式典での逆転劇
私たちの周りのギャラリーがざわつき始めた。
そして、この状況を利用したレイラ劇場は止まらない。
「カナ様が加担していたことは分かっているのですよ? 今更言い逃れなど、見苦しいですわ!」
――あくまでも、私を悪役令嬢に仕立てたいのね。
その瞬間、フラッシュバックする。
――あの忌まわしい過去の光景が、頭の中で蘇る。
* * *
『カナ・レーランド! お前は私の可愛いレイラに嫌がらせしていたそうだな!』
『その醜い体型と心根のせいで、俺の愛は離れた! よって婚約は破棄、隣のレイラと結婚する!』
『な、何を言っているの? その女は平民よ! 身分が違いすぎるわ!!』
『愚かなことを……嫉妬に狂い私のレイラに牙を向けるとは!! 殺人罪で訴える!!』
* * *
――あの時の屈辱が、今、蘇る……
でも違う、私は幸せになるために戻ってきたのだ。
心の中のシオンへの恋心は、今この瞬間、木っ端微塵に砕け散った。
あんなに愛していたのに、心が離れる時は一瞬なのだ。
――ならば、この断罪は受け入れよう。
しかし、以前の私のような負け犬にはならない!
「先程申し上げた通り、シオン様との婚約破棄は了承致します。」
私の言葉に、嬉しそうに口元を緩めるレイラ。
「しかし、レイラ様への仕打ちについては、私は一切関与しておりません。」
――面を喰らった顔をするレイラ。
予想していなかった反撃に、思わず動揺しているようだ。
「カナ様、何を今更……! 言い訳くらいして謝罪すれば、私だって鬼ではないのに!」
――まず、根本的に証拠は?
「そもそも、私が画策した証拠はございますの?」
私の問いに、レイラはオロオロとする。
――こいつ、アホか。断罪の証拠すら用意してないの?
「それは私の証言が証拠ですわ!」
私は扇子で表情を隠し、笑いを堪えきれず小刻みに震える。
ギャラリーもその様子に同調したようで、私の心境を察して味方につく。
゛カナ様がそんなことをするだろうか?゛
゛聡明な彼女がそんなことはしないだろう……゛
゛カナ様は嵌められたのでは?゛
――流れは一気に私に傾いている。
゛そもそも、婚約者であるシオン様にちょっかいをかけていたのはレイラ様だ!゛
゛自業自得では?゛
私は女優ばりの演技力で、この危機を乗り切ることに決めた。
「私は神に誓って、カナ様を襲わせるなどの蛮行はしておりません。
もし、私の取り巻きを使ったと仰るなら、私の取り巻きをこちらに連れて参りますわ!」
真っ直ぐ凛と立つ私の姿に、周囲からは拍手が巻き起こる。
反対にレイラには、疑惑の視線が突き刺さった。




