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物語の結末は…


それにしても……ここまで、本当に長い道のりだったわ。


 ふと、脳裏に浮かぶ。

あれだけ泣き喚き、暴れ回っていたレイラの姿。


……そういえば。


「ねぇ、ルキ。

レイラをどうやって静かにさせたの?」


 隣を歩くルキに問いかけると、彼は一瞬だけ言葉に詰まり……

次の瞬間、意味ありげにニヤリと笑った。


「あー……あれな。

ちょっと“禁断の言葉”を使っただけだ」


「禁断の言葉ってなに!?」


 訳も分からず首を傾げる私に、ルキは肩をすくめて続ける。


「ここはゲームの世界でも、小説の世界でもない。

――リアルな世界だってな」


胸の奥が、ぞくりとする。


「そろそろ現実を受け入れろ。

お前は断罪されて“The End”だ。悪役令嬢はもうカナじゃない。……レイラ、お前自身だ」


 一拍置いて、低く囁くように。


「――俺も、転生者だ」


 ……それを耳元で囁いたら、全部理解した顔をして黙ったよ。


 ルキの言葉を聞きながら、

私は妙な感覚に包まれていた。


 確かに――

いつの間にか、私とレイラは役割が入れ替わってた気がする。


 ヒロインだと思っていた彼女が悪役になり、悪役令嬢だった私が、物語の外へ抜け出した。


「……ん?どうした、カナ」


「ううん。

なんていうか……全部に辻褄が合った感じがして、不思議で」


でも。


「ねぇ……レイラ、本当に諦めたのかな。

私に報復しようとか、考えてないかな?」


 私の不安に、ルキは少しだけ真剣な表情になる。


「……確かに。

用心はしておいた方がいいな」


結局、レイラは修道院送りになった。かつての――“私と同じ結末”。


 道中、山賊に襲われなければいいけど……

だって、以前みたいに“逆行”が起きないとも限らない。


 そう思った瞬間、胸がきゅっと締め付けられた。


ーーー怖い。


ーーー何が?


この状況が壊れてしまうこと?

それとも――


また、ルキと会えなくなること?


「どうした、カナ…何か心配事か?」


「ねぇ……

私、一度逆行したって話、したでしょ。

また逆行したらどうしようって……」


 不安をそのまま、彼に投げる。


 するとルキは、迷いなく言った。


「大丈夫だ」


そして、真っ直ぐ私を見る。


「逆行しても、

俺がまたお前を見つける」


 ――それは、

まるで魔法みたいな言葉だった。


「……また、探してくれる?」


「うん。

どこにいたって、絶対見つける」


 あまりに真剣な表情で言うから、心臓の音がうるさくなる。


 顔が熱い。

慌てて誤魔化すように声を上げる。


「ぜ、絶対だからね!

ちゃんと見つけてよ!」


 ルキは少し照れたように、でも確かに頷いた。


 その仕草が――

どうしようもなく、愛おしかった。


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