まさかの転生組?
……。
イケメンをじっと見つめて固まる私に、彼が口を開く。
「どうした?子豚!?」
……え?
「……本当に、転生したの?」
私が恐る恐る尋ねると、彼は誇らしげに頷いた。
「俺は9歳の時に前世の記憶が甦って、転生したことに気づいたんだ。前世は大学生だったけど、子猫を助けようとして川に落ちてから記憶が途切れてる。
たぶんそういうことだろうな……。
で、お前はいつ自覚したんだ?」
私は前世と逆行した話をどう説明するか迷ったが、同じ境遇ということで、今までのことをざっくり話してみる。
意外にも、彼は最後まで話を聞いてくれた。
でも、あんなに敵意むき出しだったのに、どうして私の話をすんなり信じてくれるのだろう…何なら何かの罠だったりしないかな…
「ねぇ、さっきまで私に敵意剥き出しだったじゃん?
どうして私の話を信じられるの?根拠は何?」
彼は恥ずかしそうに前髪をガシガシ掻きながら、じっと私を見つめる。
「俺の知ってるお前とは全く違うからだ。
さっきの話を聞いて確信したんだ……悪かったな、態度が悪くて……」
思わず、私はジワっと涙ぐむ。長い間、抱えてきた気苦労が、ようやく肩の荷を下ろした気分だ。
「うわぁ、泣くなよ……。
お前も色々苦労してたんだな。
でも、ここが小説の世界でお前が悪役令嬢だなんて知らなかった。
ってことは、俺も主要キャストに入ってんのか?」
瞳をキラキラさせて身を乗り出すルキ。
……なんか少年漫画っぽい。
「いや、かなり顔面イケメンだし、モブってことはないんじゃない?
ってか、名前教えてよ!」
「あ、悪りぃ、まだ名乗ってなかったな。
ルキ・ソーエンだ。よろしく。
実は……隣の国の皇太子なんだ」
――隣国の皇太子!?
絶対、主要キャストだよね……。
ヒロインと恋に落ちる運命じゃないの!?
「そんなの絶対、主要キャストに入ってるじゃん!
ヒロインと恋に落ちるんでしょ?」
ルキは、あんまりピンときてないらしい。
「で、ヒロインって誰だよ?」
「あ、平民出身のピンクの髪で可愛い女の子、レイラだよ」
ルキは怪訝そうな顔。
「あのブリブリ女がヒロインなのかよ!?
俺が惚れる要素、全くないな!」
……おいおい、男も腹黒でも子鹿好きじゃないってこと?
意外すぎて笑っちゃう。
「えっ!?男って腹黒でも子鹿好きじゃないの?」
「クックックッ、子鹿って何だよ!?じゃあお前は何なんだ?」
「私はもちろん――熊でしょ!?」
さらに笑いが止まらないルキ。よっぽどツボったらしい。
「でもさ、子豚とか熊とかって呼ばないでよ?カナって名前があるんだから!」
「あ、悪りぃ。じゃあカナって呼ぶわ。
カナも俺のことはルキって呼べよ」
「うん、でも流石に呼び捨ては……ルキくんでいい?」
「ルキ様でもいいぞ!」
上から目線で命令されながら、ルキ様だって!?
――しょうがない、呼んでやろう。
「ルキ様♡」
思わず笑い転げるルキ
この男、笑い上戸すぎる……!




