6
#
テレビを消して、服を着て、ちゃんと俺のそばに座って。
「夏葵・・高校の時の彼女で、最初で最後の恋だと思ってた」
和也はゆっくりと話し始めた。
夏葵は、初恋のひとですべてをささげてきた人らしい。
だが、何か月か付き合ってわかった事実。
援助交際、ソープ、ほかに何人も彼氏がいたという。
きいているほうがつらくなってくる。
なんでそんな女をすぐに忘れられないのか不思議でたまらなかった。
「でもやっぱ・・夏葵はずっと、忘れられないんだ・・なんでかな、ははは・・ごめん安亮」
それを受け入れてやれるのは俺だけのような気がした。
「和也・・俺はずっと和也のそばにいるよ」
かけてあげる言葉がそれしか見つからなかった。
他に、なんていえばいいんだ?
「今日は俺、和也んち泊ってくよ」
「え、でも、仕事は・・」
「和也、泣いちゃうかもしれないだろ、だから今日は一緒に寝んの!」
そういって和也を抱きしめる。
抱きしめ返してくれる和也の腕がすこし震えていた。
「ちょっとずつでいいからさ、そいつ忘れるくらいたくさん俺と愛し合って・・俺だけ愛してよ」
「・・・うん」
「和也、一緒に幸せになろ。愛してるよ」
そのまま抱き合いながら眠りに落ちた。
その瞬間、根拠はないけど。
この先もずっと一緒にいれる、そう思った。
#