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新たな出会い


――はぁ……。


 穴があったら本気で入りたい…さっきの自分、思い出すだけで顔が熱くなる。


深く息を吐いて、ようやく平常心を取り戻した私は、いつもの“癒やしスポット”へと向かっていた。


 学園裏庭にある大きな樹木。

最近は、この木の枝に登って景色を眺めるのが日課になっている。


 今日も慣れた手つきで枝から枝へ移動し、幹に足を引っかけて……


……あ、


バランスを崩した。


「きゃーーっ!?」


そのまま、真っ逆さまに落下。


……え?


痛く、ない?


恐る恐る目を開けると、どうやら私は“何か”の上に落ちたらしい。


「……す、すみません……」


 視線を下げると、そこには……


木の根元で寝転がっていた、見知らぬ男子生徒。


「お、重ぇ……誰だよ……」


「申し訳ありません…カナ・レーランドと申します!」


 名前を告げた瞬間、相手の顔が露骨に歪んだ。


……え、なにその反応?


「うわっ!!豚じゃねーか、最悪!!」


……は?


「いま、私のこと豚って言いました?」


「少し縮んだから子豚だな」


 ……いや、待って。

怒るべきなのに――


「っ、く……くくっ……!」


なぜか、笑いが込み上げてきた。


「子豚って何よ!!ウケるんだけど!!痩せたら子鹿になるの!?」


 ぽかん、と口を開けるイケメン。


 金髪の長い髪をひとつに束ねた、無駄に整った横顔を眺めながら、私は腹を抱える。


「あ、ごめんなさい。

下敷きにしたままだったわね!」


 慌てて起き上がりながら、軽く頭を下げる。


「それにしても、レディに向かって豚はないと思うけど?」


「嘘は言ってねーだろ?デブに豚って、何が悪ぃんだよ」


……いや、悪いでしょ。


「言い方ってものがあるでしょ!?

太めとか、ふくよかとか、オブラートに包みなさいよ!」


再び、きょとん顔。


「……いつもみたいに、ヒステリックに叫ばねーのか?」


「え!?

そんなことしないわよ!?」


 すると彼は、気まずそうに頭をガシガシ掻いた。


「前はさ、馬鹿みたいに騒いでただろ」


……あー。


確かに……

以前のカナ・レーランドなら、

間違いなく地獄絵図だった。


(どんだけヒステリック女って思われてたのよ……)


「まあ、昔の私は確かにそうだったしね」


肩をすくめて笑ってみせる。


「別人みたいでしょ?

しょうがないから、イケメン君にだけ特別に教えてあげる」


 少し声を潜めて、冗談めかして囁く。


「実はね――私、転生者なんだよね~」


……すぐに「冗談よ」って言うつもりだった。


……なのに。


彼は、急に真顔になった。


「……は?」


次の瞬間、頭を抱えて唸り始める。


「え、なにその反応!?

冗談――」


「マジかよ……」


 顔を上げた彼の目は、本気そのものだった。


「お前も……転生組かよ?」


「…………え?」


え?


……え?


脳内で、警報が鳴り響く。


「ちょ、ちょっと待って……

“も”って何……?」


 私が聞き返すより早く、彼は深くため息をついた。


「はぁ……

まさか、こんなとこで同郷に会うとはな……」


――いやいやいや。


 ここ、乙女ゲー世界なんですけど!?

まさかの展開に、私は言葉を失った。


(……え?

この世界、転生者多すぎない?)


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