……こんなのがお姫様だなんて、世の中間違ってるわよ!


お姫様なら御淑やかにしときなさいよ!


「それにしてもいいのか?」


「───なにがよ?」


「一応、あれでも一国の姫だぞ?

俺は返り討ちにできるから問題ないが、お前は無理だろ?」


───あ、やばい、急に熱が冷めていく……


「そうね、普通なら不敬罪で私の一存でどうだってできるわ」


「え、え~と、なかったことにして欲しいな、なんて思ったりしてるんですが」


「無理ね」


「ですよね……」


あれ、私終わった?


「安心しろ、条件さえ飲めば俺がどうにかしてやる」


救いの神がここにいた……わけないわよね……


あの、極悪非道なシオンが無償で助けてくれるわけない。


そして、その条件もだいたい予想がついてしまう。


というか、私嵌められた?


「この私を利用するなんて、いい度胸してるわね。

安心しなさい、別にどうするつもりないわ、むしろ堅苦しい口調は鬱陶しいだけだからそのままでいいわよ」


「───っち」


──もう、いや……


なんで、私がこんな目に……


「落ち込むのは勝手だが、休めるときに休んだ方がいいぞ。

どうやら、航海中に襲ってくることはないようだが、上陸してすぐに襲撃される可能性だってある。

キュロが気に入ってしまった以上、お前も守る対象だ。

以前のように足を引っ張られたらたまったもんじゃない」


そうね、助けられるのは、まだいいにしても、キュロとの戦いの時みたいに邪魔になっちゃ駄目よね。


「それじゃあ、ちょっと寝てくるわ」


「部屋の扉にそれを張り付けとけ。

大丈夫だと思うが念のためだ」


「分かった、ありがと。

それじゃ、おやすみ」
















「さぁ、シオン、お手並み拝見だよ。

頑張ってね、うふふふふふ」



スリスリ(*^∇゜)(゜ロ゜;)ヒィィィィィ!!

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