断罪までのカウントダウン
すみません、1話抜けてたので2話分繋げてます。
前半はレイラsideで、後半はカナsideです。
よろしくお願いします。
レイラside
やったわ――!!
ついに悪役令嬢を打ち負かしたのよ!!
心の中でガッツポーズを決める私。
……あれ?
隣のシオンの表情を見ると、唇を噛み締めながら、悔しそうに2人を見つめている。
――ムカつく!!
何なのよ、あの豚!
浮気者の悪役令嬢なんて、いつまでも相手にしないで――
早く私に堕ちなさいよ!!
弱った相手には付け込むしかない。
今がチャンスよね!
「シオン様、大丈夫ですか?」
甘えるように上目遣いで微笑む私。でも、心の中では別のことを考えてる……
――まさか、あの豚に惚れてるの?
嘘でしょ!?
「レイラ、無様な姿を晒し、申し訳ない」
「そんな……わ、私は気にしてません!
それよりも、シオン様に対するカナ様の態度に怒りを覚えます!」
顔色の優れないシオン。
ああ、いいわ、弱ってる……この隙に!
「俺は……何故、カナとの婚約を考え直したいなどと言ってしまったのだろう……」
――えっ、もう後悔してる!?
最近、豚ラブが深くなりすぎてない?
物語序盤のこの時期なら、私に靡くはずなのに……
あの豚に夢中で私の存在を見てないなんて、信じられない!!
「シオン様、カナ様を……愛していらっしゃるのですか?」
私の言葉に、彼は顔を上げる。
「……この気持ちは、愛なのだろうか?」
――はぁ?
あの豚にどれだけ執着してるのよ!?
私を見なさいよ、シオン!!
「私に一つ考えがあります……
一度、カナ様から離れるのも良いかと。
思い切って婚約破棄を匂わせ、カナ様が婚約を懇願してきたところで、破棄を無効にする――
そうすれば彼女の本心を知ることができます」
これよ、私の賭け。
物語の強制力?何それ、美味しいの?
悪役令嬢とシオンが結ばれるなんて、私が許すわけない。
全てが私の思惑通りに進めば、婚約破棄は現実になる。
つまり――私がシオンの婚約者になる未来確定よ!!
まぁ、今はまだシオンが悪役令嬢に夢中でも、時間の問題。
すぐに私に靡くに決まってるわ!
「カナを断罪するとは?」
「婚約破棄を宣言するには理由が必要です。
よって理由を捏造します!」
困惑気味のシオンに畳みかける。
「カナ様が嫉妬して嫌がらせしていると、でっち上げるのです!そして、新たに私を婚約者として推薦する――」
この言葉に、シオンは興奮して叫んだ。
「な、何を馬鹿なことを言う!?
カナが嫌がらせをするはずがないだろ!?
何故、レイラを婚約者にする必要があるんだ!?」
「カナ様の本心を知りたいのでしょう?
嫉妬したカナ様の貴重な姿を見られる……そのためです!」
固まったまま、考え込むシオン。
そして次の瞬間――
渋々ながら私の提案に賛同してくれた!
――さあ、ここからが本番よ!!私の本気を、見せつけてあげるわ!!
ーside endー
◇ ◇ ◇
あの出来事以降、シオンとの間に微妙な距離ができている。
何となく、避けられている気がするけれど――
そして、その隙を待っていたかのように、シオンとレイラの密会の噂が流れ始めた。
「カナ様、お聞きになりました?」
嬉しそうに私に話しかけてくる三バカトリオの一人、ミチ。
「何がですか?」
「例の平民の女が、またシオン様の側をウロチョロしてるらしいですわ!!
やはり一度、痛い目に合わせた方が宜しいのでは?」
瞳をキラキラさせ、ノリノリなミチ。
でも、私に何を期待しているのか……全く分からない。
「そのような噂話など信じておりませんし、シオンを信じておりますので……
くれぐれもレイラ様には手を出さないでくださいね」
少し語尾を強めると、ミチはビクッと身震いする。
きっと三バカトリオの狙いは、私を怒らせることなのだろう。
確かに、以前の私なら嫉妬に狂い、発狂していたはず。
私が怒れば「嫉妬してレイラを虐めた」と噂が広まり、腹黒ヒロインの思うツボ――
今の私は変わった。焦った彼女の表情が見えた。
「く、悔しくないのですか?」
「何故、私がそんな噂話に翻弄されなければなりませんの?
万が一、噂が本当だとしても、シオン様への私の気持ちは変わりません。
シオン様が私以外の方をお慕いしたとしても、私がお慕いしている事実は消えませんわ!!」
潔く宣言する私に、周りのギャラリーから拍手が沸き起こる。
゛流石カナ様だわ!!゛
゛最近のカナ様は美しくなられて゛
唇を噛むミチに、心の中でガッツポーズ。
すると、噂の当事者――シオンと腹黒ヒロインが仲良さそうに、私の前に現れる。
シオンはなぜか私と視線を合わせようとせず、逸らしまくっている。
「ごきげんよう、カナ様」
嬉しそうに挨拶する腹黒ヒロインに、思わず笑いそうになる。
こんなギャラリーの前で、浮気を匂わせる意図が分からない。
だってシオン、明らかに必死で隠してるように見えるじゃない……
笑っちゃうけど、面白すぎるわ。
「カナ、最近レイラと仲良くしているが、どう思う?嫉妬したりするか?」
唐突に私へ投げられる質問。
……はて、何のつもりなのか。
「…………。」
無言で2人を見つめると、腹黒ヒロインが大袈裟に嘆き始めた。
「そのような恐ろしい顔で私を睨むのはお止めくださいませ!!」
震えながら恐怖心を演出している彼女。
……いや、明らかに挑発してるでしょ?
「カナ、私の可愛いレイラをそのように睨みつけるとは!!
いったい何を考えているんだ!!」
腹黒ヒロインの口角が、ニヤリと上がる。
――何なの、これ。
もしかして、私を怒らせようとしてるの!?




