平穏な日常
「紫様ー!!」
「ごきげんよう、皆様」
聖マリアンヌ女学院に通う朝比奈紫。彼女は聖マリアンヌ女学院の中で最も淑女に相応しいとされ学院内でお姫様扱いをされていた。一つ一つの仕草が洗礼されており、生徒達の憧れの的。紫とお近づきになりたいと思っている生徒達が紫の回りに集まっていた。紫はその生徒達を邪険にせず、皆と話していた。名を呼べば振り向いて笑顔で応えてくれる紫に皆好感を持っている者が多い。学院の全生徒が紫の信者といっても良いほどに。
「?何かしら?」
紫の机から一通の手紙が出てきた。紫は不思議そうに手紙を見ながら封を切る。
「放課後、空中庭園でお待ちしております。……?……いけばわかるかしら?」
手紙には送り主の名前など無く、紫は内容を深く考えずに放課後空中庭と呼ばれるバラ園に行った。バラ園の中心部には池があり、バラ園全体に水を流していた。その池の近くで紫は待っていた。
「少し早かったかしら?」
バラ園を見渡して呟いた紫。誰の気配も感じないバラ園には紫一人。気長に待つことにした紫が池に視線を向けた瞬間、ドン、と背中を押された。
「!!」
そのまま池に落ちた紫は水面に上がろうと必死にもがくが制服が重く上がる事が出来ない。息が続かなくなった紫は限界に達し意識を無くした。それと同時に紫を淡い光が包み込み消えた。