やっぱり強制力?
◇式典当日◇
大都学園創立1000年記念の式典が華やかに始まった。
……シオンは、どこにいるのだろう。
本来なら、婚約者である彼と肩を並べて式典に参加するはずだった。
しかし突然、一緒に来られないと言われてしまったのだ。
仕方なく父と共に会場に入り、取り敢えずキョロキョロと彼を探す。
……胸が、ざわつく。
真っ赤なドレスに身を包み、派手な縦巻きロールを靡かせたレイラと一緒にいるシオンを発見した瞬間、思わず目を疑った。
……レイラって、確かヒロイン枠だったよね?
頭が混乱する。派手すぎる化粧と完璧すぎる巻き髪。
まるで悪役令嬢そのものの姿に変貌していて、息を呑むしかなかった。
そんな私に気づいたレイラが、鼻で笑う。
……マジで関わりたくない。
それなのに、二人はゆっくりとこちらに歩み寄ってくる。
シオンは苦しそうな表情を浮かべながら、逆らえないのか下僕のようにレイラの隣に立っている。
「カナ様、探していましたの…」
レイラの口角が上がる。
含み笑いを浮かべたその表情に、思わず戸惑う私。
「それにしても、カナ様のドレスは地味すぎませんこと?」
……いやいや、あんたのドレスに比べればどんなドレスも地味になるだろう。
「そうですか?このドレス、凄く気に入っているのですが…」
私のドレスは、ピンクを基調に裾のフレア部分に刺繍が施され、可愛らしい雰囲気だ。
化粧も派手にせず、巻き髪も緩やかなカールにして妖精のような仕上がりになっている。
――あぁ、自分で言うのも恥ずかしいけど、可愛いんだよね、これ。
そんな私を気遣うように、シオンがぽつりと呟く。
「カナ、可愛いよ」
――えっ、今の……?
しかし、続く言葉は無情にもレイラによって遮られる。
「そう言えば、シオンからカナ様に話があるみたいですわ!」
勝ち誇った表情のレイラ。
何を言うつもりなのか、私は警戒するしかなかった。
「カナ、婚約を解消してほしい……」
視線を逸らしながら、シオンが言った。
「い、今、何って……?」
思わず口調が砕ける。
泣きそうな顔でこちらを見上げるシオンは、まるで棄てられた子猫のようだ。
しかしその隣で、レイラは派手に泣き崩れ手を大きく振りながら言う。
「カナ様が嫉妬に狂い、私に酷い仕打ちを……!」
……意味がわからない。
「まず、レイラ様の仰る意味が……」
冷静に問いかける私に、レイラは止まらない。
「私に嫉妬したカナ様が取り巻きを使い、私を襲ったではありませんか?」
――噂話を誇張しまくって、完全に私を悪役に仕立てようとしてるのね。
あんなに恋焦がれていたシオン……
でも、こんなヘタレな状態じゃ100年の恋も冷めるわよ
「分かりました。一先ず、シオン様との婚約は破棄して結構ですわ!しかし、レイラ様への嫌がらせの件に関しては、私は関わっておりません!」
私が強く言うと、なぜかシオンの顔に悲しそうな影が落ちる。
――ああ、もう……
一体どうなっているの、この式典は。




