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裸のまま薄いタオルにくるまる和也に、服を着せようとした。
「和也・・ごめん、無理やり・・・」
和也は泣いていた。
初めてだ、こんなセックスをしたのは。
後になって早めの後悔をした。
「ごめん、我慢・・・できなくて」
完全に嫌われた、そう思った。
長い間和也は声を押し殺して泣いていた。
服を着て、何もしゃべらずに頭は和也の事ばかり考えながらついたままのテレビを眺める。
いつもなら、和也と大爆笑してみるお笑い番組でもいまは全然笑えない。
音すら聞こえない。
「・・・和也ぁ、ごめんお願いだから・・・」
そんな空気に耐えられなくて、『機嫌直して』そう言いかけた時。
和也の腕だけがタオルから出てきて安亮のシャツを少し強くひっぱった。
「・・・ごめん、安亮・・僕がわるい」
さっきまで、安亮の耳にはテレビからの笑い声すら聞こえなかった。
そのなかで和也の小さい声だけが耳に届いた。
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